ゆめゆめうつつ【真面目委員長の幼馴染が夢の中で魔法少女に・・?】

喜太郎

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第四章

5月2日(木):夢に臨む

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 【京一】


 夜、僕は自室で色々と考えていた。

 今朝、凛が遅刻をした。小学校からの通算でも、彼女が遅刻をしたことなんてない。
 体調が悪いというわけでもなさそうだったが、なにか事情があるのは明白である。


 ただ、彼女はその事情を僕には明かさなかった。
 朝、駅で会ったとき、あるいは一緒に電車に乗っている間、凛とは少し話しをしたが、……彼女の悩みについて――どうして今日は遅刻をしてしまったのかの理由について、彼女から語られることはなかった。

 彼女は、他人に心配をかけたくないのだ。


 そもそも凛は、正面切って「助けになってあげるよ」などと言ってやってくる者に対して、快くは思わないだろう。
 自分の弱い部分を見せたくないし、何よりそのせいで他人の手を煩わせてしまうのが堪えられないのだ。頑固なのである。


 放課後、晃たちに会ったとき「凛のことをよろしく頼む」と言われてしまった。
 さらに言えば、図書室で宮本には「凛の力になってみせる」と堂々宣言までしてしまった。
 そこまで言って何も動かないわけにはいかない。

 だが現実的に考えて、僕が凛の力になってやれることなんて無理だと思う。

 そもそも彼女が何に対して悩んでいるのかさえ僕は知らない。それなのに力になるも何もない。この状況では、僕にできることはない。――


 現実でなければどうか。

 ここ幾週かで僕が体験していることを踏まえて考えれば、僕にもできることがある。いやむしろ、これはいっそ僕にしかできないではないか。そう考え至った。

 僕は小さく奮起し、ベッドに横になる。


 …………
 ……


 薄紅色の、もやの中。僕はいつも通り、小人と対面する。
 小さな彼女はその身に余るハイテンションで登場してくるが、僕は至極真剣なトーンで小人に聞いた。ある、確認を。

「――……ふむふむ。なるほど」

 小人は腕を組んで唸る。

「確かにそれは間違いないデスヨ。ワタシの見込んだ通りデス、さすが京一サン、ちゃんとそこに気付くと思ってマシタヨ」

 なにやら嬉しそうに言う小人。

 僕はそこにさらに、ある打診をしてみた。『夢の案内人』たる彼女には、それができるのではないか。


「いいデショウ、それはワタシにお任せクダサイ!」

 小人は僕のお願いを快諾してくれた。細かな所作などいちいち煩わしく感じるこの小人だが、悪いやつではない。
 そうして僕は、凛の夢へと向かう。

 もやを抜けた先。
 その舞台は、二日前から続いて、近所の商店街である。
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