悪役のため息

たなか

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悪女と呼ばれたご令嬢ー前編ー

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「なんですの、ここは」
わたくしは公爵令嬢のリッツネリア・アスタート。いえ、もう、公爵令嬢ではありませんわね。
婚約破棄もされましたし、家族に見捨てられ、こんなに深い森に追放されましたから。
まあ、私の話は良いのです。

森に追放されて、絶望していた私の眼前には、大きな大きな、公爵家の家よりも大きいかもしれないお屋敷があるのです。
どうしようかしら。入って良いのかしら。
お屋敷の前をうろうろしていると、
「あのー、どなたでしょうか?」
「っ!!!!」
振り返った先にいたのは、作り物のように整った顔立ちのメイドのような服を着た美少女でした。私の婚約者であった第一王子様の心を射止めた少女なんて足元にも及ばないぐらいの。
「あのー?大丈夫ですか?おーい!」
「っは!だ、大丈夫ですわ。私はリッツネリア・アスタートですわ。貴方は、このお屋敷に住んでいらっしゃるのかしら?」
「では、アスタート様と呼ばせて頂いてよろしいでしょうか?」
「え、ええ。」
「申し遅れました。私はフェルデトル・イスティント。気軽にフェルとお呼びください。私は、このお屋敷に住んでいらっしゃるお方に仕えさせていただいています。失礼でなければ、お屋敷にお入りになりませんか?」
「え、い…良いのかしら。」 
「はい!きっとライ様も喜ばれます!」
「その、ライ様…という方が貴方の主なのかしら?」
「はい!とてもお優しい方で、可愛らしくて、美しくて、ライ様のことを想うと、熱に浮かされたように頭がくらくらして、魅せられてしまって、惹き付けられるのです!」
「そ、そうなのね。」
大分心酔しているようね。
「フフ、その方が大好きなのね?」
「だ、大好きだなんてそんな!」
真っ赤になっちゃって。可愛いわね。
「も、もう!開けますよ?」
ドアが開いた。中は黒で統一されていて、所々に白の模様がある、落ち着く内装でしたわ。
「ライ様ー!!只今、帰りました!」
シーン………反応がないわね。
「あれ?いつもはすぐにいらっしゃるのですがね?寝ていらっしゃr「おっかえりー!!!!!!!!!」ライ様!」
「えへへ!ルル!おかえり!大丈夫?魔物とかに襲われなかった?」 
「ええ、ただいまです。この通り、何もありませんでしたよ。」
「良かったー!」
え、ええ…。パワフルなお方なのね。顔は見えないけれど、可愛らしい声をしているわ。
「あの、ライ様、こちらの方が、」
「へ?ああ、お客様?ようこそいらっしゃいましたー!主のライツェント・イスティントです。ゆっくりしていってください!ニコッ」


そのお方は、神様が本気を出したと言われても簡単に納得出来るほど整った顔立ちで、可愛らしさの中に美しさと艶やかさを兼ね備えていて天使様のようで。そんな顔で笑いかけられた、私は………………………………


バタン!
「キャー!アスタート様!?」
「うにゅ!?どうしたの?大丈夫?」



見事に気絶してしまったのでした。

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