巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

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第12章 新しい家族と新しい場所

12-17 正門の周囲の状況と・・・?

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 そして俺とミーアは順調に進んで行き、夕方前には正門の前までやって来たのだった。



 今迄、視察という名の見回りっぽい事をしてきたが、実はちゃんとした目的と理由があったのだ。それは今後どの様に人々を受け入れていくかと、ミーアの育った村とその周囲の村の人々の受け入れと身寄りの無い子供達の受け入れだ。
 その為に周囲と大通りの確認を行なっている。
「お兄ちゃん!最後は大雑把だったけど、一応は確認出来たよね。実際みんなこの大通りの石畳付近から離れてない位置に集落や村を造ってるけど、流石に正門の近くには誰も陣取ってないね。予定どおりでいいと思うよ」

 確かにミーアの言うとおり正門付近の土地には、まだ誰も手をつけていない事は確認出来た。恐らくは暗黒の森の近くで他の場所の防壁等とかと同じ様に考えているかもしれない。

「確かにな!まあ普通に考えたら、この場所には住みたくないだろうな。まあ普通ならな。でも、この場所が一番安全なんだけどなぁ・・・」
 まあ確かに他の街や王城等で、一番最初に被害を受けるかもしれない場所とか常人なら考えてるのかもしれない。まあ、その様な場所なら・・・あながち間違いじゃないとは思うけど、しかし、ここ神聖霊の森を含んだ場所を囲んだ防衛壁は俺が考え造った場所だ。そんじょそこらの壁の造りとは違うので破壊される事もないし、正門の造りもただ事ではないので、変な存在のモノの侵入も許す事も出来ない造りになっており、特に防衛門周りは強力な結界で護られている。
 ホントの事を薄情すれば、どちらかと言うと中心部の外側にある湖の外側の大地に関して・・・そう今回視察をして廻った村や集落のある場所の方が危険率が高い、何せ上空が無防備な状態なのだ。もし外からの砲弾等を打ち込まれたらひとたまりもない・・・が、今のところ不思議とこの世界に火薬等による武器がない。考えてみたら当たり前だ、魔法の方が有用であるからその類の武器しかないので、現状で言えば外から魔力で打ち出したとしてもその場所まで届く保障は無いので事実上然程危険では無いのである。

「でもお兄ちゃん!時たま現われるドラゴンや巨人が相手じゃ・・・」
「でもな!この壁の高さじゃ、巨人は疎か竜だって地上からじゃ無理だぞ!まあ、空を飛べるなら別だが・・・」
 ただ解りきっている事といえば防衛壁の外側に張っている結界を越えて、空を飛び攻撃して来る様な脅威は、この世界で竜種のみだが、竜種も無闇に攻撃してくるような事はない。

 何せこの場所には神竜の幼竜であるリューイいるので、知能の高い竜種が手出ししてこないのが本音である。まあそれほど強力な存在の竜種は、この世界には暗黒の森で時たま突然姿を現すモノ以外は、殆ど姿を見た事が無い。なので実際この神聖霊の森のある周囲の防衛壁に近づける脅威であるモノは殆ど居ない。第一この場所を目指してもマトモに来れる人間自体もいないので、俺の考えている危険等もいっさいないのだ。
 それにこの場所へ来る方法といえば、俺が造った特別な転移門を使うしかないのだ。

「でも、やっぱりこの場所に人が住んで貰った方がいいんだよね?お兄ちゃん!」
「ああ、この間の事もあるしな。それに今後の事を考えたら・・・」
 ただ稀に不思議なのだが小さな子供が暗黒の森をさ迷っていて、何故かこの正門の前まで無事にたどり着き、正門の大扉の横にある小さな扉が、これまた不思議と勝手に開きその子供を招き入れる現象が起きている報告もあるのだ。
 基本的に今迄だとランが神狼フェンリルに進化する前は、シロスラと共に暗黒の森に入って何かを行っていた時に、小動物なんかと共にその子供達を勝手に連れ帰る光景は最初の頃に良く目撃していた。
 最初のあの時は一瞬、どっかから攫って来たのかと思った。だがそれはどうやら違っていたらしい。

 それで俺はその時に・・・。
『しかし、何でまた子供だけでこの森の中をさ迷ってたんだ?それにあの子達の親も心配しれるんじゃ?』
『えっと、それはね。実を言うと・・・』
 実はこの暗黒の森に子供を捨てる貧しい民がいる事を、その子共達の所属していた大地の民を加護していたマリエル様に、その事に関する事情を聴かされたのだ。
 それでその子達は運良くその捨てられた大地とは違う、他の大陸に渡り街や村の人に保護される子もいれば、売られて奴隷になる子も居たようなのだ。その事に関してはマリエル様も心を痛めていたが、最近はその事も無かったらしく、今回見付った子供達はどうやら暗黒の森の中に数箇所存在している安全地帯で生き残っていた子らしいのだ。
 その安全地帯とは魔獣モンスターや凶暴な獣がいっさい手を出せない場所や池が存在していて、その場所に力の弱い生物達が避難している事が、その後に暗黒の森を調べて判明したのだ。実の所その場所を見つける事は出来ずに、もしかしたら女神も知らない現象でこの暗黒の森に現われているのかもしれないのだ。
 実際時たま現われる竜種や巨人なんかも、実は別の場所に存在していてその時にその安全地帯も存在しているかもしれない。

「大体なんで自分の子供を捨てようとするかな?・・・まあ、少し前の状況なら・・・」
 今では子供を奴隷等で扱う事はどの大陸でも出来なくなっているし、それに無闇に子供を捨てる行為をすると逆に天罰を受ける事になっている。それでも自分達で育てる事が出来ない場合は、ある施設で預かる事になっているらしい。

 それで今回この正門までやって来たもうひとつの理由とは、実はそれに関する事でもあるのだ。
 ホントなら誰かがこの近くに住み着いていてくれるのを期待したのだが、残念な事に誰も住み着いてくれなかった。
「しかし・・・ホントに気持ちいいほどに誰も正門の近くには住んで無いな。やっぱりこの辺に人が住んで貰った方がいいのにな。まあ、それを踏まえての事だが・・・」

「そうだね!ここに門番をしてくれる人も含んで色んな人達が住めば、この間の娘みたいな事はおきないと思うのにね。あの娘の発見が遅れてたりお兄ちゃん達がいなかったら、ホントに危なかったもんね」
 確かにミーアが言うように、あの時は俺達全員いたし直ぐに処置が出来たから良かったが、誰もいない時だったら恐らく助かっていなかった筈だ。実際に今迄ランやシロスラが連れて来た子供達も結構弱っていた感じもあった。

 まあ、今後の事も考えるとこの正門の周囲に民家や診療所のようなモノは欲しい感じだ。そしたらもしかしたら人が集まって来るかも知れないし・・・そんな事を考えていた。

 それに他の種族は結構集まって来ているが、肝心の人族、特に純粋な人族は今のところ殆ど受け入れていない。まあ実際この神聖霊の森の中心部である島の中だけには沢山居るのだが、殆ど俺の知り合いばかりで基本的に使用人の者達だ。
 まあ、その殆どが以前からシルフォードの屋敷で働いていた者達であり、人数にしても30人前後の者達である。この先の事を考えたら田畑を世話してくれる者や医者か治療が出来る者、それに子供達の面倒を見て貰える者とかを増やしたいとは考えている。

 それで今考えているのは、ミーアの村の住人と周囲に点在する村の人達にこの場に来て貰う事を考えている。というよりミーアにお願いされたのと、ミーア祖父である村長とその周囲に点在する村長達にお願いされたのだ。
 それから進めている計画なのだ。元々はミーアの育った村にある聖碑を守護する事が目的だったが、実はある時点からその必要も無くなってしまったそうなのだ。
 まあ早い話その原因は俺なのだけど、あの時点で誰からも壊される事も無く、そのうえ魔獣モンスターもその周囲には近付いて来ない状況にもなって、もう守人の必要が無くなってしまっていて、近々移住が必要になったそうだ。それでその事も踏まえてこの場所に移住をして貰おうと考えているのだ。

 それとは別に今いる子供達の殆どが身寄りのない子ばかりで、このまま放置とかはも既に出来ない事もあり、その子供達にもこの場に移り住んで貰い、色々と作業をして貰おうとも考えている。何故なら幼いながらもちゃんと自分達でやれる事を行なって、必死に生きようとしているので今更見捨てる事は出来ないし、色々と学ばせたいとも考えているので、学園なんかもこの正門付近に造りたいとも考えてるのだ。

 それに以前からミーアとある人物にお願いされている、もう一つの件についても健闘しなければならないが、それも実現しようと思って計画を進めているのだ。

 まあ、実際のところ既にミーアとある人物が計画を進めながら、数人の有能な人達にこの場所の話をしてスカウトしていたり、身寄りの無い子達を保護して連れて居るが・・・そこはもう今更なのである。
 まあ早い話ではあるが、この神聖霊の森がある場所に学園と孤児院を開業しようかと考えて計画を進めている。現状はこの学園に通う予定のその殆どが孤児で身寄りの無い子達ではあるのだが、何故その様な子達が多数居るのかと言うと、どうやらシルフォードの貧民街で孤児院経営者が無理やり働かせられていたのと、ちゃんと食事を取らせていなかった事が判明したからだそうだ。



 それはちょうどミーア魔導騎士学校に入学して、1ヶ月近く経ってからの事である・・・。


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