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3 意志弱……
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私、村瀬ゆりと、この居候女、加賀瑠璃子は専門学校時代の同級生だ。
共に代々木にある専門学校のアニメーター養成科で、すごく親しいわけではないが、頼まれればイベントの手伝いをしたり、アルバイトの紹介をしたりする程度の付き合いはあったので、そこそこ親しいといった関係。
専門学校を出てからはお互い別々のスタジオに就職して特に連絡を取り合う事もなく。
私の方は1年ほどでアニメーターをやめてイラストの方に転向したので余計に接点もなくなっていたはずだったのが、偶々同じイベントに出ていたりしてちょいちょい会うことがあって、そんな時はお互いの近況などを少し話したり。
数年後には業界に残っている同級生がもういなくて『お互いによく続くよね』なんて言っていた。
お互いアラフィフになって付き合いも長いし、訴訟とかしたくないんだよ……。
でも、ずっと考えている。
こいつどういうつもりなのかって。
40過ぎたいい大人が1年半も他人の家に居座って、いったいどういう神経しているのかと思う。
ご実家の母親からは去年と今年、2回の御中元が届いた。
『愚娘がすみません』って加賀さん伝えに聞いたけど、そんな御中元なんか要らないからとっとと出てって欲しい。親もどういうつもりなのかって思うけど、現状を正確には知らせていないんじゃないかと思っている。
でもって当の本人は「どうせ村瀬さんだから」って思っているんじゃないかな。
私がイイヨイイヨって言うと思ってる。「どうせ強く言ってくることはない」って。
そうかもしれない。この人いつまでいるんだろうって思いつつ『まさか来月にはもういないよね?』って程度にしか言って来なかった。
まさかこんな迷惑になるほど居座られるなんて思ってなかったから。
でももうそんな段階は過ぎてるんだよ。
家賃はともかく光熱費が物凄い。
気が付いたら私が持ってる服より沢山の服が積み上がっている。
洗面台も私より沢山の化粧水や洗顔料やらの瓶が置かれていて、しかも何故か全部液ダレしていて気が付いたら洗面台のあちこちにヘドロのようにピンク色のゲル状物質が溜まっている。
柔軟剤も何故か液ダレしていて使う度にボトルを拭いている。
もしかしたら「独り暮らし寂しいでしょ。一緒に住んであげてるから楽しいでしょ?」くらいに思っているのかもしれない。最近、そんな気がしている。
加賀さんは独り暮らし寂しいのかもしれないけど、私は「独り最高ーー!」って独り暮らし満喫してるんだ。
たまに客が来るくらいならいいけど年単位で居座られるとか迷惑すぎる。
「そうだ。アイス買ってきたから食べてね」
「いや、いらないし…」
ダイエットしたいんだけど。
「ええー、なんでー?食べてよー」
はあ……。
「……わかった。ありがとう」
加賀さんは買い物に行くと何かしら甘いものを買って来て勧めてくる。
世話になっている自覚があってお礼や貢ぎ物のつもりなのかと思っていたけど、最近は物を貰ったら出てけと言い辛いだろうと考えて買ってきているんじゃないかと思うこともある。
どちらにしても「村瀬さんは甘いものが好き」「人が善意でくれたら断らない」なんて思われているのは確かだ。
甘いものなら何でもいいわけじゃないし、食べたい時とそうじゃない時だってある。でも差し出されたら突っぱねることが出来ないのはその通りだ。
もっと強い意志が欲しい。
共に代々木にある専門学校のアニメーター養成科で、すごく親しいわけではないが、頼まれればイベントの手伝いをしたり、アルバイトの紹介をしたりする程度の付き合いはあったので、そこそこ親しいといった関係。
専門学校を出てからはお互い別々のスタジオに就職して特に連絡を取り合う事もなく。
私の方は1年ほどでアニメーターをやめてイラストの方に転向したので余計に接点もなくなっていたはずだったのが、偶々同じイベントに出ていたりしてちょいちょい会うことがあって、そんな時はお互いの近況などを少し話したり。
数年後には業界に残っている同級生がもういなくて『お互いによく続くよね』なんて言っていた。
お互いアラフィフになって付き合いも長いし、訴訟とかしたくないんだよ……。
でも、ずっと考えている。
こいつどういうつもりなのかって。
40過ぎたいい大人が1年半も他人の家に居座って、いったいどういう神経しているのかと思う。
ご実家の母親からは去年と今年、2回の御中元が届いた。
『愚娘がすみません』って加賀さん伝えに聞いたけど、そんな御中元なんか要らないからとっとと出てって欲しい。親もどういうつもりなのかって思うけど、現状を正確には知らせていないんじゃないかと思っている。
でもって当の本人は「どうせ村瀬さんだから」って思っているんじゃないかな。
私がイイヨイイヨって言うと思ってる。「どうせ強く言ってくることはない」って。
そうかもしれない。この人いつまでいるんだろうって思いつつ『まさか来月にはもういないよね?』って程度にしか言って来なかった。
まさかこんな迷惑になるほど居座られるなんて思ってなかったから。
でももうそんな段階は過ぎてるんだよ。
家賃はともかく光熱費が物凄い。
気が付いたら私が持ってる服より沢山の服が積み上がっている。
洗面台も私より沢山の化粧水や洗顔料やらの瓶が置かれていて、しかも何故か全部液ダレしていて気が付いたら洗面台のあちこちにヘドロのようにピンク色のゲル状物質が溜まっている。
柔軟剤も何故か液ダレしていて使う度にボトルを拭いている。
もしかしたら「独り暮らし寂しいでしょ。一緒に住んであげてるから楽しいでしょ?」くらいに思っているのかもしれない。最近、そんな気がしている。
加賀さんは独り暮らし寂しいのかもしれないけど、私は「独り最高ーー!」って独り暮らし満喫してるんだ。
たまに客が来るくらいならいいけど年単位で居座られるとか迷惑すぎる。
「そうだ。アイス買ってきたから食べてね」
「いや、いらないし…」
ダイエットしたいんだけど。
「ええー、なんでー?食べてよー」
はあ……。
「……わかった。ありがとう」
加賀さんは買い物に行くと何かしら甘いものを買って来て勧めてくる。
世話になっている自覚があってお礼や貢ぎ物のつもりなのかと思っていたけど、最近は物を貰ったら出てけと言い辛いだろうと考えて買ってきているんじゃないかと思うこともある。
どちらにしても「村瀬さんは甘いものが好き」「人が善意でくれたら断らない」なんて思われているのは確かだ。
甘いものなら何でもいいわけじゃないし、食べたい時とそうじゃない時だってある。でも差し出されたら突っぱねることが出来ないのはその通りだ。
もっと強い意志が欲しい。
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