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ライゼン通りのパン屋さん ~看板娘店長就任!?~
五章 王女様の正体
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夏祭りも終り日常に戻った頃。ミラの姿は王宮にあった。
「はぁ……もう、お父さんたらちゃんと手続きは済ませてある。なんて言っていたくせに、どうして大事な書類の提出を忘れているのよ!」
それは数日前の事、王宮からの遣いだという兵士がやって来て「移住に伴う大事な資料が未提出だから話を聞きに来るように」と言われたのである。
「兎に角ここからどこに向かえばいいのかしら。マルクスももういないし頼れる人が……う~ん。どうしよう」
「ここは立ち入り禁止よ」
王宮の庭でうろうろしていると誰かに声をかけられ驚く。
「ひゃ!? ご、ごめんなさ……って、ローズ様」
叱られると思い慌てて謝ろうとして振り返った先にいたのがローズで安堵する。
「ふふっ。困っているみたいね」
「はい。お父さん達が未提出の書類があると言われて……」
「あ~。そうだったの。それじゃあこっちよ」
令嬢の言葉に答えるとローズがそう言って歩き出す。
ついて行った先は初めて見る建物ばかりで不思議に思う。
「王宮って本当に広いのね。こんなに中まで入る事なんて民間人ではないから珍しいわ」
「今女王は執務室にいるの。だからそこに直接会いに行く方のが手続きが早く済むはずよ」
首を左右に振って物珍しそうに見物するミラへと令嬢が説明しながら歩く。
「さ、着いたわよ」
「こ、これはローズ様。今女王陛下は仕事中の為何方ともお会いになれないそうです。そちらは?」
執務室の前には兵士が立っておりローズの姿を見た途端敬礼する。
「例の案件の件できた子よ」
「あぁ、成る程。承知いたしました」
何故ここに民間人がいるのかと不思議がる兵士へと、令嬢がそれだけ告げると彼が理解して扉を開けた。
「失礼いたします。女王様。ローズ様とライゼン通りのパン屋さんの娘が到着致しました」
「入りなさい」
兵士の言葉に奥から凛とした声が返って来る。
「入るわよ」
「し、失礼いたします」
ローズが何のためらいもなく部屋へと入って行ってしまうので、慌ててミラも畏縮しながら低い姿勢で入った。
「貴女がライゼン通りのパン屋の娘……ミラさんですね」
「は、はい。私がミラです」
仕事をしていたのか机の上には大量の紙が置かれており羽ペンを置いた女王がにこりと笑いミラを見る。
「ふふっ。可愛らしいお嬢さんね。ローズと仲良くしてくださりどうも有難う」
「い、いいえ。こちらこそいつもご贔屓くださっており大変ありがたく?」
女王の前で緊張して答えていた彼女だが今聞いた話の内容がおかしくなかったかと思い言葉を止めた。
「あの、不躾なご質問ですが、今女王様はローズ様と仲良くっておっしゃいましたよね。如何して女王様がローズ様の事をそんなに気にかけるのですか?」
「あら、あら。ふふふっ。ローズ、貴女やっぱり何も話していなかったのね」
「……」
疑問を抱いたミラの言葉に、女王がおかしそうに笑い、ローズは黙ったまま冷や汗をかく。
「わたくしから話してもいいのかしら?」
「はぁ……分かったわよ。ミラ、驚かないで聞いて頂戴ね」
「?」
にこにこと笑う女王の言葉に令嬢が盛大に溜息を吐き出すと姿勢を正しミラへと向きやった。
「あのね。ですから、その。わたしは……わたしはこの国の第一王女、アンジェラ・ロイヤルリッフィ・コゥディル」
「はい? …………はいぃぃっ!?」
意を決して名乗ったローズ……王女の言葉に彼女は部屋中に響き渡るほどの大声で驚く。
「わたしの正体を知ったら騒ぎになると思って黙っていたの。ミラ、驚かせてごめんなさいね」
「い、いいえ。驚きはしましたが、これで疑問が解決しました。家の店にお忍びで来ていた王女様がローズ様で、それでローズ様の正体を知っている人が王女様がお忍びでパン屋に買い物に行っているという話をして、それが噂となりうちに王女様が来ているらしいという話になった、という事よね」
困った顔で話す王女の言葉にミラは未だに目を丸めながら心臓へと手を当て話す。
「ミラ、わたしが王女だって分かっても変わらないお付き合いをしてくれるかしら」
「勿論です。言ったでしょう例え王女様だろうとわたしは普通に接するって」
「ふふっ。有り難う」
不安そうなローズへと彼女はにこりと笑い答える。それを聞いた王女が嬉しそうに頬を赤らめお礼を述べた。
「それでは、ミラさん。今日は帰ってもらって大丈夫ですよ」
「え、あの。未提出の書類の件は?」
女王の言葉にミラは驚いて尋ねる。
「それは貴女をここへ呼ぶ口実です。ローズと仲良くして下さるお友達がどの様な方なのか興味がありましてね。わたくしも会ってみたいと思いましたの」
「は、はぁ……」
終始にこやかな女王の言葉に彼女は呆けた声を零す。
こうしてローズが王女様だという事実を知って衝撃を受けたミラであった。
「はぁ……もう、お父さんたらちゃんと手続きは済ませてある。なんて言っていたくせに、どうして大事な書類の提出を忘れているのよ!」
それは数日前の事、王宮からの遣いだという兵士がやって来て「移住に伴う大事な資料が未提出だから話を聞きに来るように」と言われたのである。
「兎に角ここからどこに向かえばいいのかしら。マルクスももういないし頼れる人が……う~ん。どうしよう」
「ここは立ち入り禁止よ」
王宮の庭でうろうろしていると誰かに声をかけられ驚く。
「ひゃ!? ご、ごめんなさ……って、ローズ様」
叱られると思い慌てて謝ろうとして振り返った先にいたのがローズで安堵する。
「ふふっ。困っているみたいね」
「はい。お父さん達が未提出の書類があると言われて……」
「あ~。そうだったの。それじゃあこっちよ」
令嬢の言葉に答えるとローズがそう言って歩き出す。
ついて行った先は初めて見る建物ばかりで不思議に思う。
「王宮って本当に広いのね。こんなに中まで入る事なんて民間人ではないから珍しいわ」
「今女王は執務室にいるの。だからそこに直接会いに行く方のが手続きが早く済むはずよ」
首を左右に振って物珍しそうに見物するミラへと令嬢が説明しながら歩く。
「さ、着いたわよ」
「こ、これはローズ様。今女王陛下は仕事中の為何方ともお会いになれないそうです。そちらは?」
執務室の前には兵士が立っておりローズの姿を見た途端敬礼する。
「例の案件の件できた子よ」
「あぁ、成る程。承知いたしました」
何故ここに民間人がいるのかと不思議がる兵士へと、令嬢がそれだけ告げると彼が理解して扉を開けた。
「失礼いたします。女王様。ローズ様とライゼン通りのパン屋さんの娘が到着致しました」
「入りなさい」
兵士の言葉に奥から凛とした声が返って来る。
「入るわよ」
「し、失礼いたします」
ローズが何のためらいもなく部屋へと入って行ってしまうので、慌ててミラも畏縮しながら低い姿勢で入った。
「貴女がライゼン通りのパン屋の娘……ミラさんですね」
「は、はい。私がミラです」
仕事をしていたのか机の上には大量の紙が置かれており羽ペンを置いた女王がにこりと笑いミラを見る。
「ふふっ。可愛らしいお嬢さんね。ローズと仲良くしてくださりどうも有難う」
「い、いいえ。こちらこそいつもご贔屓くださっており大変ありがたく?」
女王の前で緊張して答えていた彼女だが今聞いた話の内容がおかしくなかったかと思い言葉を止めた。
「あの、不躾なご質問ですが、今女王様はローズ様と仲良くっておっしゃいましたよね。如何して女王様がローズ様の事をそんなに気にかけるのですか?」
「あら、あら。ふふふっ。ローズ、貴女やっぱり何も話していなかったのね」
「……」
疑問を抱いたミラの言葉に、女王がおかしそうに笑い、ローズは黙ったまま冷や汗をかく。
「わたくしから話してもいいのかしら?」
「はぁ……分かったわよ。ミラ、驚かないで聞いて頂戴ね」
「?」
にこにこと笑う女王の言葉に令嬢が盛大に溜息を吐き出すと姿勢を正しミラへと向きやった。
「あのね。ですから、その。わたしは……わたしはこの国の第一王女、アンジェラ・ロイヤルリッフィ・コゥディル」
「はい? …………はいぃぃっ!?」
意を決して名乗ったローズ……王女の言葉に彼女は部屋中に響き渡るほどの大声で驚く。
「わたしの正体を知ったら騒ぎになると思って黙っていたの。ミラ、驚かせてごめんなさいね」
「い、いいえ。驚きはしましたが、これで疑問が解決しました。家の店にお忍びで来ていた王女様がローズ様で、それでローズ様の正体を知っている人が王女様がお忍びでパン屋に買い物に行っているという話をして、それが噂となりうちに王女様が来ているらしいという話になった、という事よね」
困った顔で話す王女の言葉にミラは未だに目を丸めながら心臓へと手を当て話す。
「ミラ、わたしが王女だって分かっても変わらないお付き合いをしてくれるかしら」
「勿論です。言ったでしょう例え王女様だろうとわたしは普通に接するって」
「ふふっ。有り難う」
不安そうなローズへと彼女はにこりと笑い答える。それを聞いた王女が嬉しそうに頬を赤らめお礼を述べた。
「それでは、ミラさん。今日は帰ってもらって大丈夫ですよ」
「え、あの。未提出の書類の件は?」
女王の言葉にミラは驚いて尋ねる。
「それは貴女をここへ呼ぶ口実です。ローズと仲良くして下さるお友達がどの様な方なのか興味がありましてね。わたくしも会ってみたいと思いましたの」
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