皿洗い部!!!!!!

稲木 糸

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恋が、鍋にバター入れ溶かせば調理室の中にバターのいい香りが広がる。

そこにグラニュー糖、溶かしている間に小さく切ったりんご、レモン汁を加え煮詰めていく。

その間に、水波と羽望がある程度解凍の終わったパイシートを切る。

それを横目に彼女達が使った料理器具を洗う。

なんとなくは分かっていた。

結局洗うのは僕達だということを。

無理やり引っ張ってきた咲李先輩と彗くんを何とか手伝わせ、それらを洗い席に着く。

「はい 今日はダージリンした!」

結局途中で逃げ出した彗くんが全員の分の紅茶を入れたので、それを飲みながら焼き上がるのを待つ。

彗くんは、見た目に反して紅茶を入れるのが上手いのだ。

ここにも彗くんが持参した茶葉が沢山置かれている。

1口啜る。

「ん うま」

いけない口に出してしまった。

「そうですよね この茶葉は…」 

みんなが僕方を向く。

ああやってしまった。

彗くんは、紅茶の事になると饒舌になる。

これまた話が長いのだ。

みんなにごめんと合図をするればちょうど良くオーブンがアップルパイが焼けたことを合図する音を鳴らす。

助かったとみんなオーブンの前へ群がる。

恋がオーブンを開ければ美味しそうな匂いと共に美味しそうなアップルパイが現れた。

それをオーブンからだし、切り分ける。

全員でいただきますをし、アップルパイをフォークで切り分ける口の中へ運ぶ、パイのサクッとした食感と、リンゴのシャキっとした食感が心地よい。

それに熱々のトロトロのソースが絡み凄く美味しい。

また、ダージリンがさっぱりしているので、これまたアップルパイに合う。

疲れていた事なんて忘れてしまうくらい美味しい。

あっという間にアップルパイも紅茶も胃袋の中へ収まってしまった。

みんなでサッと皿を洗い、明日の確認をする。

「明日は遠征です。化学で実験をするらしいのでまず、物理室です 。その後、いつも通りにここで皿洗いをします」

遠征って言ってもただ水波がかっこいいと思って言っているだけであって、他校には"皿洗い部"なんてものは存在しないので校内だ。

「あと、明日の当番は、羽望ちゃんと恋ちゃんね」

はいと2人が返事をすれば、解散になった。

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