13 / 17
舞台 「あと一ヶ月の恋」
しおりを挟む
四谷に言われて演技を行う事になった大志は稽古衣装に着替えて舞台の上に立った。演劇座の練習ホールは200人程入れる映画館程度の大きさである。大志はテレビドラマには出ているが、舞台にも映画にも出演した事がなかった。初めて見る舞台からの客席にまだ観客が入っていないにも関わらず、生で自分の演技を見られる事を想像すると言いようも無い高揚感を覚えた。
「ドラマの撮影とは違うでしょ」
四谷が舞台袖から台本を手にして現れ、興奮気味の大志に無表情で話しかけてきた。
「テレビから舞台に来る人は皆んな驚くんです。演劇は生で観客の評価を受ける事が出来る。そこに喜びを感じたらもう辞められなくなる」
渡された台本は二ヶ月後に講演を控えた四谷演劇オリジナル脚本「あと一ヶ月の恋」この物語は第二次世界大戦末期の日本が舞台で、特攻隊に選ばれた1人の青年蒲田智也の特攻が決まって死を覚悟してから出会った女性との恋の物語である。
「君には蒲田の友達の和泉を演じてもらいます」
大志はまさか急に役を渡されるとは思っておらず慌てて台本を捲《めく》り和泉のセリフを心で読み始めた。
空軍に配属されている和泉と蒲田は尋常小学校以来の同級生で一番の親友だった。和泉には将来を約束した許嫁がおり、和泉も一緒になるのを楽しみにしていた。しかし、上官で独身の小林にその事を妬まれ、志願兵で構成されるはずの特攻隊に強制的に手を上げさせられる。和泉の幸せを願う蒲田は小林の執務室に乗り込み和泉の代わりに特攻隊員に志願する。自分の幸せの為に笑って死へと向かえる蒲田を嘆きながらも感謝すると言う役だった。
台本を一通り読み終えた大志は重要な役にも関わらず内心ホッとした。自分が得意とする感情的な演技、オーバーアクションとも言われる演技が如何なく発揮できる役だった。
(これなら二ヶ月もあれば出来る。いやセリフを覚えてしまえば直ぐにでも出来る)
テレビドラマでは台本が前日に来る事もある。それを考えれば出来上がっている台本に、自分に合った役で、事もなくデビュー出来ると安堵した。
四谷組と言われる四谷脚本の物語に必ず出てくる俳優が脇を固め、主演には若手No.1の演技派と言われる佐田昌輝《さだまさき》が起用されていた。
しかし、練習をするのに佐田の姿がどこにもない。
初期配置に付き、佐田の到着を待っていると、
「今日は大志の演技を見る為に集まってもらったけど、昌輝はスケジュール合わなかったから、いる程でやってもらいます」
ここにいる全員が初舞台の大志の為に集まったのだった。
「ドラマの撮影とは違うでしょ」
四谷が舞台袖から台本を手にして現れ、興奮気味の大志に無表情で話しかけてきた。
「テレビから舞台に来る人は皆んな驚くんです。演劇は生で観客の評価を受ける事が出来る。そこに喜びを感じたらもう辞められなくなる」
渡された台本は二ヶ月後に講演を控えた四谷演劇オリジナル脚本「あと一ヶ月の恋」この物語は第二次世界大戦末期の日本が舞台で、特攻隊に選ばれた1人の青年蒲田智也の特攻が決まって死を覚悟してから出会った女性との恋の物語である。
「君には蒲田の友達の和泉を演じてもらいます」
大志はまさか急に役を渡されるとは思っておらず慌てて台本を捲《めく》り和泉のセリフを心で読み始めた。
空軍に配属されている和泉と蒲田は尋常小学校以来の同級生で一番の親友だった。和泉には将来を約束した許嫁がおり、和泉も一緒になるのを楽しみにしていた。しかし、上官で独身の小林にその事を妬まれ、志願兵で構成されるはずの特攻隊に強制的に手を上げさせられる。和泉の幸せを願う蒲田は小林の執務室に乗り込み和泉の代わりに特攻隊員に志願する。自分の幸せの為に笑って死へと向かえる蒲田を嘆きながらも感謝すると言う役だった。
台本を一通り読み終えた大志は重要な役にも関わらず内心ホッとした。自分が得意とする感情的な演技、オーバーアクションとも言われる演技が如何なく発揮できる役だった。
(これなら二ヶ月もあれば出来る。いやセリフを覚えてしまえば直ぐにでも出来る)
テレビドラマでは台本が前日に来る事もある。それを考えれば出来上がっている台本に、自分に合った役で、事もなくデビュー出来ると安堵した。
四谷組と言われる四谷脚本の物語に必ず出てくる俳優が脇を固め、主演には若手No.1の演技派と言われる佐田昌輝《さだまさき》が起用されていた。
しかし、練習をするのに佐田の姿がどこにもない。
初期配置に付き、佐田の到着を待っていると、
「今日は大志の演技を見る為に集まってもらったけど、昌輝はスケジュール合わなかったから、いる程でやってもらいます」
ここにいる全員が初舞台の大志の為に集まったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる