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最強天使、思わぬ味方に救われる
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『江戸ワンダフルランド、魔法使い現る!』
『イチゴ帝国栃木に、天使降臨か!?』
次々と新聞の見出しが頭に浮かぶ。まずいぞ!マスコミが押し寄せ、美浜一族に迷惑がかかることは必然だ。いったいどうすれば——!?
「わあっ! まげニャン、意外とおっきいね!」
「まげニャン! 私とも撮って!」
…………。
え?
まげニャン……?
振り返ると、誰もこちらを見ておらず。人の波は逆方向へ押し寄せていた。身を忍ばせていた俺は、静かにその陰から歩み出る。ずいぶんな熱気だが、なんだ?俺の瞳の望遠レンズ、作動——。
む!?群衆の向こうに、マゲを結った長身の猫の着ぐるみがいるではないか!い、いや!着ぐるみなど、夢のないことを言ってはならん!マゲを結った、猫に扮した人間がいるではないか!……訂正のはずが、悪化している。
袴の懐に右手を差し込んだまま、俺は遊と蒼くんのそばへ。そろそろ体温で団子がふやけそうである。
「遊よ、彼は人気のキャラクターなのか?」
「江戸ワンダフルランドのマスコットだよ! すぐに家に帰っちゃうからさ、会えるの結構レアなんだ!」
ほう。マスコットにしてインドア派。個性的である。そして、そんな独自性の猫人間(これでいいのか?)を生み出すとは、栃木にまた一本取られたぞ。どうやらこの地は、硫黄温泉のようにクセになる魅力が、県内各所に散りばめられているようだ。
「サミュエルさん」
「うむ、蒼くん。どうした?」
「……まげニャンが登場するまで、どこにいたんですか?」
坂本龍馬風ポーズで感心している場合ではなかった。蒼くんが鋭い眼差しで俺を捉え離さぬぞ!
「ニャ、ニャン、まげニャンを追おうとしていたのだ!」
猫語になった上に、まげニャンとは反対側から現れておきながら矛盾している。だが、俺は幸い方向音痴だ。「俺さ、まげニャンが目の前にいたのに、後ろに行っちゃったんだっ!」で通用するだろう。するか。なに遊みたいな話し方してんだ。
「さて、ゆばめしを食べるとしよう。蒼くん、まずは団子を」
懐から団子を取り出した俺は、強引に会話を終わらせた。目の前に差し出された串を手にし、蒼くんが首を傾げている。
「俺が貰っていいんですか?」
「うむ。さっき食べたがっていただろう?」
訝し気な蒼くんだったが、そのままピンクの団子をぱくりと頬張った。もぐもぐと噛み飲み込むと、驚いたように目を見開く。
「あれ……?」
不思議そうに腹をさすっている。これでだいじだろう。
「痛みがすっと引いたような……」
「ははは。団子パワーだな。さて、ゆばめしを食べるとしよう」
どんだけゆばめし食べたいんだよ。
再び強引に会話を締めた俺は、みなを引き連れ店内へ。遊だけ牛すじめしを選んでいたが、ここは日光だ。ゆばを食べずして、何を食す!
「いったっだっきまーす!」
「いただきます」
遊に続き、俺は静かに木匙を取った。ホカホカの白米の上に、とろりと餡が絡まったたっぷりのゆば。ちょんと乗ったワサビと共に口へ運べば、優しい出汁とツンとくる辛みの相性が抜群だ!旨い!この丼、あと五杯は食べられるぞ!
「蒼、お腹だいじ?」
「うん。団子食べたら治った」
「アハハッ! なにそれ!?」
しのぶちゃんにつられて蒼くんも笑ったが、どこか納得していない様子。急に止まった腹痛が不可解でならぬのだろう。
「力也先輩、俺の牛すじめしも食いますか?」
ゆばめしを頬張る力也くんは、笑って首を横に振った。
「遊、ゆばも食べたいの? 僕の一口あげるよ」
「わーい! ありがとうございまーす! あーん!」
自ら「あーん」と言って口を開ける。インドアなマスコットくらい新しいのでは。
遊の自由ぶりに、力也くんは屈託のない笑顔を見せた。花が咲いたような力也くんの笑みに、頭上の数字が明滅し始める。
おや?遊よ、お前はやはり天使にふさわしいのでは——?
「……うまっ! ねえねえ、食い終わったら忍者の大迷路に挑戦しようよ!」
ムニムニほっぺを動かす遊は、一刻も早く江戸の町を満喫したいらしい。
「ほう。面白そうな響きだな?」
「難しくて、ギブアップする人が続出してるんだってさ!」
それほどまでに本格的ということか。だが、我々は万全のコンディションの我々だ。難なくクリアできるだろう。
忍びの里へ、いざ出陣である!
——続く——
読んでくださりありがとうございます!引き続き、ワンダーな江戸の世界をお楽しみください!(笑)お気に入り登録、投票、いいねや感想で応援して頂けると嬉しいです!!
『イチゴ帝国栃木に、天使降臨か!?』
次々と新聞の見出しが頭に浮かぶ。まずいぞ!マスコミが押し寄せ、美浜一族に迷惑がかかることは必然だ。いったいどうすれば——!?
「わあっ! まげニャン、意外とおっきいね!」
「まげニャン! 私とも撮って!」
…………。
え?
まげニャン……?
振り返ると、誰もこちらを見ておらず。人の波は逆方向へ押し寄せていた。身を忍ばせていた俺は、静かにその陰から歩み出る。ずいぶんな熱気だが、なんだ?俺の瞳の望遠レンズ、作動——。
む!?群衆の向こうに、マゲを結った長身の猫の着ぐるみがいるではないか!い、いや!着ぐるみなど、夢のないことを言ってはならん!マゲを結った、猫に扮した人間がいるではないか!……訂正のはずが、悪化している。
袴の懐に右手を差し込んだまま、俺は遊と蒼くんのそばへ。そろそろ体温で団子がふやけそうである。
「遊よ、彼は人気のキャラクターなのか?」
「江戸ワンダフルランドのマスコットだよ! すぐに家に帰っちゃうからさ、会えるの結構レアなんだ!」
ほう。マスコットにしてインドア派。個性的である。そして、そんな独自性の猫人間(これでいいのか?)を生み出すとは、栃木にまた一本取られたぞ。どうやらこの地は、硫黄温泉のようにクセになる魅力が、県内各所に散りばめられているようだ。
「サミュエルさん」
「うむ、蒼くん。どうした?」
「……まげニャンが登場するまで、どこにいたんですか?」
坂本龍馬風ポーズで感心している場合ではなかった。蒼くんが鋭い眼差しで俺を捉え離さぬぞ!
「ニャ、ニャン、まげニャンを追おうとしていたのだ!」
猫語になった上に、まげニャンとは反対側から現れておきながら矛盾している。だが、俺は幸い方向音痴だ。「俺さ、まげニャンが目の前にいたのに、後ろに行っちゃったんだっ!」で通用するだろう。するか。なに遊みたいな話し方してんだ。
「さて、ゆばめしを食べるとしよう。蒼くん、まずは団子を」
懐から団子を取り出した俺は、強引に会話を終わらせた。目の前に差し出された串を手にし、蒼くんが首を傾げている。
「俺が貰っていいんですか?」
「うむ。さっき食べたがっていただろう?」
訝し気な蒼くんだったが、そのままピンクの団子をぱくりと頬張った。もぐもぐと噛み飲み込むと、驚いたように目を見開く。
「あれ……?」
不思議そうに腹をさすっている。これでだいじだろう。
「痛みがすっと引いたような……」
「ははは。団子パワーだな。さて、ゆばめしを食べるとしよう」
どんだけゆばめし食べたいんだよ。
再び強引に会話を締めた俺は、みなを引き連れ店内へ。遊だけ牛すじめしを選んでいたが、ここは日光だ。ゆばを食べずして、何を食す!
「いったっだっきまーす!」
「いただきます」
遊に続き、俺は静かに木匙を取った。ホカホカの白米の上に、とろりと餡が絡まったたっぷりのゆば。ちょんと乗ったワサビと共に口へ運べば、優しい出汁とツンとくる辛みの相性が抜群だ!旨い!この丼、あと五杯は食べられるぞ!
「蒼、お腹だいじ?」
「うん。団子食べたら治った」
「アハハッ! なにそれ!?」
しのぶちゃんにつられて蒼くんも笑ったが、どこか納得していない様子。急に止まった腹痛が不可解でならぬのだろう。
「力也先輩、俺の牛すじめしも食いますか?」
ゆばめしを頬張る力也くんは、笑って首を横に振った。
「遊、ゆばも食べたいの? 僕の一口あげるよ」
「わーい! ありがとうございまーす! あーん!」
自ら「あーん」と言って口を開ける。インドアなマスコットくらい新しいのでは。
遊の自由ぶりに、力也くんは屈託のない笑顔を見せた。花が咲いたような力也くんの笑みに、頭上の数字が明滅し始める。
おや?遊よ、お前はやはり天使にふさわしいのでは——?
「……うまっ! ねえねえ、食い終わったら忍者の大迷路に挑戦しようよ!」
ムニムニほっぺを動かす遊は、一刻も早く江戸の町を満喫したいらしい。
「ほう。面白そうな響きだな?」
「難しくて、ギブアップする人が続出してるんだってさ!」
それほどまでに本格的ということか。だが、我々は万全のコンディションの我々だ。難なくクリアできるだろう。
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——続く——
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