学年一の美少女に嘘告されたので付き合うことにしました。〜いつのまにか、本気で惚れさせていた件〜

塩コンブ

文字の大きさ
11 / 13

第十一話

しおりを挟む
「もう大丈夫?」
「う、うん。その……ご、ごめん」

 数分間泣き続け、ようやく泣き止んだ。今は目が真っ赤で少し腫れている。

「え? ……あっ、まぁいいけど。いやよくないな……うん。急に泣き出すのはよくないと思います!」
「ふふっ。なにそれ? そ、それと……ありがとう」
「ん? ……まぁ、どういたしまして」

 正直、礼を言われる心あたりがありすぎてどれかわかんない。
 例えば、さっきの元カレ……は、冷静に考えてみれば、いくらからかわれていたとは言え、幼馴染らしいし。
 んー? パフェのためとはいえ、あんなに怒ったら気まずくなる? いやいやでも、なんだか険悪ムードだったような気もするし。
 じゃあ、頭撫でてあげたことは……でも女子って頭撫でられるの嫌いらしいし。
 うーんわからない。
 え? 礼を言われる筋合いがない? いやいやご冗談を。
 多分気付いてないだけで、結構色々してあげたんだよ。きっと。おそらく。

「それより、どうする? まだ続ける? デート。個人的には遅くなったし、終わりにした方がいいと思うんだけど。絶対」

 絶対(強調)。

「たしかに遅くなっちゃったね。どうしよっか?」
「それなら帰るか。僕は家近いからいいけど、もし遠いなら大変でしょ? 明るいうちに帰りな?」

 今はおよそ十八時。まだ空は明るい。こんな早くから、帰らせようとするなんて、僕って紳士~!

「そ、そっか。近いんだ。じ、じゃあさ……家にお邪魔していい? 晃に聞いたら、一人暮らしなんでしょう?」
「えっ」

 全然よくない。けど下手にデートを続けるよりかはましか……。

「まあ、いいけど」
「ほんと!? ありがと!」

 こうして、緊急おうちデートが開催されることになった。


 ◇◇◇◇◇


「はい、ここがうちだよ」
「すごーい。広ーい。こんなところに一人暮らしかー! 贅沢だねぇ」
「まぁね」

 うちのマンションは多分割と高いほうではあると思う。高校生の一人暮らしにここまでするのはどうかと思ったが、両親とも甘えられるうちに甘えときなさいって言うので甘えておいた。

「それより、親に連絡とかしなくていいの?」

 来る途中、ご飯は自分で作っていると話したら、うちで晩ご飯を食べたいとか言い出した。別に断る理由もないので、了承したが、こんなにいきなりよかったのだろうか?

「あー、私のお母さん、仕事忙しくて夜遅くまで帰ってこないんだよね」  
「ふーん。お父さんは?」
「……うちさ、離婚してんだよね」
「あ、なんかごめん」
「いやいやいーよ。そもそも、離婚したのって私がまだ小さい頃で顔も覚えてないしね。浮気したらしいんだ。……まっ!だからそんなに気にしないで?」
「いや、全然してないけど」 
「えっ」
「そもそも、そんなの言われなきゃわかんないでしょ。さっきは一応謝ったけど仕方ないと思うね」
「ぐぬぬ……たしかに」
「大体、橘の家庭環境とか興味ないし」
「あ、」
「ん?」

 何かを思い出したかのような声を上げると、ニヤニヤし始めた。
 そのまま見ていると、気づいたのか、なにかを思い出しかのような、はっとした顔になり、すぐ笑顔になってこっちを見てくる。

「なになに? そんなにじろじろ見ちゃって、見惚れてたのかな?」
「いや、ニヤニヤしてて気持ち悪いなって」
「おい」 

 というか、父親と初恋は浮気。次の彼氏は罰ゲームなんて。なんというか……。

「なんか、男運ないね…」
「あー、たしかにそうかもね。まあでも……」

 そうしてこちらをニッコリ笑いながら見て言う。

「最後が、よければいいの!」
「ふーん、そういうもんか……」

 それは暗に僕と付き合うのなんてクソみたいって意味では?
 嘘告を隠す気があるのかないのか。
 それに、最後だけってのも中々大変だと思うんだけど。
 まぁ、どうでもいいか。どうせ橘の恋愛事情なんて知ったこっちゃないし。

「まぁ、そんなことより、あんまり遅くなってもあれだからもうご飯作るけど、いいよね?」
「え? う、うん。……あっ! じゃあ手伝おっか?」
「いやいいよ。リビングで好きにしてて。お願いだから」

 いや、まじで結構。せっかく僕が僕のために自分好みの料理を完璧に覚えたというのに、変わってしまうかもしれない。
 何を作るか特に決めていなかったが、たまたま残っていた麺が目に入り、焼きそばを作ることにした。
 ちょうど2人分くらいあるし、焼きそばを嫌いな人なんてなかなかいないだろう。


 ◇◇◇


「はい、できたよ」

 量を均等に分け、それぞれ皿に盛り付け、テーブルに置く


「おー! 美味しそう!」 
「まぁね、あとはこれも」

 流石に焼きそばだけだとどうかと思ったため、簡単にできるかき卵スープを作っておいた。

「おー! こっちも美味しそう!」
「はいはい。それじゃ食べよっか」
「うん」

「「いただきます(!)」」

 それから2人でご飯を食べていた。どうやら口にあったらしく、何度も笑顔でおいし~と言っていた。
 その顔を見て、ふと思った。

「……なんというか、よかったよ」
「え? この料理が私の口にあったこと? それならむしろ私がお礼を言いたいぐらい」
「いや、もちろんそれもなんだけどさ。そうじゃなくてさ……元気になったみたいで、よかったなって」
「えっ」
「何が直接的な原因かはわからないけど、さっきすごい泣いてたでしょ? 今は、空元気とかには見えないし、そんなに幸せそうに笑ってくれるなら、よかったなって思ったんだ」
「そ、そっか……基山のおかげだよ…」
「まぁ、そうだろうね。知ってたよ」
「ふふっ……謙遜とかはしないんだね?」
「だってしても意味ないし。それに橘が泣いたときも、元気になったときも、そばには僕しかいなかったし、僕以外いないでしょ?」
「まぁ、そうだね」

 笑った後に、再び何か悩みこむような顔になる。
 ただ、少なくとも辛そうにしているわけではない。
 なんというか、恥ずかしそう?

「あ、あのさ……!」
「ん?」
「わ、私の名前…」
「橘がどうかした?」
「そ、そのさ……こ、恋人なんだし、下の名前で呼んでよ」
「あぁ……なるほど。はいはい、いいよ。暦月。これでいい?」
「えっ、早くない!? 結構これ言い出すの恥ずかしかったんだけど!」
「その手のことを頼んでくる人のしつこさは晃で理解したからね。もう諦めたよ」

 晃はほんとにしつこかった。下の名前で呼ぶまで、ずっと付き纏い頼んでくるのだ。それも毎日。休日に来たときはさすがにキレそうになった。流石の僕でも2週間が限界だった。あんなにストレスの溜まる2週間はそうそうないだろう。
 まぁ、よくよく考えてみれば、下だろうと上だろうと同じ名前なわけだし、そんなにこだわる必要もないだろう。多分あのときは半分対抗心みたいなのが湧いてたんだな。

「そ、そっか。ありがと。……し、し、秀矢……!」

 顔を真っ赤にしながらそう呼ぶ。
 そんなになるぐらいなら、無理しなきゃいいのに。
 まぁ、別にどっちで呼ばれようとどうでもいいけど。

「ん。冷めないように早く食べなよ」
「あ、う、うん」


 ◇◇◇


「それじゃ、今日はありがとね!」
「うん。別にいいよ」

 ご飯を食べた後、二人で皿洗いをして、今こうして玄関にいる。今は二十時半。高校生ともなれば、このくらいそこまで遅くもないし、別に送る必要もないだろう。

「バイバイ!」

 橘……じゃなくて暦月は、満面の笑みでてを大きく振る。

「じゃ」

 僕も、腕を軽く上げて手を振る。
 暦月は満足そうにドアを開け家を出る。
 そして、ドアが閉まりかけた瞬間、振り返り、ドアを再び開ける。


「あのさ……秀矢」
「ん?」
「いつも昼は弁当なの?」
「うん。そうだけど?」
「あ、あのさ……毎朝作るのって。……そ、その、大変じゃない?」
「ん? ……まぁたしかに大変だけど」
「な、ならさ! ……わ、私が作ってこようか?」
「いや、いいよ。それこそ大変じゃん。それに自分の好みは完全に把握してるし、大変だけど、苦じゃないから」
「あ…………そ、そうなんだ」
「じゃ、バイバイ」
「え? ……う、うん。バイバイ……」


 ドアを閉めて、きっちり鍵をかけ、お風呂の準備をしに行く。
 長いデートがようやく終わった。








──────

後書き
一応この作品はここで完結です。
人気が出たら続ける可能性はありますが…

幼馴染同士のすれ違い両片思いラブコメも書いてます
https://www.alphapolis.co.jp/novel/725189130/220626085
ぜひ読んでください
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

処理中です...