反映する愚痴

humi

文字の大きさ
2 / 5

帰宅と喜び

しおりを挟む
 女子会の会話は店から出ても続く。店の前で話す旦那の陰口が止まらない。誰か一人が帰ろうとすると無意識に新しい陰口が飛び出して引き止める。
「旦那が迎えにきたから行かなきゃ。あーぁ何で来るかなぁ。もっと話したい事あったのに」
 わざわざ酒も飲まずに迎えにきてくれた旦那への感謝など全く感じず、迎えにきた事すら愚痴が溢れた。

「女子会楽しかった?」
 あゆみの旦那の和宏が運転をしながら妻に会話をしようと試みた。
「うん」
 空返事とはこの事を言うのだろう。今まで楽しかった会話の余韻に浸りたいのに喋りかけてくる旦那が鬱陶しくて仕方がなかった。
(おめぇがこなけりゃ、もっと楽しかったけどな)
 あゆみは久しぶりの飲み会で飲み過ぎたせいで家に着くと着替える事も出来ずソファで眠りに着いてしまった。

 明くる日、あゆみが目を覚ますと前日のお酒が残っているのか頭が少し痛む。二日酔いである。タオルケットを外しながらテーブルの上に置いてあった水を一口飲むと、頭が働いてくるが現実に引き戻された絶望感も同時に襲ってきた。
(あーぁ。またあいつの顔見なきゃいけないのか)
「おはよう」
ソファーの後ろからあいつの声が聞こえてくる。
「うん」
ここ数年和宏におはようを返したことなど無いあゆみは顔を見る事もせず、返事だけ返した。
 グラスを流しに戻そうと立ち上がり、振り返るとあゆみは水の残ったグラスを床に落としてしまった。
(えっ?竹野内?竹野内豊?)
 あゆみの目の前にはあの竹野内豊が立っているのだ。普段なら清潔感の無い髭も竹野内だとスタイリッシュな髭に見えてしまう。
「あなた?あなたなの?」
あゆみの前にいる和宏はどこからどう見ても、竹野内なのである。あのみっともなく出ていた太鼓腹も無くなっている。
「どうしたんだ?まだ寝ぼけてるのか?」
「⁉︎」
 声は和宏そのままなのである。この残念な現象に心の中でそこまで変われるなら声も竹野内にしろと呟くのだった。

 和宏が仕事に出かけて旦那が竹野内に代わっていた余韻に浸っていると亜子から電話が掛かってきた。
「あゆみ?旦那さん竹野内になってた?」
普通であればそんな事を言われたら驚くのだろうが、現実に旦那が竹野内になっていたあゆみは、もしかしたらと思い亜子に聞いてみた。
「もしかして亜子の所もキムタクに・・・」
「うん!なってた。キムタクマジでカッコよかった。朝から誘っちゃったよ」
あゆみは亜子の積極性にたじろぎながらも、自分の所だけかと質問をした。
「声って・・・」
「そうなんだって!マジでムカつく!顔はイケメンなのに声は元のまんまってマジでゲンナリだわ!」
 亜子の家もやはり変わったのは顔だけで声は変わっていなかった。
「まぁいいわ。今までは目を瞑ってたけど、これからは耳栓だけで良くなる」
 二人は男性に対して失礼な発言を繰り返すが、何も悪いとは思っていない。寧ろこんな感情にした自分達が反省しろと言わんばかりに大笑いした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

処理中です...