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俺のバレンタインディ イギー 後編
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Happy Valentine!
今回の最終話になります。
よろしくお願いしますヽ(´o`;
* ** * ** * ** * ** * ** * ** * **
<2月15日(月)未明~21時頃?>
何分、何十分、何時間そうしていたのだろう。
夜中から降り出した雨が強くなっては弱くなり、弱くなってはまた強く叩きつける。そんな音が続いている。
薄暗い部屋の中、壁時計の針が指すのは午前なのか午後なのかわからないが10時を過ぎていた。
それでも二人は何よりも互いの温もりが必要だった。
「おい、大丈夫か?」
音沙汰のないことを心配した久遠が璃音の部屋にやってきた。それでも璃音の扱いに戸惑ってか、気遣ってか、部屋の中には入ってこない。
実は久遠が部屋に来るのはこれが一度目ではない。夜が明けきる前から、度々部屋の前まで来ていた。
しかし、ついに我慢ができなくなった久遠はついに部屋のドアを開けた。
そして、驚きに目を見張った。
なぜなら、二人が包まっている毛布から白い素肌が出ていたからだ。
二人の美しい顔は向かい合う形でくっついていて、毛布から出ている曲線を描く肩とそこからの腕は互いを抱いている。そして同様に白く輝く美しい足が艶かしく見えていた。
「おいっ、ジギーっ、どういうことだ?」
思わず、久遠は掠れた低い声で言った。
「俺はそんなこと頼んでねーぞ」
すると、璃音が目を開けて、ジギーを守るようにギュっと抱きしめた。
ジギーが目覚める様子はない。璃音は幾分腫れたままの目で、強張った表情のままだ。
「出てって」
「お、おぃ、り……」
「出てって!」
「だ、だが、な……」
「出てけっ!」
鋭い視線に噛み付くように発せられた言葉に、久遠は戸惑った。まるで神話に出てくる美しい双子が傷ついた片割れを敵から守っているようだと、久遠の目に映った。
璃音の初めての強烈な反抗を目の前にして、その時、久遠の胸に言葉に表現しきれない複雑な感情が生まれていた。こんな気持ちは知らない、初めての感覚だ。その思いに囚われ茫然自失のまま、璃音に追われるように部屋を後にした。
それから璃音は疲れて眠るジギーの美しい顔をずっと見ていた。
ジギーの長い睫毛が震えたかと思うとゆっくりと瞼を開けた。
”璃音?”
璃音はジギーの発した自分の名を零す唇とその息に、髪が逆立つのを感じた。
"じぎー"
そう言って、ジギーの目に浮かぶ水を舐め取るとジギーは安心したかのように再び目を閉じた。
”じぎー、かわいい”
自分の腕の中で、無防備に眠っていたこの大人が、いつも強く頼もしい美神がこんなにも今か弱い。このまま、この美神を腕の中に閉じ込めておきたいと思った。
何かが璃音の中に生まれた。そして目の前にかけられていた薄いベールが取り除かれたように色んなものがクリアに見えるようになった気がした。
また、しばらく二人はうとうととまどろんでいたが、何度か鳴っていたジギーのスマホが執拗になり続けて、ついにジギーは覚醒した。
ジギーはスマホを見つめ、大きなため息をついた。
”どうしたの?”
”ん、ああ、今日、仕事があったんだよ”
”仕事?”
”そうだよ。人は仕事をしなくっちゃ食っていけない”
璃音は不思議そうにコテンと小首を傾げた。
”璃音にこんなこと聞かせたくないんだけどね。ここのデザイナーがちょっとしつこいやつでね。そいつをすっぽかしちゃったんだ”
”……”
”ふぅ、埋め合わせしないとまずいかぁ”
”……それ、どういうこと? どういう意味?”
”璃音が気にすることない。しなくて良いし、関係もないんだよ”
”……そいつのこと好きなの? だから僕に関係ないの?”
”?!……”
目を逸らせてしまったジギーに璃音は強い口調で聞いた。
”ジギーは正直だ。すぐに答えないのは違うからだよね?”
"ごめん、今から、俺の事務所に連絡する"
"いいよ、この部屋で連絡して、キッチンで何か食べるもの探してくる"
シャツを羽織り、そのポケットにスマホを滑り込ませ、そして璃音は部屋を出た。
随分、時間が経ってから璃音は大きなトレイにシリアルやヨーグルトや桃缶を乗せて戻ってきた。
"ジギー、一緒に食べよ?"
ドアを開けると、ジギーが服を着て帰り支度をしていた。
''ジギー!"
璃音は一瞬強張った表情を見せたかと思うと、再度、トレイをしっかりと持ってそれを床に置いた。
"ジギー、ダメだよ。もうしばらくここにいて?"
それから三日間ジギーは璃音の側で過ごした。
モデル事務所からは、すんなり休んでいい、と言われて、それから何の連絡もない。
久遠が何度か、何か言いたげに現れたが、眉を曇らせたまま、渋い顔をしていた。
部屋にいても何もすることがないから、ジギーは家事をしようとしたけれど、週に二回来る家政婦さんが三日分の料理やら家事を二人掛かりであっと言う間に終わらせてしまい、時間をもてあました。
諦めて、璃音がPC画面とずっとにらめっこしている近くで、本を読んだり、映画をみたり、トレーニング室で体を動かしたりしていた。
そうしてるうちに大きなトラックがやってきて、荷物を璃音の隣の部屋に家に運び込み始めた。璃音がジギーの背後から抱きついてきて言った。
“ごめん、勝手なことした”
”どういうこと?”
”怒らないで、聞いてくれる?”
”何をしたんだい?”
”ジギーと一緒に居られるようにしたんだ”
”え?”
”ずっーとって言わないから、しばらく僕の側にいて?”
* ** * ** * ** * ** * ** * ** * ** * **
また、変な終わり方に><
ああ、いつになったら、璃音xみのりんにたどり着けるのでしょうか…
今回の最終話になります。
よろしくお願いしますヽ(´o`;
* ** * ** * ** * ** * ** * ** * **
<2月15日(月)未明~21時頃?>
何分、何十分、何時間そうしていたのだろう。
夜中から降り出した雨が強くなっては弱くなり、弱くなってはまた強く叩きつける。そんな音が続いている。
薄暗い部屋の中、壁時計の針が指すのは午前なのか午後なのかわからないが10時を過ぎていた。
それでも二人は何よりも互いの温もりが必要だった。
「おい、大丈夫か?」
音沙汰のないことを心配した久遠が璃音の部屋にやってきた。それでも璃音の扱いに戸惑ってか、気遣ってか、部屋の中には入ってこない。
実は久遠が部屋に来るのはこれが一度目ではない。夜が明けきる前から、度々部屋の前まで来ていた。
しかし、ついに我慢ができなくなった久遠はついに部屋のドアを開けた。
そして、驚きに目を見張った。
なぜなら、二人が包まっている毛布から白い素肌が出ていたからだ。
二人の美しい顔は向かい合う形でくっついていて、毛布から出ている曲線を描く肩とそこからの腕は互いを抱いている。そして同様に白く輝く美しい足が艶かしく見えていた。
「おいっ、ジギーっ、どういうことだ?」
思わず、久遠は掠れた低い声で言った。
「俺はそんなこと頼んでねーぞ」
すると、璃音が目を開けて、ジギーを守るようにギュっと抱きしめた。
ジギーが目覚める様子はない。璃音は幾分腫れたままの目で、強張った表情のままだ。
「出てって」
「お、おぃ、り……」
「出てって!」
「だ、だが、な……」
「出てけっ!」
鋭い視線に噛み付くように発せられた言葉に、久遠は戸惑った。まるで神話に出てくる美しい双子が傷ついた片割れを敵から守っているようだと、久遠の目に映った。
璃音の初めての強烈な反抗を目の前にして、その時、久遠の胸に言葉に表現しきれない複雑な感情が生まれていた。こんな気持ちは知らない、初めての感覚だ。その思いに囚われ茫然自失のまま、璃音に追われるように部屋を後にした。
それから璃音は疲れて眠るジギーの美しい顔をずっと見ていた。
ジギーの長い睫毛が震えたかと思うとゆっくりと瞼を開けた。
”璃音?”
璃音はジギーの発した自分の名を零す唇とその息に、髪が逆立つのを感じた。
"じぎー"
そう言って、ジギーの目に浮かぶ水を舐め取るとジギーは安心したかのように再び目を閉じた。
”じぎー、かわいい”
自分の腕の中で、無防備に眠っていたこの大人が、いつも強く頼もしい美神がこんなにも今か弱い。このまま、この美神を腕の中に閉じ込めておきたいと思った。
何かが璃音の中に生まれた。そして目の前にかけられていた薄いベールが取り除かれたように色んなものがクリアに見えるようになった気がした。
また、しばらく二人はうとうととまどろんでいたが、何度か鳴っていたジギーのスマホが執拗になり続けて、ついにジギーは覚醒した。
ジギーはスマホを見つめ、大きなため息をついた。
”どうしたの?”
”ん、ああ、今日、仕事があったんだよ”
”仕事?”
”そうだよ。人は仕事をしなくっちゃ食っていけない”
璃音は不思議そうにコテンと小首を傾げた。
”璃音にこんなこと聞かせたくないんだけどね。ここのデザイナーがちょっとしつこいやつでね。そいつをすっぽかしちゃったんだ”
”……”
”ふぅ、埋め合わせしないとまずいかぁ”
”……それ、どういうこと? どういう意味?”
”璃音が気にすることない。しなくて良いし、関係もないんだよ”
”……そいつのこと好きなの? だから僕に関係ないの?”
”?!……”
目を逸らせてしまったジギーに璃音は強い口調で聞いた。
”ジギーは正直だ。すぐに答えないのは違うからだよね?”
"ごめん、今から、俺の事務所に連絡する"
"いいよ、この部屋で連絡して、キッチンで何か食べるもの探してくる"
シャツを羽織り、そのポケットにスマホを滑り込ませ、そして璃音は部屋を出た。
随分、時間が経ってから璃音は大きなトレイにシリアルやヨーグルトや桃缶を乗せて戻ってきた。
"ジギー、一緒に食べよ?"
ドアを開けると、ジギーが服を着て帰り支度をしていた。
''ジギー!"
璃音は一瞬強張った表情を見せたかと思うと、再度、トレイをしっかりと持ってそれを床に置いた。
"ジギー、ダメだよ。もうしばらくここにいて?"
それから三日間ジギーは璃音の側で過ごした。
モデル事務所からは、すんなり休んでいい、と言われて、それから何の連絡もない。
久遠が何度か、何か言いたげに現れたが、眉を曇らせたまま、渋い顔をしていた。
部屋にいても何もすることがないから、ジギーは家事をしようとしたけれど、週に二回来る家政婦さんが三日分の料理やら家事を二人掛かりであっと言う間に終わらせてしまい、時間をもてあました。
諦めて、璃音がPC画面とずっとにらめっこしている近くで、本を読んだり、映画をみたり、トレーニング室で体を動かしたりしていた。
そうしてるうちに大きなトラックがやってきて、荷物を璃音の隣の部屋に家に運び込み始めた。璃音がジギーの背後から抱きついてきて言った。
“ごめん、勝手なことした”
”どういうこと?”
”怒らないで、聞いてくれる?”
”何をしたんだい?”
”ジギーと一緒に居られるようにしたんだ”
”え?”
”ずっーとって言わないから、しばらく僕の側にいて?”
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また、変な終わり方に><
ああ、いつになったら、璃音xみのりんにたどり着けるのでしょうか…
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