文学フリマ京都10に向けた作品

枝浬菰文庫

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2/9開催!〈文学フリマ広島7〉試し読み

第5作品「もう一度愛してくれますか?」

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 ❁あらすじ
 同性婚をし夫夫になった裕太と冬馬。毎日のように抱かれ毎日のように快楽に溺れていた夜を懐かしく感じてしまう。そして二十周年の夜それは突然的に起きた。「お祝い事よりも残業が大切? 仕事優先なの?」 でももう分かりきっていたのかも知れない。裕太は冬馬の心変わりに胸を痛めていた。だからマンネリ脱却のため「もう一度愛してくれますか?」と持ちかける。

 ❁登場人物
 ・朝比奈 裕太(あさひなゆうた)
 ・朝比奈 冬馬(あさひなとうま)

 他
 ・北条
 ・課長
 ・対馬先生(料理教室)


 ❁試し読み 10ページ
 朝起きると俺の隣にいるのは枕だった。

 十年前までは仕事に行く前にキスして行ってらっしゃいと言っていたのに今は起こしてくれもしない。
 もう俺のことが嫌いになってしまったのかそんなことを考えてしまう。
 二十五歳の時に国際結婚して夫夫(ふうふ)になった俺達は四十五歳を迎えた今マンネリ化中だ。

 結婚して十年は毎晩セックスを繰り返していたのにまさかセックスをしない日がくるなんて思いもしなかった。
「はぁー料理教室に行く準備でもしよう」

 立ち上がりコーヒーを飲み家を出た。

 俺の名前は朝比奈裕太あさひなゆうた四十五歳、そして俺の夫朝比奈冬馬あさひなとうまも同じく四十五歳。今とてもじゃないけどすれ違っている。


 料理教室につきエプロンとスリッパに履き替える。


「はぁー」とため息をつくと最近仲が良くなった男性の先生に声をかけられた。

「朝比奈さん、おはようございます! 今日のため息は少し長いですね」
「え、…あっハハおはようございます」

「なにかあれば聞きますので」と笑顔だった。

 男の先生がいるのは珍しい。
 女性の生徒が多い中俺も席につき腕を磨いていた。


「そういえば朝比奈さんってご結婚されているんですよね、奥様きっと素敵な方なんでしょうね」

「え、あはい」
 本当のことは言えないからあえて返事だけをした。
 男同士が結婚したなんて気持ち悪いよな。
 それでも俺は冬馬を独り占めにしたかった。
 二十年一緒にいたけど今はどこかすれ違っているみたいで少し不安になる。

「朝比奈さん今日元気ないですね、どうしちゃったんだろう」
 心配されてしまう。 

 今日のレッスンはバレンタインデーに向けたチョコレートメインの料理だった。そういえば結婚祝いも近いしその日はチョコレート料理にしようかな。
 後夜は俺で……みたいな。
 そうしよっと。

「みなさん! 今日は頑張りましょうね!」
「あ、朝比奈さん急に元気になった」

 結婚祝いのメニューを決め二月十五日の準備をした。

「ふふん、楽しみだな~ 冬馬夜は俺にする?」
 なんて想像するだけで嬉しい気分になった。

 きっとこの日のためにとっておいたんだよね。
 そうだ、そう思わないと俺潰れそうになる……。

 二月十五日になりチョコレートを使った料理を作った。
 昨日チョコを渡したら「甘いのはいらない」と拒否られてしまい、仕方なくスパイシーめに作った。
 仕事大変そうだし……昨日も遅かったし……。

 なんか俺バカみたい……。
 一人だけ騒いでこんな準備もしてもし帰ってこなかったらどうしよう。

 その予想は的中してしまい二十一時……連絡なし、さっとお風呂に入って二十二時……連絡なし……ご飯は冷めるし俺もお腹が空いて切ない中ご飯を食べた。

「はぁーやっぱ俺だけなのかな、冬馬はもう俺のことなんてどうでもよくなっちゃったのかな。できれば連絡は欲しかったな」

 メモに温めて食べてねと伝言を置きベッドの上に倒れた。

 いつの間にかに寝ていて誰かが帰ってきた音が聞こえた。
 でも起き上がれないでいると頭を撫でられながら「ごめん」そう聞こえた気がした。
 そういうなら連絡くらいしてよ。と言いたかったけど睡魔には勝てず寝てしまった。
 朝目が覚めると隣には冬馬がすやすやと寝ていた。

「冬馬……相変わらず睫毛長っかっこいい。ねぇ冬馬昨日は二十周年記念だったんだよどうして帰ってきてくれなかったの?」

 寝ている冬馬に向かって俺は語りかけていた。今日は土曜日で俺も予定を入れていないからこのままもう一度冬馬と寝たい。

 冬馬の頭を腕で包み俺は眠った。
 少し時間が経って聞こえた言葉で目が覚めた。

「ごめん、裕太」

 なんだかくすぐったい気もするし気持ちが良い気もする。

「ふわぁっ!? ちょっ冬馬!?」
 二度寝から覚めると冬馬の性器が挿入されていた。

「あっごめん動くよ」

「なっ……」どうしてそんな冷静なのか……。
 冬馬はゆっくりとでも俺の大好きなポイントばかりを攻めていた。
「あっんっぁあっいい、冬馬大好き」

 腰を振る速度は速くなったり遅くなったり念入りに中を楽しんでいた。
「あはっはぁ……はぁ……冬馬とまた繋がれて嬉しい」

「俺も……裕太」
 しかしこの世界はどこかおかしい。
 背景がピンク色でふわふわの綿も飛んでいて冬馬がどんどん大きくなって俺を犯していたからだ。

「ええ! どうなってるの!?」

 これが夢だと気づくと夢射していたみたいだ。
 恥ずかしすぎる……。
 欲求不満かよ。
 しかももう隣にいないんだけど……。

 土曜日なのに会社? 俺になにも言わないで、普通なら連絡入れるはずだよね。
 でもないよ。
 もしかして他に付き合い出したとか……。
 ベッドの上で一人遠くを見つめていた。


 冬馬は元々ノンケだし、女の人を好きになるのは普通だ。
 俺はどちらかと言うとゲイだったから恋愛対象は男だ。

 もし今冬馬が離れていくって言われたら俺は受け止めきれるのかな。
 こんなこと考えるの嫌だけど怖いな。もう親の縁もない。

 国際結婚をしている時点で縁を切ることは分かっていたし俺が男が好きって言うのも薄々気がついていたらしいから。遅かれ早かれ切られることは分かってた。

 時計は十時を指していた。

 洗濯物とかもあるし仕方なくベッドから降りダイニングへと向かった。
「おはよう、裕太」
「あっおはよう」
 なんだか気まずい……。

 結局昨日のご飯は冷蔵庫にしまわれていた。
 それも連絡くれればいいのに。
 これを使って昼ご飯でも作ろうか。

 エプロンをしてキッチンに立ち適当に作った。

 冬馬は相変わらず無口だった。
 元々無口だけどさらに無口になるってなんだよ。

 うぅっ……俺は冬馬が大好きだ。
 でもなんだか今は遠い場所に冬馬がいる気がした。
 十一時手前で昼ご飯を出した。
 俺との会話よりもスマホの情報が大事なの? 

 昨日二十周年記念だったんだよ。そう言えばいいのに声に出せなかった。

「ご馳走様、俺午後は用事があるから出るね」
「うん……」

 簡単に着替えて出て行ってしまった。
 冬馬は何を考えているのか知りたい。
 でもこれ以上嫌われたくない。
 また横になりすやすやと寝息を立てた。


 --
 しくった……。

 裕太を怒らせてしまった。

 結婚祝いのは連絡来ていたし俺もサプライズでいろいろと用意していた。

 でもなんか分からないが恥ずかしいんだよな。
 もちろん二十周年記念は大切なことだし裕太は節目とか気にしてくれるタイプだから俺ができないことができて嬉しい。それは分かっているんだけど。
 素直になれないのが俺だ。
 いつもセックスしてほしいそうな顔している裕太を俺は抱けないでいる。

 し、残業続きで俺も精神疲れてる……。

 今日は温泉に来ていた。

 今の裕太を抱けるほど俺には余裕がなかった。

 だから一度心身をリセットしたい。
「ごくらく~ごくらく……」

 俺も早く謝らないとな。

 温泉から出て牛乳を飲みながら謝る言い分を考えていた。温泉施設でゆったりしていたらあっという間に夕方になってしまった。

 不覚……。
 これじゃぁ本当に裕太を避けているみたいだ。
 そうなのかな。

 夕飯を少し買って帰宅した。
「ただいまぁ~」

 部屋の電気は暗くダイニングに明かりがついているだけだった。

「裕太? 晩ご飯少し買ってきたけど……あれいない」

 風呂場? ベランダか? 最後に寝室に入ると裕太はいた。でもなんだか様子がおかしい…尻丸出し…。回り込んでみるとディルドが握られていた。

「……裕太、溜まってるんだな」

 俺もリフレッシュしたし裕太のことちゃんと見ないといけないよな。
 手で握っていたディルドを持ちズボンを履いていない丸出しのお尻を久々に触った。両手でぐっと押し広げ指を入れると生温かく内側は柔らかかった。


 やべ、俺も勃ってきたわ。

 二本入れて出し入れを繰り返したり前立腺を擦ったりしたが裕太は起きなかった。
「んじゃぁ玩具から?」


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