元最強集団に所属していた男、強さを勘違いされ国を救う事に。

明石 清志郎

文字の大きさ
5 / 5

5話:冒険者ギルド

しおりを挟む
 ニシンの街の冒険者ギルドに向かう。連邦による規制のせいか、新規登録の制限がかかっているが依頼をする者がいなくなるわけではないのでなくなる事はないだろう。結局捕まえたい人間を捕まえきれてないから、制限しているだけだしな。

 「それじゃあ行こうか」
 「ええ……」

 まともに使うのは久しぶりだな。NWが解散してからは、ほぼ利用していなかったからな。

 中に入ると、やはりギルドだけあってまだ活気がある。連邦に侵略され、負けた国は大抵が活気がないだけに貴重だ。

 「すまないがギルドマスターはいるかい?」

 入ってすぐの場所にいた受付嬢に声をかけ、ギルドマスターを呼びつける。

 「はい……失礼ですがマスターに何か用ですか?」

 急だったせいかこちらを訝し気な目で見てくる。さてこういう時はあれを見せればいい。

 「ちょっとね……こいつで話が通じないかな?」

 自分のギルドカードを見せると、目の色を変えてくる。そりゃ俺のランク見せれば驚くのを無理もない。

 「し、少々お待ちください!」

 受付嬢は慌てて奥の部屋に向かう。今となっては俺のランクを持っている者も少ないからな。

 「ギルドマスターこちらです」

 来たのは子供のような容姿のした女の子だ。

 「ギルドマスターのカミラだよ。よろしくね」
 「俺はハルでこちらはリーファだ」
 「まぁ立ち話もあれだし、奥の部屋に案内するよ」

 カミラに連れられ、奥の部屋に行く。

 「ねぇ一体どういう事?」
 「まぁまぁすぐわかるから」

 ギルドマスター室に入りソファーに座る。

 「それでSランク冒険者が何のようだい?」
 「ハルがSランク冒険者!?」

 リーファは驚くが無理もない。でも残念な事にSランクに見合う能力はないんだよな~

 「のやつにこの子を一人前の冒険者にしてくれと頼まれて、ここいらで魔物討伐してたんだが、ちょっと事故ってね……この子がギルド証を紛失しちゃったんだ」
 「あの人に……まさか君……」
 「まぁね……彼とは昔同じチームに所属していてね。三年前までは一緒に切磋琢磨したよ」

 Uに頼まれたというのは大嘘だが、同じNWのメンバーとして切磋琢磨したのは本当だ。

 「なるほどね……つまり紛失時の仮ギルド証の発行だね?」
 「そうそう。リーファは南方のとある国のお嬢様で、俺同様ギルドクリスタルの検索には引っ掛からないから」
 「いわゆる秘密案件って事か……ここに来たのも向こうで目立つからかい?」
 「ああ、南じゃ目立って鍛えられないからね」

 話の筋は通ってるはずだし、Sランク冒険者の権限と意向を考えれば変には疑ってこないだろう。Uの意向に逆らうような真似もしないはずだろうし。

 「わかったよ。それなら仮のギルド証を発行するね」

 冒険者のギルド証紛失時の仮ギルド証なら発行できるからな。そして俺が各ギルドに置いてあるギルドクリスタルの検索適用外であることが功をなしている。ギルドクリスタルとは紛失時のギルド証発行時に、本当に登録しているかを確認する為の物。NWの上位メンバーが作った超高等技術の結晶だ。

 「ありがとう。再発行料は先に渡しておくね」

 五千マースを手渡す。マースとはこの世界の通貨の単位だ。

 「了解。でも君も運がいいね」

 カミラがリーファを見て言う。

 「はい、彼には色々お世話になっています」
 「まぁそうなんだろうけど、Sランクの指導を受けれるなんてそうそうない事だよ」
 「ですね」

 あんまり話すとボロがでてしまい、怪しまれてしまうな。

 「ハハッ、内緒にしてたのにな~まぁ事情が事情だしこの際仕方ないけどね」

 苦笑いをして場をしめる。とにかく発行さえして貰えばもうここに来る事も当分ない。今は早くこの場を切り抜けよう。

 「前から強いのは知ってたけど、まさかSランクだなんてね。Aランクだなんて嘘つく事なかったのに」

 少し高圧的な態度で言う。どうやら話を合わせてくれたみたいだ。

 「アハハッ、ごめんね。あっ、この件はご内密にお願いします」
 「勿論!総長から頼まれた案件だろうしそこは任せてよ!」

 その場を凌ぎギルド証を発行してもらう事が出来た。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...