俺の番が見つからない

Heath

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web小説の書き方やルールが分からず右往左往しつつコツコツ冷や汗かきながら書いています。
温かい目で見てやってくだせいましヽ(´o`;
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 ヴィルは騎士団名アスカロンは第六騎士団のそれを姓とした。

それは本人の真摯な仕事ぶりから、国に忠誠を誓ったものと捉えてられていた。

その後、更に過酷な別部隊へ配置換えとなったが、そこでも自己の能力を遺憾なく発揮し着々と任務をこなして特別の速さで進級していた。

セオドアの問いに胸を張ったまま応える。

「特務第三部隊アグニス聖一等騎士、ヴィズ・デ・アスカロンであります」

「お前が…そうか、沈黙の狼シティルか」

セオドアはこの二つ名を持つ獣人について、マークからだけでなく騎士団長たちや将軍たちからも何度となく聞いていた。

しかし、こうして話をするのは初めてだ。意外と若いのだな、と思った。

 この特務部隊フィデリタスは騎士団の中でも優れたものだけで構成されているエリート集団である。

オスティアス犠牲一族が王家を陰から支えているのならば、特務部隊フィデリタス忠誠は国家を陰から支えていると言える。

聖一等騎士ともなれば武術魔術などの技術向上のために、所属こそ違えどその特務隊の厳しい訓練に定期的に参加することになる。かくいうマークも然りだ。

しかしそれはあくまでも訓練であり、実際の任務は囮や潜入などの危険も伴うもの多く更に数段上の技術と経験が必要となる。

更に第三部隊といえば、イロモノ変人・奇人・獣人が揃った部隊であり、随一の稼働力とその実績を誇っていた。

そのため同じ騎士からも一目も二目も置かれているのだった。

そしてヴィズは正に最速で平民から特務部隊の聖一等騎士となった伝説の男であった。

マークたちに言わせれば、訓練のときにはあれだけ目立つ奴が終わった途端どこにいるのか分からない気配が消える、という意味からも伝説と言われているらしい。

特務部隊フィデリタスは何年目になる?」

「はっ3年ほどになります」

「では、聞きたい。相手が軍籍の獣人でも知られずに尾行できると思うか?」

「はい、机の上にございます手紙の主の後を知られずに追えると考えます」

思わぬ感の良さに、セオドアは口角を上げた。

「マーク、この者はヴィズ・デ・アスカロンはお前が選んだのだな?」

「はい、この者の能力の高さは特務部隊フィデリタスでも群を抜いております。そして何よりも任務に忠実です」

セオドアはマークの言葉に頷き、もう一人の者を見た。

「ミーガンは魔術師団だったな、魔術符もつくれるか?」

「はっ第二魔術師団マニュディ聖一等魔術師であります。魔術師団の中でも一二を争う器用貧乏といわれております」

元々何度も酒盛りをする仲である。
少々おどけて答える。
セオドアの頬がそれに応える。

「魔術符が必要だ。ヴィズにはこれから単独で遠距離、そうガルドゥーン帝国へ極秘調査をしてもらう」

「今持っているものを全て、いや、数が少ないか」

「いえ、常備してる分もありますので、それだけで充分です。すぐに追いかけます」

ヴィズの言葉にセオドアは満足そうに頷き、説明を加える。

「この手紙の送り主……」

執務机の引き出しを開け、ハンカチに包まれた手紙に視線を落とす。ヴィズの鼻がクンっと鳴り、大きな耳がビクッとなる。

「誘拐?ですか?」

「(誘拐)ではない。言わば人質と言ったところだ」

セオドアはハンカチを取り出しヴィズに渡した。

ヴィズは丁寧にそれを上着の内ポケットに入れる。

そうしてセオドアが持つもう一つの手紙を見る。

「我が国の使節団がガルドゥーン帝国へ向かっており、道中何かが起きる可能性が高い。

この手紙を寄こしたものは帝国の間者だがな、その者曰くこの使節団が襲撃を受けると考え、この人物を護るために既に兵を向けているらしい。

必要のない人質だ。機会があれば救い出したいが……

帝国にも使節団にも知られずに、というのは流石の沈黙の狼といえど単独では難しいだろう。失敗は許されない。

俺は予定通りの日程で帰国する。

良いか、帝国はその者を大切に取り扱うことはまず間違いがない。

ヴィズ聖一等騎士、君には襲撃の真偽およびできる限りの情報を持ち帰って欲しい。

本当の作戦戦いはそれからだ」

セオドアは親書を結んでいた封蝋がついた紐を差し出す。

ヴィズはそれを恭しく受け取るとマークとミーガンは次々に自身の持つ急な任務に役立ちそうな魔道具を一つ二つ取り出しヴィズに渡す。

受け取ったヴィズはそれらの装備を確認し、ブーツの踵をならし敬礼した。

「帝国のネズミを追い、先回りせよ」
「はっ御前を失礼します」

一旦、間者ドゥの通った窓を一瞥し、薄闇のバルコニーへ進む。

ミーガンが強化魔法を唱え、マークが結界を解く。

扉を開け音もなく数歩先の腰ほどの縁に飛び乗り、躊躇いもなく5階建ての最上階から、すーっと落ちるように消えていった。


    マークが窓を閉め、結界が再び張られたのを確認してセオドアに向かって聞いた。

「では、仔細を聞かせていただきたい」

「前々から調べていた件が、急に動き出したのだ。
考えていた以上の大きさになってな」

「陛下はご存知か?」

「いや、詳細まで知らされてないだろう」

「どういうことだ?」

「そこが問題だよ。どうやらトレアール公爵が動いたらしい。マーク、エクスレイ大公お祖父様に連絡を入れよ。それらしい理由をつけて王都に来ていただこう」

ティルドルフ王国王位継承権第1位のセオドア第一王子は大きく息を一つして、強張った緊張を解いた。

そして、ゆっくりと前髪をかき上げ輝くような笑顔で更に付け加えた。


「ミーガン、僕も年頃なんでね。可愛い令嬢を何人か紹介してくれないか?」



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