続々・失職寸前アイドルは天才美少年に愛されている(仮)

Heath

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俺のバレンタイディ イギー 前編

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本日、もう1話、夜の投稿で一旦終わります。
どうぞ、よろしくお願いいたします♪( ´θ`)ノ
* ** * ** * ** * ** * ** * ** * ** * ** * ** *


<2月15日(月)0時半頃~>

♫~♪ ♫~♪ ♫~♪

久遠くおんさん?   どうしたの?」

『悪い、今からうち来てくんねーか?    璃音りおんが、  璃音が発作起こしてて、手がつけられねーんだ』

「え?」

『おいっ、今しゃべってんだろ、少しぐらい我慢しろよっ』

「……久遠くおんさん、誰かいるんだね。ま、俺には関係ないけどさ、まったく俺じゃないとだめなわけ? ミカミさんは?事務所の女社長

『ミカミをこの時間には呼び出せないだろ?   大目玉食らうのがオチだ』

「俺も誰かと過ごしてるとは思わないわけ?」

『ああ……、そう、だよな……、まいったな』

「……行くよ。三十分ぐらいでつけると思う。それまで璃音を押さえてて、でないと怪我する……」

電話が掛かってきたのが二月十五日になったばかりの深夜だった。

その日も一人で過ごしていたけど、都合の良すぎる呼び出しに少しぐらい嫌味を言っても許されるはずだ。

久遠にもやもや、ムシャクシャするけど、何より不器用な璃音のことが心配だ。



“あん? 早く入れよ”

モデル仲間のエヴァンだ。こいつも久遠くおんさんに熱を上げてるのは知っていたが、今日呼ばれているとは思わなかった。胸がぎゅっと掴まれたように苦しくなる。

本当、あいつ久遠は金髪碧眼が好きだよな。

“久遠はリオンの部屋だ。とっとと(久遠を)解放してよ”

顎をしゃくるように場所を示され、不愉快さが増す。俺より三つ四つ年下のはずだが、何かにつけマウンティングを取りたがるので面倒なタイプだ。

本当、趣味の悪いやつだ。

急いで、璃音の部屋に向かう。


「ジギー、悪いな……」

「代わるよ」”璃音、璃音、俺だ。ジギーだ。わかる?”

久遠に代わって、毛布に包まれた璃音を抱きしめる。

”璃音、璃音、俺だ、ジギーだ”
”もう大丈夫。何もかも大丈夫なんだよ”

手負いの獣のように、毛布の中で暴れて唸る璃音に、囁くように何度も何度も話しかけ、背中を撫でて根気よく待つ。

璃音の体の強張りが解けてきたのを見計らって、今夜は璃音に付き添うと久遠を部屋から追い出した。


”璃音、どうしたんだい?”

”……ったんだ”

”ん? 何だい?”

”僕、知らなかったんだ”

”ん? 何を知らなかったんだい?”

”僕、僕、渡してない。取られちゃう。取られちゃうよう”

璃音はポロポロ涙を流しながら繰り返す。この子が執着しているのはただ一つ。

”みのりんをかい?”

”どうすればいい? どうすれば僕だけのものになる?”

しばらく、璃音を抱きしめて、順番に話を聞いていった。

どうも、ここ数日、学校へも行かず、ナルンジャーのDVDを繰り返し見ていたらしい。

毎週楽しみにしているプレサンプレスト・サンクのラジオ番組を聴いて、そのまま、みのりんの生放送のラジオ番組で、どうやらバレンタインディであったことを知ったらしい。

しかも、この子は日本特有の、好きな人にチョコを送る、という文化をわかってなかったようなのだ。

寒い時に、なぜだか甘いものを沢山もらえる日があることはわかっていたようだが、それが愛の告白につながるとは思っていなかったのだ。

”だって、だって、ジギーはとーちゃんにチョコ渡しに来てないよ?”

この子は俺が久遠を愛していることを知っている。
久遠でさえ知らないのに。

きっと、混乱したに違いない。

頭の中にあったものを言葉にすることで、頭の中が整理されたようで随分と落ち着いてきた。

”温かい飲み物を作ってくるよ。待ってて”

そう言って、俺は階下のキッチンへ向かった。リビングの先にキッチンがあり、更にその奥の廊下の先にある部屋から話声が聞こえた、と思った。

璃音が落ち着いたことを知らせてやってもいいだろう。
少しぐらい、二人の邪魔してもいいだろう、と部屋に近づいた。

部屋は少し空いていて、煌々と光が漏れていた。
覗き込んで、固まった。

全裸のエヴァンがベッドの上に座り込む体制でいて、嬌声をあげていた。
ベッドに寝ているだろう久遠の上に跨っているのだ。

下からの激しい突き上げに身体を大きく揺らし、歓喜の声を上げ、上気し恍惚の表情を見せる。
一瞬、それはジギーの中にある記憶を呼び起こし、体の奥にジンジンと熱を持たせる。けれど、反対に顔から血の気が引き、手足の先がキンキンに冷えていく。
久遠の顔はベッドボードに隠れて見えないが、エヴァンはドアの方に向いていてジギーに気付いたのだろう。

勝ち誇った視線を投げつけ興奮を感じたのか、自らも一層激しく動き出した。


ジギーは深く後悔した。
邪魔してやろうだなんて、馬鹿なことを思わなければよかった。

そんな言葉が頭の中を占める。
息が、呼吸が自由にできない。酸素を求めてゆっくりとキッチンに引き返した。
一度、認識したからだろうか、キッチンに戻っても話し声に思えたものがもう完全にソレにしか聞こえない。両手で耳を塞いでも、聞こえてくる気がする。息が詰まる。

空気を求めて、急いで璃音の部屋に戻った。

毛布に包まったままの璃音を抱きしめた。
何かを感じたのだろうか、璃音がジギーの背中に両手を回してきて、その背中を優しく撫でてきた。

そのまま二人は床の上で、毛布に包まって、抱き合って、じっと時間が過ぎるのをただただ待った。


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