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先生方
しおりを挟む4月になった、引っ越しも漸(ようや)く終わり久曽神高校の一年生になる、今日から男の子として、久曽神陽斗として生きていく事になる……
入学式の今日は特に色んな人に会う事になっていてスケジュールがアイドル並みになっていた、
まあ入学式とお婆様が会長を勤めるアヴィオングループの視察と会社の創立記念日のパーティーに出席するくらいだけどね。ははは……
……どんな高校生なんだよ…
勿論これはお婆様の差し金で今から跡取りというのを印象付けようという策略だった……
陽斗君は小さな頃から英才教育なるものを受けさせられ頭脳明晰、運動抜群、性格最高、容姿究極(里夏ちゃん談)というどこの国の王子様だよ?って感じらしい。
私そんなに陽斗君と変わらないんですけど全然違うよね……
兎に角、入学式だ。お婆様も理事長として、また私の保護者として参加されるらしい。勇治さんは当然仕事で来れない……
学校の真新しい制服を着ると身体が引き締まる感じがした、勿論男子の制服なんだけど……紺色のブレザーにネクタイ、胸には校章のエンブレムが付いている。女子はブレザーにリボン型のタイにミニスカートで同じく胸にエンブレムがある。
それと肩まで伸ばしていた髪をショートにした、女子でも校則で伸びている髪を縛ったりしなきゃいけないらしい。秋くんはちょっと残念そうな顔をしてたけど。
リムジンにお婆様と里夏ちゃんと一緒に学校に向かう、秋くんはお婆様がいるので今日だけ電車通学らしい。慣れない所なのに大丈夫かな?
「陽斗、アヴィオングループの跡取りとして恥ずかしくない行動をして頂戴ね?期待してますよ?」
「……はい、お婆様……」
勇治さんとのえっちの後、陽斗君の記憶を取り戻したけど、性格や知り合い等の名前とかは思い出しただけで肝心な【誰が陽斗を殺したか?】の詳細が解らなかった……
お婆様にはこの事は話をしてない、言ったとこでどうにかなるものでもないだろうし、陽斗くんはそれを望まない……
もしかすると今日会う人の中に犯人がいるかも知れないと思うと身震いが停まらない……だけど捜すしかない、それが出来るのは私だけなんだから……
「「「いらっしゃいませ、理事長!おめでとうございます、陽斗様!」」」
推薦試験の時みたいに先生全員に歓迎の挨拶をされる、確かに何人か知り合いがいた……記憶に残ってる…
「おはよう、陽斗を頼みましたよ。陽斗、こちらは高校の校長ですよ。」
「勿論ですとも、お委せ下さい。陽斗様!宜しくお願い致します、私校長の中谷庸二(なかやようじ)と申します!何かございましたら私に言ってくだされば承りますので!!」
「はあ……宜しくお願いします……」
お婆様に紹介された人は校長らしいんだけど油臭い……整髪剤の匂いも重なり半端なく臭かった……
朝からどうしてこの人こんなにテンション高いんだろう……
次に職員室に入り一人ずつ先生の紹介をされていく。
まだクラスの発表も見てないのに担任を紹介される……
一年壱組らしい私の担任は三咲紫帆(みさきしほ)先生、25才で陽斗君の記憶では家庭教師を小学校の頃にしてくれてた。
「お久し振りです。」
「え?あ、ああ…そうですね。お久し振りです、よろしくお願いします……」
三崎先生微妙な顔してる、何でだろ?
続いて何人か紹介されたが最後に数学担当の古島學(こじままなぶ)先生、陽斗君の中学の時の担任の先生で失踪したと聞かされていてずっと責任を感じていたらしい。陽斗君が戻って来るという話を聞いてわざわざ高等学校教諭専修免許を習得したらしい……何故そこまで?
「陽斗……本当に陽斗なのか……?」
「………はい、お久し振りですね。まな先生……」
「!?確かに……陽斗だ……」
まな先生とは陽斗君しか呼ばない古島先生の呼び名だった、どんな関係だったかも思い出している……
「では入学式が始まりますので皆さんは体育館に移動をお願いします。」
学年主任の北地一大(きたじかずひろ)先生に言われて体育館に移動する。
入学式で新入生代表挨拶を行うことになっていた私はガチガチに緊張しまくっていた……
嘉久兄さんも去年代表で挨拶をしたらしくて「落ち着いて話せば大丈夫だよ。」とアドバイスして貰った……
入学式……壇上に上がる、新入生なのに何故にこっち側にいるんだ?私……とか変な事を考えている……
下には同じく新たにこの高校に入ってきた同級生になる一年生がいる……
これから色んな事があるんだろうな……恋愛とか友情とか……思い出沢山作りたいな……
応援ありがとうございます!
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