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少年篇

作戦決行⑥

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 呪いを少年が持って行ってくれたおかげで助かった俺は、その後死んだようにその場で倒れこみ、暫く意識を失っていたらしく目が覚めた時には移動している最中だった
 まだ外は、完全なる闇の中…………そう長くは眠っていなかったようだ
 そして今、何かに乗せられていて、正直くらいのと視覚が完全に回復しているわけではないのもあり夜目が聞かないでいる
だが、かろうじて見えるのは俺の後ろにはスセルが座っており、何故か俺がスセルに抱きかかえられていたところに目が覚めたということだ
 勿論俺を降すように、言おうとしたのだが、声がかれていて聞こえていないようだった
 ただ視覚と喉以外、嗅覚などは戻っており、痛みもない
 
だが、少し体を動かすとスセルが気付いてくれて、俺が起きたことに良かったと
 涙ながらに、俺を抱きしめてくれた
 正直結構恥ずかしかったが
心配かけたのだ、これくらいは良いだろうと今日は許してった
そして、俺が倒れた後のことを話してもらい、兎に角大変だったらしく、俺が倒れたことにより失敗したのではないかと大騒ぎだったとのこと
 まぁ、正直俺がスセル視点でもそう思うだろうから…………正直申し訳ない気持ちが百パーセントだ
 
そしてスセルによると、今はナインの召喚獣の上にのせられて揺られているのが現状
 目に映る景色は、月明かりによりたまに景色などが薄らと見える程度で、その景色も風切り音を響かせながら直ぐに景色は変える
 ナインが召喚した召喚獣は圧巻のスピードで、正直俺より少し早い
 あと思ったが、やはり身体が麻痺していて、うまく動かない…………つまり、今の俺は荷物みたいに運ばれていると言う事だ
 
恥ずかしいよ! いや、本当に恥ずかしいよ!
 だって、そもそも何の召喚獣に乗っているのかすら分からないんだもん、俺どういう状況なのッて感じよ!
 どんどん羞恥心が俺を襲ってくる
 でも、取り敢えずいったん落ち着くために深く息を吸い込み、自身の心を落ち着かせることに専念をする
 はぁ、にしても早いなぁ、この召喚獣…………姿形は見えないけど
 取り敢えず、俺は生きている
 身体が麻痺しているから、首輪が外れているという感覚はあまり分からないが
 心なしか、スース―するぐらい、な気がする
 首輪の呪いが取れて目が覚めた瞬間、外すときは大変であったけど、意外と終わってしまうと、簡単に終わってしまったと言うのが正直な感想だ
 やはり今回の、呪い関しては少年の力が一番大きいのだろう
 俺は感謝しつつ、感傷に浸る前にしっかりとこれからどうするのかというのを考えながらこれからの事を、パールニア連邦国に到着するまでの事を考え始めた
 
さて、まぁ取り敢えず現状どうなっているのかを考えよう
感覚だが、恐らく相当の距離を稼いでいるのであろう、とすぐに分かった
 理由はこのスピードで、この召喚獣恐ろしいのは森の中だと言うのに、一切スピードを落とさずに木々をかわしながら走り抜けていると言うことだ
 そして、普通馬車ではパールニア連邦国に向かう場合、急いでも二週間半はかかる
 つまり、ビンケット等に俺たちが脱走したと言うことが気付かれて追手が追い付かれないように逃げるとして、早くても一週間でグランキー帝国領から出ること
 それから、俺の奴隷の首輪なんかの騒ぎのせいで大幅に時間ロスを食らっているはずだ
 その証拠に、丁度朝日が昇り始めて、これから徐々に明るくなろうとしている
 だというのに全員休む気配どころか、一切スピードを緩める様子がない
 商人に変装して日中は移動するとも聞いているが、今の状態なら、三日目も朝までは少しずつ休みながら距離を相当稼ごうとしているのだろう
 
 そんなことを考えながら、ぼーっとしていると、完全に日が昇ったようだ
 さぁ、ここからが勝負だな
 ビンケットにどこまで一泡吹かせられるか……絶対にあんなところに戻ってたまるか! 
 
暫くして、俺の声と身体の痺れは完全に取れていた
 そして、改めて走りながらだが召喚獣の姿を視認できるようになる
 前世にいたダチョウの頭や足、身体を全て太くして、ダチョウより少し身長も高い感じになっている大型の鳥の外見をしていた
 体毛は、さすが諜報員の召喚獣と言わんばかりに黒い
 道理で夜にこいつを見ようとして見えないわけだ
 さて、こいつのスキルはどういったものかな…………
 
 種族名  ランケンモア
 
 体力   300
 魔力   300
 攻撃   300
 防御   800
 俊敏   1100
 技能   100
 知能   20
 
 スキル
 気配感知 疲労回復 ブースト 夜目
 
 あれ、このランケンモアってやつ名前ないのか
 ん? レベルもないなぁ…………召喚獣だからなのか?
 ジークライア王国に着いたら知りたいことが沢山だ
 そしてブーストというスキルという能力が気になるな…………なるほど
 身体強化の一種で、俊敏や攻撃を、一時的に強化するスキルか
 そして、疲労回復というスキルであまり休まなくても、走り続けることが出来ると言う事と、夜目を持っているから夜でも簡単に移動ができると
 こいつすげぇなぁ、正直スピードだけはブースト無しのこいつにも勝てない
 そして一番驚きなのは、こいつらを俺たちの人数分出してくれた、ナインの実力だ
 おそらく、ナインは召喚術のスキルを上手く使って、諜報員をしているのだろう
 この調子だったら、追手に追い付かれる前にこの国から抜け出せそうだな
 
よっしゃぁ! 俺も回復してきたし、何かできることをやって役に立たなきゃな
 ずっと任せっぱなしというのも、なんか嫌だし
 後、あと少し頑張ろう! 
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