予約がとれない男娼

枝浬菰文庫

文字の大きさ
39 / 40

ジョン殿下

しおりを挟む
イギリス

私は酷く落ち込んでいたがジョン殿下がお呼びということで正装に着替え浩輔と向かった。
そこには先日お世話になった花咲さんもいた。

「やっぱり……」

「蒼士さんお知り合いですか?」
「ええ」


ぺこりと挨拶された。

ソファーに腰かけているのはジョン殿下、キリっとしていてかっこいい。
そして隣にいるのがケンゴさんという奥さん。

パソコン凝視してる。

花咲さんは後ろに待機しているが
「蒼士さん改めまして、私花咲翔太と申します、綾瀬大学の理事長もしております、今回は友人である、ジョン殿下に依頼を頼まれましたので参上いたしました」


「……全然繋がりが見えないのですが」
「はい、だいたいの人に驚かれます」


「僕は英会話の先生として一度日本に訪れたことがあってね、そこで知り合ったんだ」

……。私は聞き間違えたのであろうか……。
一国の王子が日本に来日して英語を教えた……。


一元すぎる。


「ああ、もう一つ、そのとき好きになったのがケンゴなんだ、んちゅっ♡」
としていた。

「ちょっ!!? 恥ずかしい、やめてくださいよ」

本当に夫婦なのかな??


「じゃれあいはさておき、本題に入ります」
じゃれあい……。


「木島柚月という生徒と知り合いですね?」
「?? はい」

「赤間様より捜査依頼の連絡を受けまして、木島くんの居場所が分からないと……」

「はい」
「あ、でも先ほど赤間さんから蒼士さんの叔父である、貴文さんに殺されたって報告を受けましたが」

「そうでしたか、実はこちらで調べた限りではまだ殺されていないという報告が上がっております、部下が……」

その言葉を聞いて私はいてもたってもいられなかった。

「あの、私……はぁはぁ」
「蒼士さん落ち着いて」

「はぁはぁ……でも」
「生きててよかったとも言えない状態にあります」

「ど、どういうことですか?」
私は喋られず浩輔が質問してくれた。


「部下に見張らせておりますが催眠薬という強い薬を投与されているみたいで激しい幻影を見ているようです、ですので救ったとしても回復するかどうかは……」


「か……回復できるのであればしてほしい」
「……それはかなり不可能に近いでしょ」

「な……なんでまだなにもやっていないのにそんなことが分かるんですか!!」
私は声を張り上げた。

「分かります、私はこう見えて医者の資格も持っています、他多くの人たちがそのように犠牲になっていくのも見てきました、だからそうなる前に手立てを考えるのが私の仕事なのです、でも何十億人といる人たちを私1人では監視できません、意味がお分かりですか?」


「くっ……」
現に自分だって柚月を1人残してマンションを出た。
浩輔と2人で柚月を守っていくと誓ったのに……。

なにがセキュリティ高いだ、全然だ。

私は大粒の涙を零していく。

「1つ提案があります」
とジョン殿下が呟いた。

全員がそちらを見ていた。
「私の命令で柚月くんを探しに行くように君の母君に伝えます、あなたは唯一福田家の母君から貴族後継人として選ばれたのですから守らなければいけないを前提にさせていただきます、一番いいのは花咲についてもらいましょう」

「……ですが護衛は?」
「ケンゴがいるから大丈夫です、それにここは安全な国です」

「御意、なにかあればすぐに連絡ください」
「ああ」


私の意見などなしに浩輔と花咲と私は日本に向かった。
そして花咲が自ら動いていたようで叔父の研究施設にたどり着いた。
しかしすでに研究施設はボロボロのようだ。
壁には銃弾の痕があった。


「いいですか? 訪問するというよりかは柚月さんを奪還するということなのでみなさん気を引き締めてください」

「わ、分かりました」
本当にこれでいいのか、でも私は柚月に会いたい。
……亡骸だけでも家に連れて帰りたい。


花咲のあとに続くと仲間と合流したのか言葉を交わしていた。
「蒼士さん、情報が入りました。 首謀者、貴文が車で逃走したと今仲間が追っています、私たちも向かいましょう」

「分かりました」
研究施設から出て車に乗り込んだ。

--------------------------------------------
「はぁはぁ……なんでなんであいつらが追ってくるんだ、くそ俺がなにしたっていうんだよ」

俺は研究施設が襲われ車で逃げていたが乗り捨て、今雑木林を走っていた。
脇には柚を抱えたまま。

逃げ切れない。
ふと上を向くと廃墟と化した空き屋があった。
中に入り柚に薬を投与した。

「んっ……」
ぐらっと倒れ意識が朦朧としていた。
「柚を渡すものか、これは俺のものだ」

「叔父さん!!」
ばっと振り向くとそこには蒼士と浩輔がいた。

「くるな!!」
なんで2人が……あいつらはイギリスに飛びだったはず。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

どうしょういむ

田原摩耶
BL
苦手な性格正反対の難あり双子の幼馴染と一週間ひとつ屋根の下で過ごす羽目になる受けの話。 穏やか優男風過保護双子の兄+粗暴口悪サディスト遊び人双子の弟×内弁慶いじめられっ子体質の卑屈平凡受け←親友攻め 学生/執着攻め/三角関係/幼馴染/親友攻め/受けが可哀想な目に遭いがち 美甘遠(みかもとおい) 受け。幼い頃から双子たちに玩具にされてきたため、双子が嫌い。でも逆らえないので渋々言うこと聞いてる。内弁慶。 慈光宋都(じこうさんと) 双子の弟。いい加減で大雑把で自己中で乱暴者。美甘のことは可愛がってるつもりだが雑。 慈光燕斗(じこうえんと) 双子の兄。優しくて穏やかだが性格が捩れてる。美甘に甘いようで甘くない。 君完(きみさだ) 通称サダ。同じ中学校。高校にあがってから美甘と仲良くなった親友。美甘に同情してる。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...