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大志の一歩
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洋介は玄関で大志と顔を合わせると、いつもなら「ただいま」と元気よく返してくれるが、スッと目を逸らすとそのままそそくさと自分の部屋へと上がっていった。
(加良の奴、厳しくしすぎたんじゃないか?)
自分で紹介したとは言え、若い頃から四谷は演技に熱が入ると前しか見えなくなるのを洋介は知っていて一発や二発は殴られると覚悟していたが、挨拶も出来ない程に凹まされて帰ってくるとは思っていなかった。
洋介が晩御飯の準備をしていると大志が二階から大きな旅行用鞄を肩に下げて降りてきた。
「パパ、今日から家を出るから」
突然の報告に洋介は驚いてしまった。男である以上、一度は自分一人で生活する事も必要だと思ってはいたが、あまりにも唐突すぎた。
「加良に何か言われたのか?」
「違うよ。公演までの二ヶ月練習に集中したいんだ。今のままじゃぁ、四谷さんに認めてもらえないし、何も変われない」
そう語る大志の眼差しは力強く、迷いも無かった。
「分かった。梢と健吾には伝えておくが、ママには自分で伝えなさい」
「いいよ。ずっと会えない訳じゃないし、取り敢えず公演が終わるまでだから」
大袈裟に受け取る洋介に今までぬるま湯に浸かりながら芸能界にいた事を改めて感じさせられて苦笑いしてしまった。しかし、洋介は真顔で返してくるのだった。
「まだ詳しい事は言えないが、今のドラマ撮影が終わったら、ママとは当分会えなくなるかもしれない。自分でキチンと説明しなさい」
家を出るまで何度も確認するように念を押す洋介だった。
(加良の奴、厳しくしすぎたんじゃないか?)
自分で紹介したとは言え、若い頃から四谷は演技に熱が入ると前しか見えなくなるのを洋介は知っていて一発や二発は殴られると覚悟していたが、挨拶も出来ない程に凹まされて帰ってくるとは思っていなかった。
洋介が晩御飯の準備をしていると大志が二階から大きな旅行用鞄を肩に下げて降りてきた。
「パパ、今日から家を出るから」
突然の報告に洋介は驚いてしまった。男である以上、一度は自分一人で生活する事も必要だと思ってはいたが、あまりにも唐突すぎた。
「加良に何か言われたのか?」
「違うよ。公演までの二ヶ月練習に集中したいんだ。今のままじゃぁ、四谷さんに認めてもらえないし、何も変われない」
そう語る大志の眼差しは力強く、迷いも無かった。
「分かった。梢と健吾には伝えておくが、ママには自分で伝えなさい」
「いいよ。ずっと会えない訳じゃないし、取り敢えず公演が終わるまでだから」
大袈裟に受け取る洋介に今までぬるま湯に浸かりながら芸能界にいた事を改めて感じさせられて苦笑いしてしまった。しかし、洋介は真顔で返してくるのだった。
「まだ詳しい事は言えないが、今のドラマ撮影が終わったら、ママとは当分会えなくなるかもしれない。自分でキチンと説明しなさい」
家を出るまで何度も確認するように念を押す洋介だった。
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