15 / 64
15. 初めての返信 3
しおりを挟む
web小説の書き方やルールが分からず右往左往しつつコツコツ冷や汗かきながら書いています。
温かい目で見てやってくだせいましヽ(´o`;
* ** * ** * ** * ** * ** * ** * **
ヴィルは騎士団名は第六騎士団のそれを姓とした。
それは本人の真摯な仕事ぶりから、国に忠誠を誓ったものと捉えてられていた。
その後、更に過酷な別部隊へ配置換えとなったが、そこでも自己の能力を遺憾なく発揮し着々と任務をこなして特別の速さで進級していた。
セオドアの問いに胸を張ったまま応える。
「特務第三部隊聖一等騎士、ヴィズ・デ・アスカロンであります」
「お前が…そうか、沈黙の狼か」
セオドアはこの二つ名を持つ獣人について、マークからだけでなく騎士団長たちや将軍たちからも何度となく聞いていた。
しかし、こうして話をするのは初めてだ。意外と若いのだな、と思った。
この特務部隊は騎士団の中でも優れたものだけで構成されているエリート集団である。
オスティアス一族が王家を陰から支えているのならば、特務部隊フィデリタスは国家を陰から支えていると言える。
聖一等騎士ともなれば武術魔術などの技術向上のために、所属こそ違えどその特務隊の厳しい訓練に定期的に参加することになる。かくいうマークも然りだ。
しかしそれはあくまでも訓練であり、実際の任務は囮や潜入などの危険も伴うもの多く更に数段上の技術と経験が必要となる。
更に第三部隊といえば、イロモノが揃った部隊であり、随一の稼働力とその実績を誇っていた。
そのため同じ騎士からも一目も二目も置かれているのだった。
そしてヴィズは正に最速で平民から特務部隊の聖一等騎士となった伝説の男であった。
マークたちに言わせれば、訓練のときにはあれだけ目立つ奴が終わった途端どこにいるのか分からない、という意味からも伝説と言われているらしい。
「特務部隊は何年目になる?」
「はっ3年ほどになります」
「では、聞きたい。相手が軍籍の獣人でも知られずに尾行できると思うか?」
「はい、机の上にございます手紙の主の後を知られずに追えると考えます」
思わぬ感の良さに、セオドアは口角を上げた。
「マーク、この者はヴィズ・デ・アスカロンはお前が選んだのだな?」
「はい、この者の能力の高さは特務部隊でも群を抜いております。そして何よりも任務に忠実です」
セオドアはマークの言葉に頷き、もう一人の者を見た。
「ミーガンは魔術師団だったな、魔術符もつくれるか?」
「はっ第二魔術師団聖一等魔術師であります。魔術師団の中でも一二を争う器用貧乏といわれております」
元々何度も酒盛りをする仲である。
少々おどけて答える。
セオドアの頬がそれに応える。
「魔術符が必要だ。ヴィズにはこれから単独で遠距離、そうガルドゥーン帝国へ極秘調査をしてもらう」
「今持っているものを全て、いや、数が少ないか」
「いえ、常備してる分もありますので、それだけで充分です。すぐに追いかけます」
ヴィズの言葉にセオドアは満足そうに頷き、説明を加える。
「この手紙の送り主……」
執務机の引き出しを開け、ハンカチに包まれた手紙に視線を落とす。ヴィズの鼻がクンっと鳴り、大きな耳がビクッとなる。
「誘拐?ですか?」
「(誘拐)ではない。言わば人質と言ったところだ」
セオドアはハンカチを取り出しヴィズに渡した。
ヴィズは丁寧にそれを上着の内ポケットに入れる。
そうしてセオドアが持つもう一つの手紙を見る。
「我が国の使節団がガルドゥーン帝国へ向かっており、道中何かが起きる可能性が高い。
この手紙を寄こしたものは帝国の間者だがな、その者曰くこの使節団が襲撃を受けると考え、この人物を護るために既に兵を向けているらしい。
必要のない人質だ。機会があれば救い出したいが……
帝国にも使節団にも知られずに、というのは流石の沈黙の狼といえど単独では難しいだろう。失敗は許されない。
俺は予定通りの日程で帰国する。
良いか、帝国はその者を大切に取り扱うことはまず間違いがない。
ヴィズ聖一等騎士、君には襲撃の真偽およびできる限りの情報を持ち帰って欲しい。
本当の作戦はそれからだ」
セオドアは親書を結んでいた封蝋がついた紐を差し出す。
ヴィズはそれを恭しく受け取るとマークとミーガンは次々に自身の持つ急な任務に役立ちそうな魔道具を一つ二つ取り出しヴィズに渡す。
受け取ったヴィズはそれらの装備を確認し、ブーツの踵をならし敬礼した。
「帝国のネズミを追い、先回りせよ」
「はっ御前を失礼します」
一旦、間者の通った窓を一瞥し、薄闇のバルコニーへ進む。
ミーガンが強化魔法を唱え、マークが結界を解く。
扉を開け音もなく数歩先の腰ほどの縁に飛び乗り、躊躇いもなく5階建ての最上階から、すーっと落ちるように消えていった。
マークが窓を閉め、結界が再び張られたのを確認してセオドアに向かって聞いた。
「では、仔細を聞かせていただきたい」
「前々から調べていた件が、急に動き出したのだ。
考えていた以上の大きさになってな」
「陛下はご存知か?」
「いや、詳細まで知らされてないだろう」
「どういうことだ?」
「そこが問題だよ。どうやらトレアール公爵が動いたらしい。マーク、エクスレイ大公に連絡を入れよ。それらしい理由をつけて王都に来ていただこう」
ティルドルフ王国王位継承権第1位のセオドア第一王子は大きく息を一つして、強張った緊張を解いた。
そして、ゆっくりと前髪をかき上げ輝くような笑顔で更に付け加えた。
「ミーガン、僕も年頃なんでね。可愛い令嬢を何人か紹介してくれないか?」
温かい目で見てやってくだせいましヽ(´o`;
* ** * ** * ** * ** * ** * ** * **
ヴィルは騎士団名は第六騎士団のそれを姓とした。
それは本人の真摯な仕事ぶりから、国に忠誠を誓ったものと捉えてられていた。
その後、更に過酷な別部隊へ配置換えとなったが、そこでも自己の能力を遺憾なく発揮し着々と任務をこなして特別の速さで進級していた。
セオドアの問いに胸を張ったまま応える。
「特務第三部隊聖一等騎士、ヴィズ・デ・アスカロンであります」
「お前が…そうか、沈黙の狼か」
セオドアはこの二つ名を持つ獣人について、マークからだけでなく騎士団長たちや将軍たちからも何度となく聞いていた。
しかし、こうして話をするのは初めてだ。意外と若いのだな、と思った。
この特務部隊は騎士団の中でも優れたものだけで構成されているエリート集団である。
オスティアス一族が王家を陰から支えているのならば、特務部隊フィデリタスは国家を陰から支えていると言える。
聖一等騎士ともなれば武術魔術などの技術向上のために、所属こそ違えどその特務隊の厳しい訓練に定期的に参加することになる。かくいうマークも然りだ。
しかしそれはあくまでも訓練であり、実際の任務は囮や潜入などの危険も伴うもの多く更に数段上の技術と経験が必要となる。
更に第三部隊といえば、イロモノが揃った部隊であり、随一の稼働力とその実績を誇っていた。
そのため同じ騎士からも一目も二目も置かれているのだった。
そしてヴィズは正に最速で平民から特務部隊の聖一等騎士となった伝説の男であった。
マークたちに言わせれば、訓練のときにはあれだけ目立つ奴が終わった途端どこにいるのか分からない、という意味からも伝説と言われているらしい。
「特務部隊は何年目になる?」
「はっ3年ほどになります」
「では、聞きたい。相手が軍籍の獣人でも知られずに尾行できると思うか?」
「はい、机の上にございます手紙の主の後を知られずに追えると考えます」
思わぬ感の良さに、セオドアは口角を上げた。
「マーク、この者はヴィズ・デ・アスカロンはお前が選んだのだな?」
「はい、この者の能力の高さは特務部隊でも群を抜いております。そして何よりも任務に忠実です」
セオドアはマークの言葉に頷き、もう一人の者を見た。
「ミーガンは魔術師団だったな、魔術符もつくれるか?」
「はっ第二魔術師団聖一等魔術師であります。魔術師団の中でも一二を争う器用貧乏といわれております」
元々何度も酒盛りをする仲である。
少々おどけて答える。
セオドアの頬がそれに応える。
「魔術符が必要だ。ヴィズにはこれから単独で遠距離、そうガルドゥーン帝国へ極秘調査をしてもらう」
「今持っているものを全て、いや、数が少ないか」
「いえ、常備してる分もありますので、それだけで充分です。すぐに追いかけます」
ヴィズの言葉にセオドアは満足そうに頷き、説明を加える。
「この手紙の送り主……」
執務机の引き出しを開け、ハンカチに包まれた手紙に視線を落とす。ヴィズの鼻がクンっと鳴り、大きな耳がビクッとなる。
「誘拐?ですか?」
「(誘拐)ではない。言わば人質と言ったところだ」
セオドアはハンカチを取り出しヴィズに渡した。
ヴィズは丁寧にそれを上着の内ポケットに入れる。
そうしてセオドアが持つもう一つの手紙を見る。
「我が国の使節団がガルドゥーン帝国へ向かっており、道中何かが起きる可能性が高い。
この手紙を寄こしたものは帝国の間者だがな、その者曰くこの使節団が襲撃を受けると考え、この人物を護るために既に兵を向けているらしい。
必要のない人質だ。機会があれば救い出したいが……
帝国にも使節団にも知られずに、というのは流石の沈黙の狼といえど単独では難しいだろう。失敗は許されない。
俺は予定通りの日程で帰国する。
良いか、帝国はその者を大切に取り扱うことはまず間違いがない。
ヴィズ聖一等騎士、君には襲撃の真偽およびできる限りの情報を持ち帰って欲しい。
本当の作戦はそれからだ」
セオドアは親書を結んでいた封蝋がついた紐を差し出す。
ヴィズはそれを恭しく受け取るとマークとミーガンは次々に自身の持つ急な任務に役立ちそうな魔道具を一つ二つ取り出しヴィズに渡す。
受け取ったヴィズはそれらの装備を確認し、ブーツの踵をならし敬礼した。
「帝国のネズミを追い、先回りせよ」
「はっ御前を失礼します」
一旦、間者の通った窓を一瞥し、薄闇のバルコニーへ進む。
ミーガンが強化魔法を唱え、マークが結界を解く。
扉を開け音もなく数歩先の腰ほどの縁に飛び乗り、躊躇いもなく5階建ての最上階から、すーっと落ちるように消えていった。
マークが窓を閉め、結界が再び張られたのを確認してセオドアに向かって聞いた。
「では、仔細を聞かせていただきたい」
「前々から調べていた件が、急に動き出したのだ。
考えていた以上の大きさになってな」
「陛下はご存知か?」
「いや、詳細まで知らされてないだろう」
「どういうことだ?」
「そこが問題だよ。どうやらトレアール公爵が動いたらしい。マーク、エクスレイ大公に連絡を入れよ。それらしい理由をつけて王都に来ていただこう」
ティルドルフ王国王位継承権第1位のセオドア第一王子は大きく息を一つして、強張った緊張を解いた。
そして、ゆっくりと前髪をかき上げ輝くような笑顔で更に付け加えた。
「ミーガン、僕も年頃なんでね。可愛い令嬢を何人か紹介してくれないか?」
0
あなたにおすすめの小説
気がつけば異世界
波間柏
恋愛
芹沢 ゆら(27)は、いつものように事務仕事を終え帰宅してみれば、母に小さい段ボールの箱を渡される。
それは、つい最近亡くなった骨董屋を営んでいた叔父からの品だった。
その段ボールから最後に取り出した小さなオルゴールの箱の中には指輪が1つ。やっと合う小指にはめてみたら、部屋にいたはずが円柱のてっぺんにいた。
これは現実なのだろうか?
私は、まだ事の重大さに気づいていなかった。
番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はスミレ・デラウェア。伯爵令嬢だけど秘密がある。長閑なぶどう畑が広がる我がデラウェア領地で自警団に入っているのだ。騎士団に入れないのでコッソリと盗賊から領地を守ってます。
そんな領地に王都から番探しに王子がやって来るらしい。人が集まって来ると盗賊も来るから勘弁して欲しい。
お転婆令嬢が番から逃げ回るお話しです。
愛の花シリーズ第3弾です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる