身分違いの恋

枝浬菰

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ズーイという宦官

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「実はルイハ様から暁諾様のことを聞いていて、一度お会いしたいと思っていました」

「そうだったのですね、もしかして金の瞳ですか?」
「そうです、ルイハ様金の瞳の男を集める趣味がありまして、実はまだこの外廷にも数人いるんですよ」
「え? そうなんですか?」

「はい、暁諾様がなぜ後宮で留まっているのか分からなかったのですが湖陽の妃だったんですね、もしかして代償はそういうことですか?」


「はい?」

「いえ、だから能力の代償は帝との寵愛とか?」
「……違いますよ」


男が寵愛とか言い出したから慌てて否定した。
「じゃぁなぜ後宮に留まったのですか?」


「……えっと、うーん」
うまい言い訳が見つからない、男の言うことも正しい。
たしかにハオはなんで僕を妃として置いておいたのだ?


「もしかして帝の趣味でしょうか?」
「……そ、そうしておきましょう」

お互い苦笑いして話しが終わった。
「あの、そういえばお名前なんというのですか?」

「ああ、私はズーイといいます」
「ズー……ズーの一族ですか?」

「そうです、村のみなは元気ですか?」
「ズーの一族は僕がいた頃はじっさんとばっさんだけでもしかしたらもう」
「そうですよね……」
「でもじっさんとばっさんは強い人達なので大丈夫ですよ」

「そう、信じたいです、私は追放された身なのです」
「え?」


「あの村の外に出て黒い瞳の娘と恋に落ちました、秘密のルートで帰って行くとじっ様とばっ様は私と妻を追い出しました。それからはほとんど外での暮らしで妻の父親に鍛冶職人として働いていたのですが私が連れ去られ、身ごもっていた妻を残し先に宮中に入りました。

すぐさま性器は落とされ宦官の鍛冶職人として働き、ルイハ様に見つかりという流れでした。」


「そうだったのですね」
「暁諾様もですか?」


「いえ、僕は村の掟に違反して外の世界に顔を覗かせたとたん攫われここに来たという流れです、でも僕は宦官にはされましたが実はついているんですよ、まだ男のモノが」


「それはビックリだな」
「ええ、その時から僕にはなにかやるべきことがあるのでは……とちょっと考えました、でもまだ見つかってないですけどね」

アハハと笑っていると
武官らしき男たちが来た。


「ズーイここにいたか」
「これはこれは、お疲れ様でございます、すぐに準備を」




「なんだ、新しい男か? 可愛いな」
顎をくいっと持ち上げられ男の顔が近づいた。
そしてべろっと顔を舐めたのだった。


「うわぁ!?」

と驚くと


「暁諾様、お静かに、これが我々の仕事ですよ」
「うそーん」

ズーイが男の傍に行き腕をとっていた。

おいおい、これって僕も仕事を務めないといけないのか????
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