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【城下町編。フロックス国境でダービー開始】

◆城下町から1週間と1日目・舞踏会。

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 案内された部屋は普通の客間だった。但し、所謂逢い引き部屋って奴ね。場所を移して良いことしましょうって奴よ。そのわりには中々豪華な部屋だけど、ど真ん中に天涯つきのどでかいベッド。右奥にシースルーのシャワールーム。魂胆みえみえじゃ無いの。でも舞踏会の音楽が聞こえる。ホールからそんなに離れては無いのかしら?結構歩いた感じがしたけど…。

 《まさかただのナンパとか言わないでよ。さっさとモノクを出しなさい!》

 〈聖獣はベッドに繋がれてるぞ。居るのは聖獣だけでは無いがな。お前に用が有るのはその方だ。せいぜい可愛がって貰え。因みにこの部屋には、魔法解除を織り込んだ結界を張ってる。まあ諦めろ。〉

 いきなり抱えあげられ、天涯つきベッドの中に放り込まれた。柔らかなシーツに体が沈む。

 《いった~い!腰痛めたらどうするのよ!いきなり放り投げるな!ん?何コイツ?》

 おい!お前は誰だ?何故私の上に乗ってる?マウント取るの早すぎ無い?しかも既に本人裸だし、私の服脱がせにかかってるの!コルセットしなくて良い体型に今回は喜べないわ。マズい。あっと言う間に下着姿よ。コイツ手慣れすぎ!もしかしなくても貞操の危機だわ。絶対に嫌~!神様どうして弾いてくれないの?ちょっと顔近付けるな!胸揉むな!そんなとこ舐めるな!パンツ返して!どうして抜けられ無いの?やだやだ助けて!触るな~!いやぁー。

 〈うわっ!何だ?魔法は使えぬ筈だろう。〉

 ビリビリ来た!神様有り難うー。でも遅い!

 《このエロ親父離れろ!》

 頭にきたから、思いっきり大事な所を蹴飛ばしてやった。唸りながら踞る変質者。うっ触った所がぬるぬるする。気持ち悪い。何て事よりモノクよ!モノクは何処なの?

 *****

 あっ。モノク居たよ。酷い…。あれじゃ鳥かごだよ。ベッドの端の天涯から檻が吊るされてる。中にはぎゅうぎゅうに押し込められてるモノク。私はそっと近寄り檻の中からモノクを出した。鍵は掛かって居ない。安心して抱き寄せると、足首が鎖で檻と繋がれてた。でも生きてる。トクトクと心臓の音がする。体も温かい。撫でると目が開いた。良かった。安心してたら、いきなり足を引っ張られた。モノクが腕から離れる。

 《モノク大丈夫!?》

 運良くベッドの上にの落ちた様で、大丈夫と小さな声で答えてくれた。

 〈ほう。喋る位には回復しとるのか。しかし聖獣の心配より己の心配をした方が良いのでは無いか?先程のは祝福か?確かあれは害意有るものを弾くので有ろう?私はお前に惚れたぞ?ならばこれは害意では無い。好意だ。嫌がるなら欲しがるまで責めるだけだ。それとも媚薬が良いか?一晩中孕むまで付き合うぞ。〉

 このくされ頭のエロ親父め。

 《絶対に欲しがりません!エロ親父ノーサンキュー!欲しいのは愛する人のみ。兎も角貴方は誰?知らぬ人に襲われる謂れは無いんですけど。》

 〈私の顔が解らんか?晩餐会で挨拶したであろう。この国の王だ。まさかこんな良い男を忘れるとは、聖女の美意識は変なのでは無いのか?まあ良い。兎も角お前には世継ぎを産んで貰う。ドラゴンを倒す程の魔力量だ。しかも生娘らしいじゃないか。その年でとは畏れ入る。この世界では絶滅種だ。しかも聖獣付きだ。どうだ?王妃だ。贅沢し放題だぞ。〉

 うぇ~。ナルシスト嫌~い。しかも絶滅種って失礼ね!だれが世継ぎなんか産むか!でも何故世継ぎが居ないの?しかも興味が無かったとしても、前王妃様に手を出してないのよね?しかも子を殺さなかった。先々を考えたら存在を消すより殺した方が安心だわ。殺さなかったからこそ、今晩のクーデターの計画なのだから。王の女関係はどうなってるの?今更だけど調べた方が良いわね。

 《お断りします!私は子を産む道具では有りません。贅沢も必要有りません。》

 〈では仕方無いな…。〉

 王は私の片手を何か紐の様な物で結び、ベッドに繋ぐ。口に布を突っ込み、自身の体で私の体を押さえつけた。

 〈キス出来ぬのは残念だが、先の楽しみにしておこう。しかし安心して抱ける魔力量の女は久し振りだ。壊す心配も無い。悪いが暫くは離せんぞ。ん?お前は邪魔だ!あっちへ行け!まあ人型にもなれん聖獣は、指を加えて見とれ!〉

 モノク!もしかして助けてくれようとしたの?王に突き飛ばされるモノク。助けたいけど動けない。

 *****

 〈お前はこちらだ。〉

 体を押さえ付けられ、首筋から下へと這い回る王の掌と熱い息が気持ち悪い。掌が下腹部に近付く。M字開脚された中心に熱い息がかかる。指が擦る度に背中に悪寒が走り抜ける。空いた左手で頭を叩くがびくともしない。

 《やだっ!止めてよ!私が嫌なら害意なの!神様ってば!レイン!ラス!タルバー!》
 
 あ!シスルの国の騎士団総団長に貰った剣が有るじゃ無い。剣は魔法じゃ無いわ!私は剣を呼び出し左手に構える。王は慌てて後退し尻餅をつく。

 漸く口から布を吐き出した。モノクが王の足に噛みついてる。王が足を振り回し始めた。

 《モノクっ!》

 王に振り払われ、モノクは私の足元に転がった。

 〈リョウごめん。唇までは無理…。〉

 え?やだ!何が無理なの?えっ?大事な所を舐められた?舌先押し込まないで!やぁん。モノクよね?ピチャピチャ音がするんですけど。

 〈コイツは私がするのを邪魔して、なに羨ましい事してやがるんだ!離れろ!〉

 王よ。お前は何を言ってるんだ!

 床に放り投げられるモノク。床に転げ落ちる直前に、むくむくと大きくなった。

 えー?モノクが人型になりました!しかも凄い美女です。いや美青年だね。シスルも中性的だけど、もう少し美人系にした感じ。神様に近いかも。

 〈リョウ舐めてつついてごめんね。取り敢えず、シーツか何かにくるまっててくれる?助け呼ぶと、多分人が雪崩れ込んで来ると思う。〉

 モノクは私の腕の拘束を外し、ビックリして腰を抜かしている王の手足を拘束する。

 〈聖獣達よ!探している主はここだ!内からは魔法解除を織り込んだ結界を破れ無い。外から頼む。〉

 何これ念話敵なもの?直接脳内に響いてる。

 数分もせずドカンと物凄い爆音と共に、部屋の扉がぶっ飛んた。モノクの言った通り、怒濤の様な人々が流れ込んで来た。

 室内の惨状を呆然と眺める人々。シーツにくるまる私を見て、フリードとブランが青ざめて呟く。

 〈〈馬鹿王にヤられ《て無いから!》…。〉〉

 私はルードに隣室につれて行かれ、クリーンの魔法で綺麗にし新しい服に着替えた。シスルが色々登録してくれたから助かった。このスマポンってホントに魔法少女のアイテムよね。着替えると髪のセットから下着まで全てチェンジしてくれるのよ。まだハズレは無いけど、ツインテールとかされたら恐ろしいわね。因みに今日のセーラーの時は、ポニーテールにハンカチリボンだった。何時の流行りよ!

 *****

 兎に角助かった…。もう駄目かと思ったわ。安心したら腰が抜けてしまったみたい。何とかソファーに座りレインに詳細を話す。しかしビックリだ。

 私の以内間にクーデターは終了してた。現王に王弟のブラン。王太子にフリード。雪崩れ込んで来たのは、城中を皆で私と元王を探して居たから。

 ふーん。総出で探してたのに、モノクが呼ぶまで気付かなかったんだ?そう言えばあの魔術師は捕まえたの?アイツってそんなに凄い魔術師なの?

 〈既に拘束し、魔力封じの腕輪を嵌めました。まあ雑魚では有りませんが、大した魔術師では無いですよ。〉

 《なら何故その大した事の無い魔術師の結界が見破れなかったのよ。神様は弾いてくれないし、ヤられちゃうかと思ったわよ。》

 〈・・・・・。〉

 《ねえ!その沈黙は何?何か隠してるの?》

 〈すみません。結界の部屋は解ってたので、王の居ぬ間に全て済ませてしまおうと思ったのです。その方が余計な血を流さずに済みますからね。まさか王がリョウを手込めにしようとするとは思いませんでした。王は不能だと思われてますので。〉

 そう!それよ!魔力量がどうとか、壊さず安心して抱ける魔力量とか言ってた。暫くは離せんぞって怖いっ!やはり王家は絶倫なのよ!悪いけどイヤ!

 《壊さず抱けるって怖いわ。つまり魔力が少ないと壊れるのかしら?でも前王妃様も魔力は多いのよね?聖獣と契約出来たんだから。》

 〈後程本人に問いただしましょう。そう言えば、モノクと本契約したんですね。本契約すればリョウの魔力が巡り正常に戻れます。既に仮契約されてたので、もしもの時はモノクが助けると思っても居たんです。手込めにされず良かったです。〉

 手込めって何度も言わないでよ。気色悪いの思い出すわ。でもレインは心配してくれたんだよね。

 《仮契約って何時したんだろ?契約は真名の交換と体液交換だっけ?》

 〈仮契約は真名の交換と体液摂取です。本契約は体液を本人から直接貰い送り込む事が必要です。心当たりは無いのですか?〉

 《真名は私は教えたけど、モノクの聞いてないよ?体液摂取は私の血の滲みたタオルからかな?本契約の体液交換は・・・。》

 いや~。もしかしなくてもあれじゃない!送り込むのも有るからつついたのね・・・。

 〈リョウ?どうかしましたか?〉

 《もう何も聞かないで。モノクに聞くわ。》

 緊急事態とはいえ…。

 モノクも謝ったけど…。

 穴が有ったら埋まりたいわ…。

 *****
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