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46 マジで?
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『うっわ、マジでマジだった!』
(頭が悪そうな言い方をするなあ、こいつは…)
マールの言葉にシアの苦労を思いながらも、気持ちは解るので頷いてロイは指示を出す。
『先に解体始めていてくれ。休憩場所の確認だけしたら直ぐ戻って来るから』
『おー』
休憩場所まで何分もかからない。
休憩場所に先客等がなく、問題なく使えることを確認して取って返す。
マールと協力して熊を剥ぐが、わかってはいたが華より明らかに大きい。もしかするとロイより大きいかもしれない。
『胴体にはひとつも傷がないのな。前足と首回りはぼろぼろだけど』
『止めは口の中から脳天突き刺してたからな』
『え、見たの?偶然?口の中に槍が刺さったってこと??』
ナニソレすげー偶然!等と言ってゲラゲラ笑うマールに己の見たものを告げるかどうかロイは迷った。
『いや…』
ロイが最初に気が付いたのはずいぶん手前の道で、木々の隙間からカーブする道の先の山の上の方で斜面を駆け上がる華だった。
オージュの実がたわわに生っている木の下から出てきた華に微笑ましく思ったのは一瞬で、街道まで上がった華が先日渡した槍を構えるのを見てハッとした。
『うそだろ…!』
何かに追われているのかと思う間も無く飛び出してきた魔獣と戦い出した華に、慌ててミライトを駆けさせたが、木々やカーブに邪魔をされて華の姿が見えない。
ようやく道の先の方に姿が見えてきたと思ったら、華は岩熊に攻撃をしながらも少しずつ後退していた。しかし後退していくのに押されている感じがしない。
(なぜだ?)
せっかくそれまで道の上から攻撃できていたのに、とうとう奴が街道に上がって華に飛び掛かったと思ったら、一瞬で華が沈み込み同時に地面に槍を打ち付けた。その跳ね返った槍の勢いのままに低く大きく踏み込んで槍先を口の中に突っ込んだのはとても偶然とは思えない。
そのまま喉を突き刺したとしても岩熊は直ぐには止まらなかったろう。
だが華はわざわざ振りかぶった岩熊の懐近くまで踏み込んで、下から脳天を突いたのだ。
黙り込んでしまったロイに、マールは何かを察したようだった。
『……………』
肉から皮を剥ぎ取りながらロイを凝視するその顔にはありありと『マジで⁉』と書かれている。
いいから手元を見ろと言おうとした時、馬車の音が聞こえて来た。
馬車の方では、ロイの残していった言葉が上手く呑み込めていない夫妻と中衛のシアがいた。
(((何?なんて言ったの…⁉)))
前衛のアレックスも道の先の事なので処理を手伝いに行ってもいいのだが、隊のフォローを任された。
殿のエドワードは、何かあったらしい事と華が合流した事は知っているが、後衛に専念している。
『…なんか、ハナが何かを倒したって言ってた?』
『僕も耳の調子が良くないみたいだ…。年だね…はは…』
「?」
何やら妙な雰囲気の馭者台に、真ん中に座らされた華がこてんと首を傾ける。
夫妻が自分の耳を疑うなか、馭者台の横、ファーナの側に馬を寄せたシアは、自分が聞こえた言葉を正直に夫妻に話してみた。
『あのー。ハナが岩熊を倒したって聞こえちゃったんですけど…』
いつになく自信なさげなシアの言葉も全部聞こえている先頭のアレックスだが完全無視している。アレックスも詳細が分からないので説明しようがないのだ。
今はただ心のなかで頷くのみだった。
(言った。そう言ったぞ。聞き間違えじゃないから!)
『え、僕もそう聞こえたよ?』
『ほんと?実はわたしも…』
『『『岩熊を倒したって…』』』
3人の視線が華に集まったことと、ロイが言っていた“岩熊”の単語に、華は事情の説明を求められていると思い、アルベルトの操縦の邪魔にならないように解りやすく槍を構えて見せた。
前をカポカポする馬を驚かせないように“気”を抜いて。
『岩熊、やあーっ!』
(頭が悪そうな言い方をするなあ、こいつは…)
マールの言葉にシアの苦労を思いながらも、気持ちは解るので頷いてロイは指示を出す。
『先に解体始めていてくれ。休憩場所の確認だけしたら直ぐ戻って来るから』
『おー』
休憩場所まで何分もかからない。
休憩場所に先客等がなく、問題なく使えることを確認して取って返す。
マールと協力して熊を剥ぐが、わかってはいたが華より明らかに大きい。もしかするとロイより大きいかもしれない。
『胴体にはひとつも傷がないのな。前足と首回りはぼろぼろだけど』
『止めは口の中から脳天突き刺してたからな』
『え、見たの?偶然?口の中に槍が刺さったってこと??』
ナニソレすげー偶然!等と言ってゲラゲラ笑うマールに己の見たものを告げるかどうかロイは迷った。
『いや…』
ロイが最初に気が付いたのはずいぶん手前の道で、木々の隙間からカーブする道の先の山の上の方で斜面を駆け上がる華だった。
オージュの実がたわわに生っている木の下から出てきた華に微笑ましく思ったのは一瞬で、街道まで上がった華が先日渡した槍を構えるのを見てハッとした。
『うそだろ…!』
何かに追われているのかと思う間も無く飛び出してきた魔獣と戦い出した華に、慌ててミライトを駆けさせたが、木々やカーブに邪魔をされて華の姿が見えない。
ようやく道の先の方に姿が見えてきたと思ったら、華は岩熊に攻撃をしながらも少しずつ後退していた。しかし後退していくのに押されている感じがしない。
(なぜだ?)
せっかくそれまで道の上から攻撃できていたのに、とうとう奴が街道に上がって華に飛び掛かったと思ったら、一瞬で華が沈み込み同時に地面に槍を打ち付けた。その跳ね返った槍の勢いのままに低く大きく踏み込んで槍先を口の中に突っ込んだのはとても偶然とは思えない。
そのまま喉を突き刺したとしても岩熊は直ぐには止まらなかったろう。
だが華はわざわざ振りかぶった岩熊の懐近くまで踏み込んで、下から脳天を突いたのだ。
黙り込んでしまったロイに、マールは何かを察したようだった。
『……………』
肉から皮を剥ぎ取りながらロイを凝視するその顔にはありありと『マジで⁉』と書かれている。
いいから手元を見ろと言おうとした時、馬車の音が聞こえて来た。
馬車の方では、ロイの残していった言葉が上手く呑み込めていない夫妻と中衛のシアがいた。
(((何?なんて言ったの…⁉)))
前衛のアレックスも道の先の事なので処理を手伝いに行ってもいいのだが、隊のフォローを任された。
殿のエドワードは、何かあったらしい事と華が合流した事は知っているが、後衛に専念している。
『…なんか、ハナが何かを倒したって言ってた?』
『僕も耳の調子が良くないみたいだ…。年だね…はは…』
「?」
何やら妙な雰囲気の馭者台に、真ん中に座らされた華がこてんと首を傾ける。
夫妻が自分の耳を疑うなか、馭者台の横、ファーナの側に馬を寄せたシアは、自分が聞こえた言葉を正直に夫妻に話してみた。
『あのー。ハナが岩熊を倒したって聞こえちゃったんですけど…』
いつになく自信なさげなシアの言葉も全部聞こえている先頭のアレックスだが完全無視している。アレックスも詳細が分からないので説明しようがないのだ。
今はただ心のなかで頷くのみだった。
(言った。そう言ったぞ。聞き間違えじゃないから!)
『え、僕もそう聞こえたよ?』
『ほんと?実はわたしも…』
『『『岩熊を倒したって…』』』
3人の視線が華に集まったことと、ロイが言っていた“岩熊”の単語に、華は事情の説明を求められていると思い、アルベルトの操縦の邪魔にならないように解りやすく槍を構えて見せた。
前をカポカポする馬を驚かせないように“気”を抜いて。
『岩熊、やあーっ!』
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