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【異世界の平和編。君の幸が皆の幸福。】
〓神々の罪と贖罪・愛ゆえに。
しおりを挟む結局海翔君は私を抱えたまま、その場で簡単に説明をした。結果と後々の事は、明日の午後以降に神託にて下ろす。自分達はこれからの世界の事を考え、今までの過ちを反省し2度と繰り返さない。努力をする限り、ラピス神はこの世界を導き見守る。その指針が聖女の幸せ。聖女の死後は使徒天使による導き。皆心する様にとの事だ。
私の幸せが指針っての止めてよー!
腕の中でジタバタする私を更にキツく抱き締める。ラピス神が指を鳴らすと、神殿内の人々は元の場所に戻されたそうだ。
『ほらほら暴れないの。何事もサックリとね。さあお姉さんの所へ行くよー。』
サックリさせないのは海翔君じゃないの?
*****
『さあ到着ー。』
目前にはベッドに眠るお姉ちゃんと、手を握り締めて付き添う旦那さま(予定)。私は海翔君改めラピス神様の腕の中から抜け出し、お姉ちゃんの寝息を確かめ安堵する。
旦那さまは突如出現した私達にビックリ。ラピス神様!?と目を見開き、突然の平伏叩頭だ。頭を上げて下さいと私が伝えてもピクリとも動かない。この世界の信仰心は凄いんだね。流石に私では駄目だね。カイが喋り出すと、漸く頭を上げてくれた。そんな中、水さしとタオルを持った、セリーがひょこりと顔をだした。
セリーは何故かじっくりと、まるでカイを検分する様に眺めている。頭の先から足の爪先まで舐める様だ。セリー??
〈あらラピス神様よね?リョウっては何処でそんなイケメン捕まえて来たのよ。しかし似た様なの引っ掛けたわね。こりゃライドのお仕置き決定ね。何時もの如くアンアン啼かされるわよ。嫌なら少しは素直になりなさいな。余りつれないと暴走して抱き潰されるわ。ライドならリョウが気絶しても励みそうね。でもナンパはダメ。リョウはラピス様に会いに行ってたのよね?〉
やだ!恐ろしい事言わないで!しかもナンパじゃ無いわ。でも似たようなのってどういう言う意味?セリーはニマニマしながら私とカイを眺めて居る。
・・・・・。
『これはこれはお元気そうで何より。お美しい聖獣様にお褒めに預り光栄です。私的にはリョウが一番ですが、貴女も素晴らしくお美しい。しかしナンパでは有りませんよ。この世界での死後にはなりますが、リョウは私の伴侶で使徒天使です。この世界ではライドに任せますが必ず返して貰います。リョウは元々私の物です。リョウの幸せが無ければこの世界も要りません。ライドもそれに含まれるなら仕方無い。瞬く間位は我慢しますよ。』
コイツってやはりあのヤンデレ?可愛そうだけど、もう体質と言うしか無いレベルね。リョウはヤンデレホイホイなのね…。
・・・・・。
セリーやめてー!そんな哀れむ様な目で見ないでー!私の回りってば、何でヤンデレモドキばかりなの?怖いよー。
『お2人には申し訳ありませんが、これから行う行為の説明後にライドの元に送ります。現在までの状況はそちらでお聞き下さい。そしてこちらの状況を伝えて下さい。これからの作業は大変繊細で危険な作業になります。明日の昼までには全てを完了させ、神託にて完了を伝えます。』
お姉ちゃんは今だ眠ったままだ。勿論聖獣も眠って居る。皆を座らせ海翔君はラピス神様として、お姉ちゃん達の未来について話し出す。最良の未来にしたい。しかし壁は高い。私達は選ばねばならない。勿論最終的に選ぶのはお姉ちゃんだ。でもその前に私達に話す理由。
それは私達姉妹にとって、中々に辛い現実だった。
*****
このままでは半月待たずにお姉ちゃんの肉体は滅びてしまう。これは肉体の寿命によるもので有り塞き止める事は不可能。同時に胎内の赤子も死亡する。これは母体が無くなれば仕方の無い事。聖獣は与えて居た魔力が必要無くなる為、衰弱はしているが命は助かる。新たな契約者が見つかれば徐々に回復するだろう。
これが本来の未来だ。しかしその未来を聖獣は望まなかった。多分生き残っても、この聖獣は特に誇り高い。自害してしまうだろう。死ぬなら一緒に。それが聖獣の願いだった。お姉ちゃんもそれに答えた。
でもお姉ちゃんは赤ちゃんが胎内に居るのを知らなかった。そして今だ待ってくれてる人の存在も…。聖獣は赤ちゃんも助けたかった。だから無理をしても生命力までを削り魔力を供給し続けて居た。可能ならばその気持ちに答えたい。
しかしラピス神様は、お姉ちゃんの肉体はもうどうにもならぬと言う。
《ならどうしたら良いの?何とかしてくれると言ったじゃ無い!神様ならちょちょいと奇跡とか起こせないの?》
『無茶言うね。それしたら世界が崩壊するよ。滅びるものは仕方がない。転生させる事なら可能だ。しかし転生は魂が同じだけで人格は変わり別人になる。魂が無に浄化されるからね。勿論赤子とも別々になるよ。ならどうしたら良い?簡単だよ。浄化されぬ魂が、人格はそのままで移動出来る器が有れば良い。つまり魂の入って居ない空の肉体が有れば良いんだよ。』
《死んだ人の肉体って事?でも死んだ人が生き返ったら驚くし元の家族が居るじゃ無い。絶対に無理だよ。》
『流石にそれは無い。全く他人の肉体に、浄化されて無い魂は宿れない。宿る肉体については後で説明する。率直に言えば、お姉さんが宿れる空の肉体は既に有るんだよ。今だ眠るお姉さんには事後承諾になるけど、赤子の父親の貴方に問いたい。良く考えて欲しい。貴方は器の違う彼女を愛せるか?これが一番重要な事なんだ。』
静まり返る室内。沈黙が続く。
『答えを出すのが難しいか?愛せないなら赤子だけを助ける事も可能だ。ここに有る水晶珠は母親の胎内に似ている。水晶珠の中で母親の肉体のみを消滅させ、聖獣と赤子の魔力線を直接繋ぐ。聖獣と赤子が契約する形になる。聖獣から赤子に魔力が渡る。既に母親から魔力の器の遺伝はコピーされてる。補助的に母親の代わりに双子で有る聖女が水晶珠に魔力を補填すれば、赤子は母体と離されても産み月分程水晶の中にいれば外界に出ても大丈夫だろう。』
ここまでが赤子のみを助ける方法だとカイは言う。
『勿論母親の魔力には敵わない。だが多少の魔力量が減る位だ。肉体の無くなった聖女の姉の魂は輪廻の輪に戻す。聖女の魔力で育つ赤子が愛せないならば、母親と共に輪廻の輪に返しても構わない。この場合は聖獣が後を追いそうだが仕形ない。私が説得しよう。赤子と母親の魔力は質が良く似ている。勿論聖女ともだ。契約者は聖女でも赤子でも、どちらでも聖獣は多分納得するだろう。』
全くの他人じゃ無い肉体には宿れない?なのに既に宿れる空の肉体が有るの?魔力の器の遺伝のコピーって何?どう言う事なの?それよりお姉ちゃんが居なくなっちゃうの?返答次第では赤ちゃんも?
〈ラピス神様。私に選択肢を与えて下さり感謝致します。余りの驚愕に返答が遅れて申し訳ございません。勿論考えるまでも有りません。私はエティが私の元に戻って来てくれるのを信じて待って居ました。そして漸く再び巡り逢えたのです。姿等些細な事です。私が愛したのはエティの心です。器が変われどエティの心が変わらぬなら構わない。姿等、年を経たら変わります。病気や怪我もしかり。しかし心だけは変わらない。永遠の物です。私はエティを愛してます。勿論お腹の子もです。〉
一息付きカイの目を捉えて更に話を続ける。
〈エティに伝えて下さい。どんな貴女でも私の愛は変わらない。こんなおじさんになった私でもまだ求めて下さるなら…。私は何時まででも家族になれる日を待って居ますと…。私に選択肢を与えて下さったラピス神様と、そのお心を癒しこの世界とを繋ぐ聖女様に尽きぬ感謝を…。〉
そう言い切るとエティの旦那さま(予定)は俯いてしまった。膝に涙の跡が見える。お姉ちゃん良かったね。この人ならきっと幸せになれるよ。
『だなー。お姉さんは幸せになれるよ。俺の心と世界とをを繋ぐ聖女様にうんねんの下りが常識人だもんな。俺がお前の為にだけ動いてるのを良く解ってる。ライドはくって掛かって来る。まだ若いな。言っとくけどリョウの幸せが俺の幸せだから。リョウがこの世界の幸せを願うから、俺はラピス神としてこの世界の幸せを願う。逆もしかりだ。聖女さま?よーく考えて行動してねー。』
いつの間にか隣に座り、腰に腕を回しながら耳元でヒソヒソと囁く。いやー。それって私が海翔君の機嫌を損ねたり、この不幸を望んだら不味いって事?望む気は無いけど、好き嫌い位は誰でも有るじゃ無い。海翔君とだって喧嘩位するわよ。多少は大丈夫よね?ラピス神じゃ無い海翔君は、優しくて常識人だったわよ?ラピス神様も常識人よね?
『聖女様?ジトメで見つめ無いでくれる?神になっても普通の常識位は有るから大丈夫だよ。さてそれでは最後に爆弾投下だ。心して聞いてくれ。因みに器の出所の経緯は身内にしか話せない。つまり聖女と姉だな。旦那達は考慮中だ。詳細は神の不祥事だからだ。暗黙の了解としといてくれると助かる。』
神の不祥事?元ラピス神様と地球の神様が更に何かしたの?
『魂の無い状態では外界に出せない。魔力が満ちた水晶珠の中に出現させる。聖女よ。動揺するだろうが心落ち着けて見よ。彼女はリョウとエティに1番近い者だ。』
私達は息を飲んで水晶珠を見つめた…。
*****
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