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第五章 Face/Off
対峙―③―
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『……三条、しばらくの間、例の起動試験のための時間稼ぎを行う』
花鎧の男がロックの“ブラック・クイーン”の斬撃を受けながら、三条に語りかける。
後ろの三条は、感情的なものが無かったかのように、鼻を鳴らし、
「……わかりました」
三条は、召喚した大きな左手の甲でサミュエルの攻撃を受け、右掌でシャロンの“滑輪板”による突撃を防いだ。
サミュエルとシャロンが下がりつつ、三条と向かい合い、
「兄さん、まずい……このままだと」
サミュエルに指摘されて、ロックは気づいた。
催涙弾の煙幕が薄れ始めている。
“政市会”と“政声隊”に加わっていた民間人は逃げていたが、それ以外が問題だ。
「……“コーリング・フロム・ヘヴン”の炎と雷が、襲い掛かってくるな」
「……ついでに言うと、“政市会”もね……両腕の“スウィート・サクリファイス”は、“コーリング・フロム・ヘヴン”ほどじゃないけど、あちらも数の力は劣っていない」
龍之助を説得する。
それが、ロックとサキに課せられた仕事のはずだった。
しかし、いつの間にか両政治団体の戦いに巻き込まれていた。
――肝心の一平は……。
一平は、龍之助へひたすら追撃していた。
間合いが開いていたので、“爆轟咆破”の炎の榴弾で、龍之助を攻撃。
龍之助は、“セオリー・オブ・ア・デッドマン”の水の矛槍でかき消していく。
しかし、そんな一平に、“政声隊”のメンバーの一人が“コーリング・フロム・ヘヴン”の人型を向ける。
向けたのは、幅の広く、黒縁眼鏡の大男。
青緑のアンペア。
攻撃の速さで知られている。
一平に目を向けていると、
『余所見とは……余裕だな?』
“花鎧の戦士”の突き出す日本刀――“命導巧”:“モーニング・グローリー”の切っ先がロックの喉でちらつく。
刃には、悔しさがにじみ出る顔が浮いた。
しかし、青緑の人型から雷撃は放たれない。
薄紫のバラクラバと同色のシャツを纏った女性――“薄紫色の牙”の放った金的蹴りが、幅が広く、巨大なブロック塊の印象を与える大男の動きを封じる。
野太い男の声が甲高い悲鳴を上げる。
“薄紫色の牙”はすかさず、右足を移動させ、大男の左太腿へ回し蹴り。
痛みを堪えながら、大男は絹を裂いたような怒号で、“薄紫色の牙”に覆いかぶさる。
しかし、薄紫色の牙の動きが速い。
左太腿への右回し蹴りをすかさず、左脇腹へ放った。
脂肪と筋肉が蹴りへの衝撃で揺らしながら、大男は泡を吹く。
「カンタ!!」
歯をヤニで染めた痩せた女が叫ぶと、薄紫色の牙は後ろへ軽やかに下がった。
その際に、彼女は右後ろ回し蹴りをカンタと言う大男の土手っ腹に叩き込む。
吹っ飛んだカンタを受け取るヤニ歯の女と、脂肪太りの眼鏡女。
二人は目に怒りの色を灯し、薄紫色の牙を捉える。
しかし、薄紫色の牙の抱えていた小型騎兵銃の下に備え付けられた榴弾発射機から二つほど飛翔体が撃たれた。
放たれたのは、暴徒鎮圧用のゴム弾。
ヤニ歯の女と脂肪太りの女の額に当たると、二人は勢いよくぶっ飛ぶ。
そして、トルクを纏った黒いシャツと参加者を二人の体重で押し倒した。
ロックは安堵したが、目の前の光景に衝撃を覚える。
“花鎧”に囲まれた“花葬”と言う男。
薄紫色の牙に向け、男の眼は一瞬揺らいだ。
「余所見とは余裕だな?」
ロックが言い返して、獰猛な笑みを浮かべる。
刹那、駆け抜ける疾風で強化。
勢いよく、“花葬”を押し出す。
神速で運ばれる、花鎧の男。
疾走する鉄の塊に、“政声隊”のトルク集団を跳ね飛ばしていった。
男女問わず、ロックは鋼鉄の男のバリケードによる加速で、トルク集団が“コーリング・フロム・ヘヴン”を出すことを許さない。
ロックは“政声隊”の群れを抜け、コンクリートで作られた花壇の植え込みを“花葬”で壊す。
市の花であるマンサクの枝を爆散させながらさらに加速。
市役所職員の車のボンネットを“花葬”の背中で壊し、フロントガラスを炸裂させて止まる。
“ブラック・クイーン”の刃を引っ込めるロックは、左手で“花葬”を凹んだボンネットに押さえつける。
そして、花葬へナノマシン:“リア・ファイル”で強化した鉤拳撃を見舞った。
一撃が入り、機会の砕ける音が微かに響く。
しかし、ロックは乱打を止めない。
四打撃目が入りかけ、
『調子に乗るな!!』
“花葬”の怒号と共に放たれる右の蹴りが、ロックの腹に入る。
ロックは腹に力を入れ、“磁向防”で防ぐ。
しかし、衝撃による痛みに頭がふらついた。
微かに見える“花葬”が、“モーニング・グローリー”を順手に構え、右袈裟切りをロックに放つ。
咄嗟に、ロックは柄だけとなった“ブラック・クイーン”の籠状護拳で防ぐ。
ロックは右手の籠状護拳で流しながら、“花葬”の右わき腹に向け、左回し蹴りを放った。
命中するものの、“花葬”はロックの左足を右腕で掴む。
左の突きを放つが、ロックはそれを跳躍で躱した。
そして、その反動で振り上げた右回し蹴りを、“花鎧”に繰り出した。
両足の靴に鉄板を仕込んで威力は増すが、その分反動が強い。
鉄の鎧なら猶更だった。
ロックは地面に倒れる前に、左足でバランスを取る。
辛うじて立つと、鉄入りの靴を食らった衝撃に足元がふらつく“花葬”が目の前にいた。
「……やっとらしくなったな、“花葬”?」
“花鎧”は銀鏡色。
泥にまみれ、ひび割れが見える。
そんな銀鏡に輝く、ロックの余裕の笑みに彩られていた。
花鎧の男がロックの“ブラック・クイーン”の斬撃を受けながら、三条に語りかける。
後ろの三条は、感情的なものが無かったかのように、鼻を鳴らし、
「……わかりました」
三条は、召喚した大きな左手の甲でサミュエルの攻撃を受け、右掌でシャロンの“滑輪板”による突撃を防いだ。
サミュエルとシャロンが下がりつつ、三条と向かい合い、
「兄さん、まずい……このままだと」
サミュエルに指摘されて、ロックは気づいた。
催涙弾の煙幕が薄れ始めている。
“政市会”と“政声隊”に加わっていた民間人は逃げていたが、それ以外が問題だ。
「……“コーリング・フロム・ヘヴン”の炎と雷が、襲い掛かってくるな」
「……ついでに言うと、“政市会”もね……両腕の“スウィート・サクリファイス”は、“コーリング・フロム・ヘヴン”ほどじゃないけど、あちらも数の力は劣っていない」
龍之助を説得する。
それが、ロックとサキに課せられた仕事のはずだった。
しかし、いつの間にか両政治団体の戦いに巻き込まれていた。
――肝心の一平は……。
一平は、龍之助へひたすら追撃していた。
間合いが開いていたので、“爆轟咆破”の炎の榴弾で、龍之助を攻撃。
龍之助は、“セオリー・オブ・ア・デッドマン”の水の矛槍でかき消していく。
しかし、そんな一平に、“政声隊”のメンバーの一人が“コーリング・フロム・ヘヴン”の人型を向ける。
向けたのは、幅の広く、黒縁眼鏡の大男。
青緑のアンペア。
攻撃の速さで知られている。
一平に目を向けていると、
『余所見とは……余裕だな?』
“花鎧の戦士”の突き出す日本刀――“命導巧”:“モーニング・グローリー”の切っ先がロックの喉でちらつく。
刃には、悔しさがにじみ出る顔が浮いた。
しかし、青緑の人型から雷撃は放たれない。
薄紫のバラクラバと同色のシャツを纏った女性――“薄紫色の牙”の放った金的蹴りが、幅が広く、巨大なブロック塊の印象を与える大男の動きを封じる。
野太い男の声が甲高い悲鳴を上げる。
“薄紫色の牙”はすかさず、右足を移動させ、大男の左太腿へ回し蹴り。
痛みを堪えながら、大男は絹を裂いたような怒号で、“薄紫色の牙”に覆いかぶさる。
しかし、薄紫色の牙の動きが速い。
左太腿への右回し蹴りをすかさず、左脇腹へ放った。
脂肪と筋肉が蹴りへの衝撃で揺らしながら、大男は泡を吹く。
「カンタ!!」
歯をヤニで染めた痩せた女が叫ぶと、薄紫色の牙は後ろへ軽やかに下がった。
その際に、彼女は右後ろ回し蹴りをカンタと言う大男の土手っ腹に叩き込む。
吹っ飛んだカンタを受け取るヤニ歯の女と、脂肪太りの眼鏡女。
二人は目に怒りの色を灯し、薄紫色の牙を捉える。
しかし、薄紫色の牙の抱えていた小型騎兵銃の下に備え付けられた榴弾発射機から二つほど飛翔体が撃たれた。
放たれたのは、暴徒鎮圧用のゴム弾。
ヤニ歯の女と脂肪太りの女の額に当たると、二人は勢いよくぶっ飛ぶ。
そして、トルクを纏った黒いシャツと参加者を二人の体重で押し倒した。
ロックは安堵したが、目の前の光景に衝撃を覚える。
“花鎧”に囲まれた“花葬”と言う男。
薄紫色の牙に向け、男の眼は一瞬揺らいだ。
「余所見とは余裕だな?」
ロックが言い返して、獰猛な笑みを浮かべる。
刹那、駆け抜ける疾風で強化。
勢いよく、“花葬”を押し出す。
神速で運ばれる、花鎧の男。
疾走する鉄の塊に、“政声隊”のトルク集団を跳ね飛ばしていった。
男女問わず、ロックは鋼鉄の男のバリケードによる加速で、トルク集団が“コーリング・フロム・ヘヴン”を出すことを許さない。
ロックは“政声隊”の群れを抜け、コンクリートで作られた花壇の植え込みを“花葬”で壊す。
市の花であるマンサクの枝を爆散させながらさらに加速。
市役所職員の車のボンネットを“花葬”の背中で壊し、フロントガラスを炸裂させて止まる。
“ブラック・クイーン”の刃を引っ込めるロックは、左手で“花葬”を凹んだボンネットに押さえつける。
そして、花葬へナノマシン:“リア・ファイル”で強化した鉤拳撃を見舞った。
一撃が入り、機会の砕ける音が微かに響く。
しかし、ロックは乱打を止めない。
四打撃目が入りかけ、
『調子に乗るな!!』
“花葬”の怒号と共に放たれる右の蹴りが、ロックの腹に入る。
ロックは腹に力を入れ、“磁向防”で防ぐ。
しかし、衝撃による痛みに頭がふらついた。
微かに見える“花葬”が、“モーニング・グローリー”を順手に構え、右袈裟切りをロックに放つ。
咄嗟に、ロックは柄だけとなった“ブラック・クイーン”の籠状護拳で防ぐ。
ロックは右手の籠状護拳で流しながら、“花葬”の右わき腹に向け、左回し蹴りを放った。
命中するものの、“花葬”はロックの左足を右腕で掴む。
左の突きを放つが、ロックはそれを跳躍で躱した。
そして、その反動で振り上げた右回し蹴りを、“花鎧”に繰り出した。
両足の靴に鉄板を仕込んで威力は増すが、その分反動が強い。
鉄の鎧なら猶更だった。
ロックは地面に倒れる前に、左足でバランスを取る。
辛うじて立つと、鉄入りの靴を食らった衝撃に足元がふらつく“花葬”が目の前にいた。
「……やっとらしくなったな、“花葬”?」
“花鎧”は銀鏡色。
泥にまみれ、ひび割れが見える。
そんな銀鏡に輝く、ロックの余裕の笑みに彩られていた。
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