十二神将

humi

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風雲急を告げる尾張

斯波氏の没落と権力の失墜

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富田砦にて今後の方針を話していると虎丸が
正面より入ってきた。
「斯波義達、引馬城にて今川氏親に敗北して囚われました」
「そうか囚われたか・・・これで尾張は荒れるな」
坂野木はそっと呟いた。二年前にも義達は遠江に攻め込み惨敗していた。その時は守護代である清州城主織田達定が反旗を翻した。
尾張三奉行の協力を得て達定を自刃させる事に成功したが、今回は三奉行全ての反対を押し切っての出兵であった為、最早義達を擁護する勢力は無くなったと言っても良かった。
「殿、今後の方針をお決め下さい」
戸谷が坂野木に方針を尋ねるが、戸谷の腹積りは清州取りであった。自害させられた達定の後継には弟の達勝が家督を継ぎ尾張守護代になっていたが、三奉行の協力なくしては立ち行かない風前の灯だった。
「ふむ・・・わしは動かぬよ」
またと無い好機ではあったが坂野木は即答で答えた。
「殿は富田で終わる方ではありません。今なら清州城を攻め落とせますぞ」
戸谷が坂野木に進言をすると坂野木は冷静に全体を見渡す様意見を求めた。
「私も戸谷殿の意見に賛成でござる」
真っ先に身を乗り出し鬼備えの飯岡章人が戸谷に同意する。それをきっかけに主だった将が賛成した。
「中村はどう思う?」
全員が賛成する中、外交担当である中村治兵衛に意見を求めた。
「清州を攻めると言う事はこの富田が手薄になりまする。攻めるならば美濃の土岐か今川の協力は必要と思われます」
この中村の発言を聞いた途端吉岡良弘が
血相を変えて中村を否定した。
「今川は信用できませぬ。どうせ尾張が混沌とする事を望んでおりまする」
「虎丸、美濃の様子は掴んでおるか?」
「はっ、土岐凋落激しく、家督争いで嫡子を誰にするかで揉めておりまする」
土岐政房は守護代長井長弘と斉藤彦四郎の支持を受け嫡男頼武を廃嫡し頼芸を嫡子にしていた。
「わしの腹づもりは決まっておる。富田を守る」
全員の意見を受けながらも坂野木は出兵しない事を決めた。
「殿!」
尚も引き下がらない戸谷を手で制し、ここまで発言の無かった上本に突然話しかけた?
「以前話していた滑車の件はどうなった?」
「材料は揃いました。許可さえ頂けば三月程で完成させまする」
滑車とは鉄製の道をを作り、馬車をその上に走らせ物や人を運ぶ物だった。以前より上本に指示をし坂野木が作らせていた。
「では取り掛かってくれ。あれが完成すれば物資の移動に役立つはずだ」
南北は千音寺村から日光川河口までの二里と東西は蟹江城から庄内川川瀬までの一里を春田城を交差する道を作る大規模工事の許可を出した。
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