上 下
3 / 5

第三話

しおりを挟む

 結局二時間の激闘の上、中学校の一年に12歳として途中編入で入る様になった。ただし、まだ女の子としての教育を受けてからで6月くらいがいいだろうという事に。

「はあ……何も毎日姉弟揃って来なくてもいいだろ?俺もリハビリで大変なんだからさあ……」

 まあそれ以前に退院しなけりゃ意味がないんだけどさ。リハビリはまだ続いていて午前中は軽く運動したり看護師さんから退院後に役に立つ女子についてのアレコレを聞いたりしている、何しろ40年男子をやってきて女子の事はあまり知らない。そりゃ祐未と付き合ったり他の女の子とか付き合ってたりはしたから多少なりとも解るけど女の人生は歩んで来なかったのでそういう苦労とかはわからない。一番解らないのは女子としての振る舞いや言葉遣い、別に今まで通りでもいいと思うんだが……


「あっ!また俺って言った!!わたしでしょ!?
わ・た・し!!」

「……なあ、美奈。別にさあ、俺でもよくないか?ほら、ボクっ娘とか俺っ娘とかいるだろ?」

「ダメ!今直しとかないと学校行く時困るでしょ!?姉の私が色々言われるんだからね、今でしょ!今!!」

 コイツ、使うギャグがいちいち古いんだよなあ……俺の影響か?大体お前とは学校違うんだから言われる事はあんまりないと思うんだが、寧ろ言われるなら翔太の方だろ?

「ん?どうしたの、父さ……詩愛?」

「あ、いや。翔太も大変だろ?ほら、部活とか勉強とか忙しいだろ?」

「ああ、まあ今は新入生が入ってきたばかりだから基礎体力作りが中心だからそうでもないかな。それよりも詩愛の方が気になるよ、リハビリ頑張ってね?」

 うっ………コイツも俺に似てイケメンなんだよなあ……って、イカンイカン。息子に何でドキドキしてるんだ、俺は………

「詩愛?」

「あ、ああ。大丈夫だよ、ありがとな。」



 さて、リハビリの内容だが小学校高学年になるとよくある男女別々に分けられて授業するってやつ、あの内容がその時はよく判らなくて男子は体育館でドッジボールして楽しかったくらいだったがその内容を聞いている、まあ今更な性教育なんだけど。今の子供達はちゃんと男女共に聞いているんだって。

「と、言うわけでここまでが女子が受ける性教育ですね。まあ男子は御存知でしょうから?」

 看護師の美村さんに口をニヤリとされながら問われるが御存知ですとは言いにくい、セクハラになっちゃうから。

「では次に先生から詩愛ちゃんに生理について説明をしておけと言われたので」

 うっ、美村さんなんか怒ってるな。余程嫌だったのに無理矢理押し付けられたんだろうな、わかるわかる。俺も未だに上司や部下からどれだけ無茶な仕事をやらされたか……
あ、今は違うか。

「まだ詩愛ちゃんはきてないですけど性反転病になった人はその後生理がちゃんときてるみたいで、まあそんなにはいないんですけどね。」

「うーん、やっぱりあるのか。生理……大体どれくらいの人がなってるんだ?性反転病って」

「そうですね、全国でいうと大体一万人に一人って割合らしいですけどまだ発症してない人もいたり地方によっては三人とかいたりしてはっきり判らないんですよねー」

 そうだよな、先生もそんなこと言ってたし、まだ原因不明ってことか。

「あっ!詩愛ちゃんに誤魔化されるとこでした、じゃあ始めますよー」

 ちっ、誤魔化せなかったか。結構恥ずかしいんだけど聞かなきゃ困るんだろうなあ………



    
しおりを挟む

処理中です...