オマケの元引き篭もりが異世界征服を目論むそうです

たんたん

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新たな仲間〜3〜

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 いやルナの奴、「見せるんだ!」じゃねぇよ!
 なんだよその無茶振り、ノープランで人に丸投げするなよ!いきなり何かやれなんて言われてもできる訳ないだろう。

 くそ、どうする、何をすればいいのかわからない。正解はなんだ!?もうどうにでもなれ、俺は俺の得意なことをやろう。
 俺は収納からエデン産の魔絹と糸、裁縫道具を取り出すと作業を始める。

「おいタクミ、それは地味すぎないか?」

 ルナは呆れたように無責任なことを言ってくる。誰のせいでこんなことになってると思っているんだ、怒りが湧いてくるが、それをぐっと堪えて作業に没頭する。

「大口を叩いていたわりに、お前のご主人様は地味なことしかできないみたいだな。」

 周りの雑音は無視だ無視。俺は俺のやりたいことをやる!
 俺の地味な作業をルナとイザベルは冷ややかに見ているが、コナーとイル、そしてルートはイルに隠れながらだが興味深そうに見てくる。
 
 そして1時間位かかったが完成した。その頃にはルナとイザベルは椅子に座り、イザベルの敵愾心むき出しな視線をルナは涼しく受け流していた。

 そんな2人を他所に、俺はイルとルーナにできたばかりの服を渡す。

「イルとルートだったよな?ほら、そんなみすぼらしい格好じゃなくて、これを着るんだ。」

 渡される服をイルとルートはどうしたらいいのか分からないようで、貰っていいのかとイザベルへと助けを求める。

 2人の視線を受けたイザベルは俺の前にズカズカとやって来た。すごい剣幕である、俺の行動はどうやらイザベルの癇に障ったようである。


「まだ、私達はお前に従うなんて言ってないのに主人気取りかい!私達はお前なんかに施される程、落ちぶれちゃいないよ。」

「お前は馬鹿なのか?俺はみすぼらしい格好をしていた2人が可哀想だったから服を作っただけだ。主人気取りだと?そんなお前の安いプライドのために子供を巻き込むなよ!安心しろ、この服はかわいい2人のために作ったプレゼントだ、下心なんてないから子供を思うなら着せてやれ。」

 イザベルは俺の言葉にバツの悪そうな顔で、俺の差し出す服をじっと見つめる。そして喧嘩腰だった態度とは打って変わって真面目な顔で服を受け取った。

「すまなかった。お前の言うとおりだ、私は私のことじゃなく、イルとルートのことを優先して考えるべきだった。大事なことを思い出させてくれて、ありがとう。1つ聞いていいか?」

 何を言っても怒るかなと思っていたイザベルは殊勝にも謝ってきた。どうやらイザベルの中でイルとルートは大事なようだな、よかったよかった。質問があるなら何でも答えてやる。

「なんだ?」

「下心はないと言っていたが、それなら何でお前はイルとルートのために服を作ってくれたんだ?」

「決まっているだろ、子供は宝だ。子供には未来がある。その未来を手助けしてやるのが大人の仕事だろ。まぁ、こんなことを偉そうに言っているが、俺にやれることは少ない。今俺がやってやれることが服を作ってやること位だったから、作ったんだよ。」

「大人の仕事か、、、。」

 そう呟きながら、イザベルは考え始める。少しして考えがまとまったのか、イザベルが真剣な顔で口を開く。

「今までの態度はすまなかったね。」

「まぁ、自分達の人生を決めることだ、許してやる。」

「そう言ってくれると、助かるよ。それでタクミだったか、お前さんに今後私達をどうするつもりなのかを聞きたい。」

 今後のことか、、、まだ具体的には決めてないんだがな。今俺の考えていることを伝えるか。

「俺は世界征服をするつもりだ。」

 俺の一言にイザベル、コナー、そしてスレイブまでも驚いた顔をした。まぁ、これが普通の反応だろうな、だが俺はそのまま話を続ける。

「俺は俺の国を作っている。名前はエデンだ。エデンは楽園って意味なんだが、争いのない、住人が笑顔の国を作るつもりだ。エデンの子供は成人になるまで、皆が将来のための勉強をすることが仕事になる。それが常識になり、身売りや孤児、餓死を無くし、将来的には奴隷制を無くすつもりだ。そして知識を持った大人が国を支えていく。今のこの世界の常識をぶっ壊すつもりだ。」

 俺の夢物語についてこれないのか、皆ポカンとした表情をしている。ルートはイルに「イル、世界征服ってなに?」と尋ねている。

 イザベル、コナー、スレイブで最初に我に帰ったのはスレイブだった。

「タクミさん、本気ですか?」

「本気じゃないなら口にするか、俺は本気だ。」

「本気なんですね、、、。」

 スレイブは俺の言葉の真意を測るように俺の目をじっと見てくる。俺はそんなスレイブの目を反らすことなく、じっと見る。そんな俺とスレイブのやりとりに割り込んでイザベルが口を開く。
 
「何言ってるんだい。お前さんは奴隷制をなくすなんて言っているが、実際奴隷を買おうとしている。言っていることが矛盾だらけだろ。それに子供全員に教育なんて、夢物語だろ。」

 まぁ確かにイザベルに言われた通り、今俺は自分の言ったことと真逆のことをしているな。俺も奴隷を解放していいと思っている。だがすぐに奴隷を解放できない理由も存在している。

「確かに奴隷を買おうとしているのは矛盾しているな。最初からいるルナやラック、ユリ、ダン、そしてロンやリン、ゴンなんかはすぐに開放していいと思っているが、初めて俺の所に来る奴にはまだ解放できない理由がある。」

「そんなに自分の寝首を掻かれるのが怖いのかい?」

「そりゃ寝首を掻かれるのは嫌だが、俺よりも大事な奴がいるからな。だから信頼ができるまでは解放はできない。」

「大事な奴か、主のお前さんの命より大事な奴か気にはなるね。」

「これ以上は俺の奴隷になるまでは教えれない。」

「そうかい、それなら自分の言葉を証明するためにお前さんが解放できる奴隷を解放してみせてみな。」

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