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少年篇

奴隷になった日②

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 奴隷の首輪を付けられてからは、帝国の兵士が俺を拘束して連れていく
 街に入る前に、兵士たちは、悪魔の子だと神敵だと言い
石を投げて制裁するのだと叫びだす
 俺の背中に悪魔の子と張り紙を張り、手枷を引かれて堂々と大通りを歩かされる
 待ちゆく人々は、五歳の俺を見て驚くもの、罵声を浴びせながら、石を投げつけるもの
 打ち所が悪く、もし俺が倒れてしまっても、回復魔法で何度も起こされ
 俺は、帝都まで歩いた
 
 帝都に着いてからは、城の目の前で目隠しをされて
今俺がいる地下のような場所に来ている
 そこでは、俺が悪魔の子とされてから現在、一年間は何度も何度も魔物戦わされていた
 他にも、実験で新種の毒物を何度も身体に注入され、俺を使って解毒薬を作ったり
 戦いで使うためなのかは、分からんが新しい兵器を作ったりしていた
 そして、俺の耐久性を上げるためという理由で、何度も何度も拷問をされた
 たまに、仮面をつけた貴族服の人が来て、俺を拷問していた
 
 毎日のように、こんな日々を送っていくうちに、俺は強くはなっていた
 だが、嬉しくはない
 なぜなら強くなればなるほど実験も魔物も拷問もどんどんエスカレートしていくからだ
それが今現在、今日までの一年間だ
 
そして、いつも通り今日も朝から拷問が始まる
 今日は…………貴族の人か
 また、腹いせか何かに来たんだろう
 
 そこからは、日ごろの愚痴を言うかのように、愚痴を言いながら
 俺を思いっきり、蹴ったり殴ったりする
 暫くすると、すっきりしたかのように帰っていった
 
 今の俺は奴隷だから、ずっと倒れていると余計に拷問が続いてしまう
 だから、早く起き上がらなければいけない
 
 「ぐっ…………げほっ、げほっ」
 「おい、なに許しもなく咳き込んでんだよ。おらぁっ!」
 「うっ…………」
 
 朝起こしに来た、傭兵のギルが俺の腹に思いっきり、木剣を叩きつける
 毎回こんな感じだ
 許しもなく、咳やくしゃみさえも、させてはもらえない、それが、今の俺の日常だ
 
 拷問が終わったら、次は闘技場まで連れていかれて魔物との戦いだ
 地下には、闘技場の様な少し広い空間がある
 俺はそこで、毎日魔物と何体かと闘う
 確か昨日は、エンプーサ三匹とレッサーウルフ十匹だったか
 
 エンプーサは、カマキリが大きくなったみたいな魔物で、大きな鎌を巧みに使い
 近接戦闘を得意としている虫系の魔物だ
 ステータスは、平均で二百といったところだが、攻撃だけは三百を超える
 レッサーウルフは、この世界の狼の魔物だ
 群れの連携がうまく、獲物を取り囲んで一斉に噛み殺そうとしてくる
 ステータスは平均で五十といったところか
 
 俺がボロボロの装備を手渡され剣と盾をもって闘技場の中央に着いたところで門が開く
 中から、いつもとは違う大きな魔物が出てくる
 今日は二匹の魔物だ
 出てきたのは、二メートルは超えているであろう、赤い毛皮をした熊の魔物
 
 こいつは、初めて見るな
 鑑定するか…………
 こいつは、レッドグリズリーって言うのか
 だいたい、平均が三百といったところか……耐久が高いな、二匹とも四百は超えている
 まぁでも、勝てないことはないな
 
 レッドグリズリーとの戦いは、苦戦はしたが
長い時間をかけてなんとか勝つことができた
それが終わると実験室で、手足を縛られて、その日の実験が始まる
これが俺の一日の流れだ
 
 できれば楽なのがいいけど、今日はなんなのか…………
 そういえば、今日の戦闘でのステータスの成果はどんな感じかな
 鑑定で見てみるか
 
 名前  カリル
 種族  人間  Lv.49
 
 体力  397
 魔力  410
 攻撃  402
 防御  384
 俊敏  417
 技能  356
 知能  42
 
 スキル
 鑑定 改竄 思考加速 状態異常耐性 苦痛耐性 体力自動回復 忍耐
 気配感知 
 
 レベルが六つも上がっているなぁ
 これで、まだ生きることはできそうだ
 
 少し時間がたつと、実験室にいつもの、白く長い髭を生やした糞爺が入ってきた
 今日は、いつものように実験用の薬品は持ってきていなかった
 その代わりに、何か青く光っている水晶のような球を持っている
 
 あれは…………なんだ?
 見たこともないけど、平気かなんかの実験か?
 もしそうだとしたら、正直殺してほしいな
 まぁ、殺してくれないと思うけど
 この奴隷の首輪のせいで、死ぬことさえもできない
 本当に最悪だな…………取り敢えず鑑定をしてみるか
 
 神級 リヴァイアサンの宝玉
    リヴァイアサンの魂が封じ込められてある
 
 まじかよ、初めて見た神級の道具
 だけど、魂が封じ込められているって、いったいこいつを何に使うんだ?
 まさか実験でこいつを埋め込むんじゃないよな?
 さすがに…………いや、しかねないな
 この糞爺なら、笑いながら俺に、埋め込む
 
 「さぁ、今日は少し変わった実験だ。この宝玉の中身をお前に埋め込む」
 
 そう言って、俺に不敵な笑みを向けてくる糞爺
 嬉しそうに宝玉を撫でながら、俺に近づき準備を始めていた
 
 やっぱり、か
 今度は、魂を埋め込むと…………ふざけやがって
 なんで、なんで、なんで!!
 俺がこんな目に合わなきゃいけないんだよ!
 何もしていない、ただ生きていただけだ!
 あの糞神が…………俺は、ただ、ただ
 
 俺の気持ちなど知りもしない、糞爺は準備ができたのか
大量の麻痺薬を俺の口に直接流し始める
 耐性がある俺は、完全に麻痺するまで時間がかかる為、五分ぐらい飲まされた
 宝玉を手に持ち、詠唱を始める
宝玉からは、どんどん綺麗な青色の水が出てきた
それはひとりでに、俺の胸の中に入っていきその瞬間俺の意識は途切れた
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