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だって全部面倒じゃん?
しおりを挟む「タメーヤ・サクドンメ!!!!お前との婚約を破棄する!!!!!」
ああ、面倒。
ドレスは重いわ、動きにくいわ、ヒールは高いわ、お腹は苦しいわ、まったく、パーティーとか考えたやつ、出てこいよ。
こんなんやる必要絶対ないじゃん。
「おい貴様!!!!!聞いているのか!!!!!」
ていうかこれ、なんのためにやってんの?
あーあ、おうち帰りたい。
しかもドレスって大分厚いし暑いし熱い。
照明めっちゃ眩しいし……。
こんなんが好きな貴族とか、マジ頭終わってるって。
「下賎な者の分際で、私を無視していいと思っているのか!!!!!!」
てか、さっきからうるさくなーい?
早く反応してあげなよ。
可哀想じゃん?
当事者だれ?
あれ?
これ、私じゃね?
さっきタメーヤ・サクドンメって言ったよね?
それ、私の、名前ぇ。
わーを。
「申し訳ありませんわ、殿下。衝撃的すぎて、情報処理が出来ませんでしたの。」
正直、全然オブラートに包めてないけど、もう良くね?
「ハッ!これだから無能はこまる!!男に媚びることしか考えれない女狐め!!!」
ええ?女狐???
あー、いいよね、狐。
可愛いよね笑
コンコンっつってね。
「どうして私との婚約を破棄されるのですか?
私、なにかしてしまいましたか?」
まあ、想像はできるよ。
アレだよね、どーせ。
ヒロインをいじめたから。
「それは、ノナンイ・ロヒガシタワをいじめたからだ!!」
はーいはーいはいはい、来ました来ましたー。
Theありきたり。
王道乙女ゲームありがとうございまーーーす。
「そんなこと、身に覚えがありませんわ?」
「シラを切るな!!こっちには証拠もあるのだぞ!!!!!!これが証拠だ!!!」
「あら、ありがとうございますわ。」
近くにいた次期騎士団長様に書類を渡された。
わざわざ書類作るとか、熱心かよ。
て、わーお。
まさかの内容幼稚すぎワロタ。
え?何これ?
まだ小一の子の日記の方が読めるよ?
ノナンイが悲しいって言ってたからいじめだ。
ノナンイがひどいって思ったからいじめだ。
え?何これ?(大事なことなので2回言いました)
え?え?え?え?
まってまって頭ショートしちゃう。
「こんなに確かな証拠があるのだ!!!タメーヤ!!!お前も落ちぶれたものだな!おい!ジーク!その売女を捕まえろ!!!」
はあ??
なんでそんなこと言われなきゃいけないわけ?
イミフなんだけど。
次期騎士団長様が私の腕を掴んでくる。
いったぁい。
コイツめっちゃ本気で掴んでくるんだけど。
てかもう握り潰してるよ。
私の腕はリンゴじゃないんだよ?
はあ、もう、いいかな。
全部面倒じゃん?
「うっざ。」
「………え?」
私が低く呟いた声は、意外と大きく聞こえたようね。
「マジウザイ。キモい。ホントに生きてる価値ないんじゃない?豚の方がまだいい働きするよ??いや、これは豚に失礼か。」
「…は、はあ!?貴様……俺を愚弄したのか!?」
「あー、ハイハイハイハイ。愚弄しましたよ!?愚弄しましたが何かー??あれー?すっごーーーく分かりやすく言ったつもりだったのにわかんなかったのー???アハッこれだから無能は困るわぁwww。大体さぁ、婚約って何??私そんなん聞いてないよ???てかアンタの名前なんだっけ???あれ?もしかして妄想??イッターイ。めっちゃイタイよー。あー、恥ずかしいねぇ、オージサマ(笑)?フッフフッフフフッ、ちょっと待って。こんな無能のクズが王子とか、この国終わりすぎじゃない??ウケるー!!てかさぁ、あの書類ってふざけて作ったんだよね?そうじゃないと、あんなに凄い物できないもんね?何あれ!!!絶対赤ちゃんの方が作文上手いよー!!!!アハハハハハ!!!!」
もういいや。
吹っ切れちったぜーい。
まあ、薄々みんなわかってたと思うけど、私には前世の記憶があるの。
私は前世、女子高生だったの。
まあ、ちょっとだけ、口が達者なだけの平凡な女子高生。
いつか、友達に言われたんだ。
『アンタって顔めっちゃキレイなのに、言うことえげつないよねー?ギャップどころの話じゃないよ?アンタ、皆になんて呼ばれてるか知ってる?邪神だよ?どうしたら女子高生が邪神になんのさ?』
えー、やだなー、酷いなー。
ま、前世のことはおいといて。
どうせ私は?腫れ物扱いされることだろうし?
暴れてやりますよ?
私、やられたら500倍にして殺りかえす(精神的に)からね。
覚悟してねー?
「な、な、な、」
「あれー???何も言えないのー??えー???これぐらいで何も言えなくなっちゃう系男子?うったれよわー。女々しすぎて辛いよーお??ていうか何?王子って、アハハ、こんな無能でもなれるとか、めっちゃラクじゃね??あー、お腹いたい。めっちゃ笑えるんだけどwてか何wwwこんwこんやくwww婚約破棄wwwwwwそもそも、フフッ、女子1人に、ブフッ、こんなに群がるとか、キッモwwwwwwwwww」
「ぜ、絶対そうだ!!!」
「へ?」
あれ、ヒロインちゃんが喋った。
え、あれって人形じゃなかったん?
妙にリアルだと思ってたけど、まさかの人間笑
「あ、あなた、日夜 愛姫さんですよね!?」
「え?なんで私の名前知ってんの?もしかしてストーカー?えー?私も有名になったもんだなー??」
「わ、私、あなたと同じクラスで、柊 美人って言うんですけど、覚えてませんか!!私、あなたに助けて貰ったんです!!」
「え!?うそ!?みとちゃん!?」
ヒロイン…みとちゃんの顔が明るくなる。
おお、周りに花が飛んでるよ
眩しくて直視出来ねぇ(ガン見)
「は、はい!そうです!!私、あの時感動したんです!!それは、高一の春でした──
私は愛姫さんと同じクラスになって、自己紹介のとき、名前を黒板に書いて自己紹介していったんですよね。
それで、私の名前をからかわれて、何も言い返せなかった時に、あなたが助けてくれたんです!!
『え?お前らもしかして、名前で容姿とかが決まると思ってんの??は??え??頭ダイジョーブ??え?じゃあお前、春馬なんだよね??え?お前馬なの??春の馬なの???フフッ、お馬さんは競輪場に帰ろうねー???wし、しかもwはるwはるのw春の馬てwwwwwwじゃあお前は春しか存在しないんですねー??wわー!かーわいそーwえ?てかお前、なんで人間の顔してんの???馬なのに?ねえ?w何で馬のくせに人間面してんの??www人面馬ですかー??????wwwwあ、そうだ~、馬だから喋っちゃダメだよねー???ほら、馬は馬らしくさ、惨めに鳴けよ???w見ててあげるからさー????ほら、どうぞ????お馬さん、ヒヒィーンって鳴けよ???あれ???鳴かないの??えー???あ、そうか~!!!!君は叩いてほしいんだねー???そうだよねー???だって馬って鞭で叩いて速く走るもんねー???あ、そういえばさ、馬ってめっちゃ重いんだよね。うっわ、デブなの?www教室陥没しちゃうよー???wwwえ???何で黙ってんのさ??さっさと鳴けよ。ジャンボ変態人面馬畜生???』
と、笑顔で言い切って。
私、ホントに、感謝してるんです!!!
あのおかげで、私は自分の名前を嫌いにならなくて済みました!!」
わーお、今考えるとエッグいわぁ。
こんなこと言われたら私だったら3日は学校休むわァ。
まあ、でも、フォロー入れたんだよね。
最後に。
『だからね、人の名前は、弄っちゃダメなんだよ?この世に生を受けた証なんだから、ね?わかった?』
って、微笑んだもん!
私悪くないわ!
いや、悪いかもしれんけども…。
正論だと思うけどな…………。
まあ、いいや。
「あ、そうなの。それはありがとうね。」
あー、なんか興醒めだわー。
あーあ、もう王子とかどうでもいいや。
面倒い。
「それでは、失礼いたしますわ。…………殿下、婚約破棄の件はまた後日連絡させていただきますわ。では、皆様、ごきげんよう。」
今更取り繕ったところで遅いけれど、
淑女の笑みを浮かべとく。
さあ、家帰って寝よっと。
後日、こんな人だとは思わなかったとか言って、凄く成長して歴史上でも指折りの天才となった王子様に熱烈なプロポーズをされて、それに絆されて、結局結婚しちゃうなんて、このときの私は思いもしていなかった。
「タメーヤ。何考えてるの?」
「あー、うーん、殿下のこと、かな?」
「わあ、それは嬉しいな。ありがとう。でも、いい加減、殿下じゃなくて、名前で呼んで?」
「………………アーベルト。って、触らないで!!」
「やっっっと、名前で読んでくれたー!!」
「……/////」
まあ、幸せなのかな……?
考えんのも面倒だし、いいや。
あ、ちなみに、私が婚約破棄されたパーティーは内輪だけのやつだったから、私たちの他に見ている人はいなかったようだよ。
あ、ヒロインちゃんは、次期騎士団長様と結婚したようだよ。
今では、いい親友になって、愚痴を言い合う仲だよ。
応援ありがとうございます!
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