身分違いの恋

枝浬菰

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鍛冶職人

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今日は妃としてなにもやることがないのでシャクリの目を盗んで外に出た。


宮があり宦官がいて侍女、下女がいるこの後宮に来たのはいつだろうか。
元々僕は違う土地にいた。


そこではみなが金の瞳を持ち
みなが特殊な能力を持っていた。


これは当たり前なんだと思っていた。
しかし村を一歩出ればその当たり前は違った。


大人たちは子供にこう告げる。


「いいかい、あの森から出てはいけないよ、怖い怖いバケモノが私をかっさらってしまうからだ」と
教えてもらう。


僕はその言葉を無視して森の先へと行ってしまった。
その瞬間にいくつものの手が体を掴み気がつけば男の寝所にいた。

あの頃村では剣術の天才として村の戦士だった。
その驕りが今の僕の場所を作ってしまった。



人攫いにあい、男の寝所で女がされるような行為をされたあげくその者の所有物として宦官になった。
しかし宦官が行うべきである例の儀式は行われてはいない。
男たちはこう言った。
「お前はメスだ、ここを切除しなくても十分に楽しむことができる、女と?
そんなことは許されない」と

だから切除するのかと思っていたが僕のを吸い、蜜を出させそれを通和散つうわさんの足しにして塗っていた。


そしてある時
僕は足の縄を千切りその者の元から脱出したのだ、しかし外の世界を知らない僕は篝火を持った男達に囲まれてしまう。
宦官が逃げ出したとなると懲罰は死刑だろう。


と考えていたら今の側近であるルイハに金の瞳を見て一度寝所に入れた。
そこで何度も自分の欲を発散し、とある時僕の特殊な能力である【未来を見通す力】を発見し、道具として使うようになった。
それに不快を求めた今の帝ハオ様が僕を今の役職につかせたのだ。

【未来を見通す力】の代償は性欲発散といのもバレてしまい、夜な夜な抱かれている。
ぞわっとなにかを感じ取り負傷した左腕をさすった。


思った以上に痛い。
当たり前か木刀で何度も叩きつけられ塗り薬と包帯で動いているのだから。
かといって湖陽でのんびりするのも性に合わないし。

「はぁ……はぁ…」


少し息が上がってきた、戻るか。

カツンカツンと鍛冶職人は刀を磨いていた。
その様子を裏の小窓から見てみると

美しい炎と鉄を叩く音、そして数人の男を見た。
刀鍛冶がこの後宮にもあったことに驚いた。


表に回りできあがった刀に触れた。
あーなんとも美しい刀だと見惚れていると

「この無礼者!!!」と怒鳴られた。

ざわっと鍛冶屋だけではなく近くにいた下女や宦官が振り向いたのだ。


「も、申し訳ない」と謝るがその男は怒っていた。

負傷した左腕を掴まれ
「うぐっ……」と漏らすと近くにいた若い鍛冶職人が男をおさめていた。


「大丈夫か?」
「すまぬ」

激痛すぎて座り込んでしまったのだ。
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