16 / 77
ライゼン通りのパン屋さん ~看板娘とお客さん~
一章 ベティーからのお誘い
しおりを挟む
春の暖かな日差しが差し込むライゼン通り。その道をご機嫌な様子で歩く一人の娘。ベティーが嬉しそうな満面の笑みを浮かべてパン屋の扉を開く。
「いらっしゃいませ。あら、ベティーじゃないの。お店はいいの?」
「ちょっと嬉しい話が舞い込んできたから貴女を誘いに来たのよ」
ミラは来店してきた彼女へと笑顔で近寄って行く。
「嬉しい話?」
「そうなの。実は今度王女様の誕生日でしょう。だからお城からの遣いの人が来てね、私に是非雑貨屋の代表として、プレゼントを用意して欲しいと頼まれたの。その時にね、お友達を連れてきてもいいって言われたのよ」
不思議がる彼女へとベティーは興奮した様子で話す。
「え~!? 凄いじゃない。それじゃあ王女様に会えるのかしら?」
「それは分らないわ。でも王女様へのプレゼントを、私が代表して選ぶだなんて、凄い光栄な事だと思わない」
「思う、思う。本当に凄いわ!」
二人ではしゃいでいるとお店の扉が開き誰かが入って来た。
「こんにちは。ミラいるかな?」
「あら、マルクスじゃないの。またおつかいを頼まれてきたの?」
入ってきたのはマルクスでミラは籠を持ってこようと動く。
「あ、いや。今日は騎士団のおつかいじゃなくて王女様からの遣いなんだ」
「「え?」」
彼の言葉に二人は目を丸くして驚く。
「王女様の誕生日がそろそろだろう。それで誕生日の記念に城の一部を民間人に公開することになったんだ。だからこの機会にミラもベティーも見に来たらどうかって伝えてくれないかって」
「それは凄い! お城の内部を見られるのね」
「勿論行かせてもらうわ。こんな経験めったにできる事じゃないもの」
マルクスの話に食らいつく二人。若干引き気味になりながらも彼は姿勢を戻すと口を開く。
「そ、それは良かった。王女様も喜ぶと思う」
「だけどマルクス。貴方確か第二十三番隊の隊員よね。王女付きでもないのにどうして王女様の遣いで家に来たのかしら?」
「言われてみれば確かに。普通ここはレイヴィンさんか他の王女付きの騎士の人かよね」
笑顔で答える彼へとミラとベティーが不思議そうに尋ねた。
「そ、それは。ミラとベティーの幼馴染って事で僕が選ばれたんだよ」
「へ~。そうなんだ」
「幼馴染だからって選ばれることもあるのねぇ」
たじろぐマルクスへと疑問も抱かずに納得する二人。
「そ、それじゃあ僕は他にもこのことを伝えに回らないといけないから、またね」
これ以上何か言われる前にと彼はお店を出て行く。
「それじゃあ、私も帰るわ。ミラ、プレゼントを選ぶの一緒に考えてね」
「えぇ。勿論よ」
ベティーもそう言うと帰って行く。嬉しいお知らせを二つも聞いたミラは高まる胸の鼓動へと手を当て微笑んだ。
後日。ミラの姿は雑貨屋にあった。
「王女様へのプレゼントの品だからうちの店で一番高い商品を送ればいいと思うのよ」
「でも、高いからいいとも限らないわよ。もっと実用的な物の方がいいんじゃないかしら」
品物を見ながら二人はあれやこれやと話しながらプレゼントを選ぶ。
「こんにちは。あぁ、やっぱりここにいたのね」
「え、あら。ローズ様」
「いらっしゃい。ローズ様今日は何をお求めで?」
お店の扉が開かれ入って来たローズへと二人は振り返り声をかける。
「ベティーが王女へのプレゼントを選ぶって聞いて、わたしが直々にアドバイスしてあげようと思って来たのよ」
「それは助かります。王女様のご友人なら好みを知っていると思いますので」
「そうね。お願いした方がいいと思うわ」
彼女の言葉にベティーがにこりと笑い言うとミラも同意して頷く。
「それで、王女様はどんなものなら喜んでくれるかしら」
「そうね……」
ベティーの言葉にローズが店の中をぐるりと見まわす。
「あ、この手鏡は良いわね。それとこのブラシもセットでお願いするわ。あとは、レースのハンカチなんかも丁度欲しいと思っていたのよね。この白色とピンクをお願い」
「ちょ、ちょっと待って下さい。今日はローズ様の欲しい物じゃなくて王女様の好みそうなものを選んでもらうんですよ」
「そうよ、ローズ様が欲しいもの選んでどうするんですか」
彼女の言葉にミラが待ってと言って慌てて声をかけるとベティーも頷く。
「あ、あ~っと。そう、だったわね。でもわたしと王女は好みが似ているの。だからわたしが選ぶんだから王女もきっと喜ぶと思うわよ」
「なんだ、そう言うこと。分かりました。では先ほど言われた品をプレゼントで送ればいいのね」
たじろぎながらローズが説明するとベティーが納得して微笑む。
「プレゼントも選べたことだしわたしは帰るわね」
「はい。色々と選んで頂き有難う御座います」
彼女の言葉にベティーが笑顔で見送る。
「ミラのお店にもまた顔を出すから」
「えぇ。ご来店お待ちいたしております」
ローズの言葉にミラもにこりと笑いそう言った。
「それじゃあね」
「「……」」
彼女が帰って行くと二人は顔を見合わせる。
「ねえ、最近のローズ様なんか変よね」
「そうよね。王女様のプレゼントなのに、まるで自分のプレゼントを選ぶみたいな感じだったし」
ベティーの言葉にミラも頷く。
「何か秘密があるのよ。もしかしてローズ様は!」
「え?」
彼女が何を言い出すのだろうと身を乗り出して聞き入る。
「王族の隠し子だったりして」
「そんなわけないでしょ」
「そうよね。言ってみただけよ」
次に放たれた言葉にミラは呆れて溜息を吐き出す。ベティー本人も冗談だと言って笑った。
ローズが王女であると知るのはそう遠くない未来なのかもしれない。
「いらっしゃいませ。あら、ベティーじゃないの。お店はいいの?」
「ちょっと嬉しい話が舞い込んできたから貴女を誘いに来たのよ」
ミラは来店してきた彼女へと笑顔で近寄って行く。
「嬉しい話?」
「そうなの。実は今度王女様の誕生日でしょう。だからお城からの遣いの人が来てね、私に是非雑貨屋の代表として、プレゼントを用意して欲しいと頼まれたの。その時にね、お友達を連れてきてもいいって言われたのよ」
不思議がる彼女へとベティーは興奮した様子で話す。
「え~!? 凄いじゃない。それじゃあ王女様に会えるのかしら?」
「それは分らないわ。でも王女様へのプレゼントを、私が代表して選ぶだなんて、凄い光栄な事だと思わない」
「思う、思う。本当に凄いわ!」
二人ではしゃいでいるとお店の扉が開き誰かが入って来た。
「こんにちは。ミラいるかな?」
「あら、マルクスじゃないの。またおつかいを頼まれてきたの?」
入ってきたのはマルクスでミラは籠を持ってこようと動く。
「あ、いや。今日は騎士団のおつかいじゃなくて王女様からの遣いなんだ」
「「え?」」
彼の言葉に二人は目を丸くして驚く。
「王女様の誕生日がそろそろだろう。それで誕生日の記念に城の一部を民間人に公開することになったんだ。だからこの機会にミラもベティーも見に来たらどうかって伝えてくれないかって」
「それは凄い! お城の内部を見られるのね」
「勿論行かせてもらうわ。こんな経験めったにできる事じゃないもの」
マルクスの話に食らいつく二人。若干引き気味になりながらも彼は姿勢を戻すと口を開く。
「そ、それは良かった。王女様も喜ぶと思う」
「だけどマルクス。貴方確か第二十三番隊の隊員よね。王女付きでもないのにどうして王女様の遣いで家に来たのかしら?」
「言われてみれば確かに。普通ここはレイヴィンさんか他の王女付きの騎士の人かよね」
笑顔で答える彼へとミラとベティーが不思議そうに尋ねた。
「そ、それは。ミラとベティーの幼馴染って事で僕が選ばれたんだよ」
「へ~。そうなんだ」
「幼馴染だからって選ばれることもあるのねぇ」
たじろぐマルクスへと疑問も抱かずに納得する二人。
「そ、それじゃあ僕は他にもこのことを伝えに回らないといけないから、またね」
これ以上何か言われる前にと彼はお店を出て行く。
「それじゃあ、私も帰るわ。ミラ、プレゼントを選ぶの一緒に考えてね」
「えぇ。勿論よ」
ベティーもそう言うと帰って行く。嬉しいお知らせを二つも聞いたミラは高まる胸の鼓動へと手を当て微笑んだ。
後日。ミラの姿は雑貨屋にあった。
「王女様へのプレゼントの品だからうちの店で一番高い商品を送ればいいと思うのよ」
「でも、高いからいいとも限らないわよ。もっと実用的な物の方がいいんじゃないかしら」
品物を見ながら二人はあれやこれやと話しながらプレゼントを選ぶ。
「こんにちは。あぁ、やっぱりここにいたのね」
「え、あら。ローズ様」
「いらっしゃい。ローズ様今日は何をお求めで?」
お店の扉が開かれ入って来たローズへと二人は振り返り声をかける。
「ベティーが王女へのプレゼントを選ぶって聞いて、わたしが直々にアドバイスしてあげようと思って来たのよ」
「それは助かります。王女様のご友人なら好みを知っていると思いますので」
「そうね。お願いした方がいいと思うわ」
彼女の言葉にベティーがにこりと笑い言うとミラも同意して頷く。
「それで、王女様はどんなものなら喜んでくれるかしら」
「そうね……」
ベティーの言葉にローズが店の中をぐるりと見まわす。
「あ、この手鏡は良いわね。それとこのブラシもセットでお願いするわ。あとは、レースのハンカチなんかも丁度欲しいと思っていたのよね。この白色とピンクをお願い」
「ちょ、ちょっと待って下さい。今日はローズ様の欲しい物じゃなくて王女様の好みそうなものを選んでもらうんですよ」
「そうよ、ローズ様が欲しいもの選んでどうするんですか」
彼女の言葉にミラが待ってと言って慌てて声をかけるとベティーも頷く。
「あ、あ~っと。そう、だったわね。でもわたしと王女は好みが似ているの。だからわたしが選ぶんだから王女もきっと喜ぶと思うわよ」
「なんだ、そう言うこと。分かりました。では先ほど言われた品をプレゼントで送ればいいのね」
たじろぎながらローズが説明するとベティーが納得して微笑む。
「プレゼントも選べたことだしわたしは帰るわね」
「はい。色々と選んで頂き有難う御座います」
彼女の言葉にベティーが笑顔で見送る。
「ミラのお店にもまた顔を出すから」
「えぇ。ご来店お待ちいたしております」
ローズの言葉にミラもにこりと笑いそう言った。
「それじゃあね」
「「……」」
彼女が帰って行くと二人は顔を見合わせる。
「ねえ、最近のローズ様なんか変よね」
「そうよね。王女様のプレゼントなのに、まるで自分のプレゼントを選ぶみたいな感じだったし」
ベティーの言葉にミラも頷く。
「何か秘密があるのよ。もしかしてローズ様は!」
「え?」
彼女が何を言い出すのだろうと身を乗り出して聞き入る。
「王族の隠し子だったりして」
「そんなわけないでしょ」
「そうよね。言ってみただけよ」
次に放たれた言葉にミラは呆れて溜息を吐き出す。ベティー本人も冗談だと言って笑った。
ローズが王女であると知るのはそう遠くない未来なのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる