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第十二章 異世界から来た賢者
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神子達は遂に地図が示す邪神がいる北の地へと到着する。
「この地に来てからというもの荒魂や悪鬼に魔物との戦いが多くなったな」
「それだけ相手も必死に神子様の事を殺そうとしているという事か……」
伸介が言うように邪神の下へと近づくにつれて敵との遭遇が頻繁に起こるようになって、気を緩める時がないほど戦いの連続となっていた。
その様子に亜人が考え深げに話すとまだ見ぬ邪神へと睨み付けるように遠くを見据える。
「こんなんじゃうかつに夜も眠れやしないね。でも神子様達はゆっくり眠って大丈夫だからね」
「私のことは心配いらないわよ。それよりも信乃顔色が悪いみたいだけど大丈夫?」
弥三郎の言葉にレインが問題ないと言って答えると前を歩く信乃へと心配そうに声をかけた。
「……皆に認めてもらえたあの日から私のこの右の目の力を開放したの。だから今までよりも強く悪い存在がはっきり見えるようになって、その禍々しい力を感じるようになってそれでかな。あ、で、でも怖くなんかないの。昔はこの目に映るものが怖くて仕方なかった。だけど今はこの目が皆を助けるために必要なんだって思ったら、皆を守れるのは私なんだから怯えていちゃいけないって……そう思えるようになったの」
「信乃の右目に宿る力は信乃自信を守り、そして神子さん達も守ることができる。千里眼であり心眼である。それこそが信乃の右目に宿る力の正体だ」
「信乃の目に映るものすべてが真実の姿として映し出される。だから良きものは良きものとして悪しきものは悪しきものとして映し出されるんだ」
信乃が大丈夫だと柔らかく笑うことで答えると説明する。不思議そうな顔をする神子達へと紅葉と蒼が口々に話して教えた。
「だからね、遠くにいる悪いのも見えてるから、それがこっちにこないように結界を張って遠ざけてるの。それでちょっと疲れが出てるだけだから心配しないで」
「疲れが出るほど僕達のために一人静かに戦っていたという事ですか。それはいけません。すぐに休憩しましょう。ずっと能力を使いっぱなしではそのうち信乃さんの精神がやられてしまいますよ」
「信乃、俺と蒼が結界を張ってやってるから心配せずお前はゆっくり休め」
彼女の言葉に文彦が驚きすぐに休むようにと注意する。そうだといった感じで紅葉も言った。
「でも、皆の役にたちたいから……」
「皆の役にたちたいのは分かるが、それで信乃がぶっ倒れでもしたらそれこそみんなが心配するだろう。だから休め」
「うん」
皆のためになりたいのだと語る信乃へと彼が少し強い顔をして怒るとそう言って聞かせる。それに彼女は渋々といった感じに頷き、周囲に悪鬼達がいないことを確認し休憩することとなった。
「……もう直ぐ邪神のいる迷いの森に辿り着くんですよね」
「この地図の通りならそうなるな。神子様、怖気づいたか?」
神子が俯き呟いた言葉に隼人がまさかここまで着て怖気づいたのかと尋ねる。
「いいえ、ここまで着て怖気づくなんてそんなことはありません。でも、紅葉さんや蒼さんそれに信乃さんが結界を張ってくれているにもかかわらずこうして戦闘が続いているとなると、いざ邪神の下へたどり着いた時に本領を発揮できなかったらどうしようって少し心配で」
「お前、いつの間にか強くなったんだな。いや、変わったんだな。この旅で俺達皆変わったんだ。……心配する暇があるなら少しでも万全をきせるように今は体を休ませておけよ。紅葉や蒼は神様だからな。そんな簡単に霊力が衰えるとは思えないし、大丈夫だろう」
「そうですよ。それに僕の腕輪に宿る神々や精霊の力で皆さんに加護が付与されてます。ですからこんなにたくさんの敵と対峙してきても倒れるほどの疲労感を感じないのです。体力や精神力など目に見えないものが加護の力により強化されているからなのですよ」
それに頭を振って答えると案じている事の内容を伝えた。それを聞いていた伸介が小さく笑って言った言葉に不思議そうにするものだから説明すると大丈夫だと言い聞かせる。
優人もそうだと言って微笑むと腕輪を右手でそっと触れて静かな口調で語った。
「そうですね。皆さんと力を合わせていればきっと大丈夫ですよね」
「ねえ、ねえ。見て見て~。こんな花見つけたんだ」
「私もこんな木の実を見つけたのよ」
「北の地は邪神の影響を受けて枯渇しているから地面は枯れ果てているはずだが?」
神子がふわっと笑い言った時どこかに行っていたケイトとケイコが花束と木の実を両手いっぱいに抱えて戻って来る。その様子に栄人が怪訝そうに首を傾げた。
「あっちの森の中にいっぱい生えていたんだ」
「あっちの森の中に一杯実っていたのよ」
「……どういうことなんだ。この地には植物がもう生えない程の影響が与えられていると言うのに」
「そんじゃさ、そっちに行ってみれば何かわかるかもしれないじゃん。もしこれが幻でもなんでもなく毒でもなく本当に食べられるものなら、そこには何かがあるのかもしれないしよ」
二人の言葉にアシュベルも眉をしかめて呟く。それに喜一が真相を確かめに行けば早いだろうとばかりに言うと腰をあげて一人先になって歩いていってしまう。
「待て、一人で行っては危険かもしれない」
「ケイト、ケイコ案内お願いできるかな」
栄人がその背中へと向けて静止の声をかけると真人がそう言って頼む。
「おっまかせ~」
「こちだよ!」
ケイトとケイコがほぼ同時に声をあげると二人の後について森があるという方向へと向かっていった。
「本当にここだけ草や木が生えてる……」
「邪悪な気配は感じないが、これが罠という可能性もありえなくはない。神子様オレ達の側から離れずについてきてください」
驚いて目をぱちくりする神子へと亜人がそう言って彼女の側へと駆け寄り身を守る様について歩く。
しばらく歩いていると前方に巨大な廃屋が見えてきた。
「この建物はとても大きいですね」
「ここはかつて瑠璃王国の姫アオイが友のために作った時の神殿へとつながる小屋だよ」
「誰だ」
巨大な廃屋を眺め神子が呟いた時誰かの声がかけられる。それに警戒し伸介が鋭い声をあげた。
「邪神が目覚めた事によりこの小屋は壊されてしまったから今は使えないけど、でもここが機能しないからといってこの森の奥にある時の神殿に影響はないんだけどね」
「聞こえなかったか、お前は誰だって聞いたんだ」
微かに微笑み語る少年のように見える少女へと彼が再度声をかける。しかし皆いつでも戦えるように武器へと手をかけている状態だ。
「そう警戒しなくていいよ。僕は君達の敵ではない。信託を受けし神子、君に力を貸しに来た」
「え?」
まつ毛すら動かすことなく無表情で淡々とした口調で話した人物の言葉に神子は不思議そうに声を漏らす。
「僕は刹那。この星よりはるか遠くの地より来た者。……君達の間では賢者と呼ばれている」
「賢者って……あの伝説の賢者のことか?」
「ではあなたが斗真さんが言っていた……」
刹那と名乗った人物の言葉に隼人が驚き目を見開くと神子も驚愕した顔で尋ねる。
「そう、瑠璃王国の再建後およそ100年に渡りその地を見守り続けた時の神殿に住む精霊。それが僕のことさ。……信託の神子と白銀の聖女と光の女神と腕輪を受け継ぎし者君達が出会い邪神の下へと向かう時、僕もこの地へと再びやって着た。君達を助けるためにね」
「そういうことでしたか。神子様、賢者様が力を貸してくださるため自らの意志で僕達の前に現れてくれたようですよ。これで邪神の倒し方が分かりますね」
「賢者様にあったら聞きたいと思っていたことがあります。この破魔の矢で射貫くことは本当にできないのでしょうか」
彼女の言葉に優人がふっと微笑み神子を見ると話す。彼女は小さく頷くと以前蒼から聞いたことが本当なのかと問うた。
「その破魔矢はかつて瑠璃王国の姫アオイと腕輪を持ちし麗奈の力によって邪神を射貫いたもの。しかし何百年もの間邪神の力を吸い込んで破魔矢としての能力が失われた。だからその矢でただ射貫くだけでは奴は倒せない」
「それではどうすればよろしいのですか?」
刹那の説明を聞いて困った顔になった神子が更に質問する。
「簡単さ。信託を受けし神子と白銀の聖女と光の女神と腕輪を受け継ぎし者、君達の力を一つにまとめ光り輝く矢を出現させそれで邪神の心臓を射貫けばいい」
「力を一つにまとめるって……そんな事どうやって」
彼女の言葉に弥三郎が怪訝そうに尋ねた。
「今話したところで君達が理解できるとは思えない。その時が来たらおのずとやれるようになるから、そんな事よりこの森だけが何で奴の影響から免れたか知りたいんでしょ」
「どうしてそれを?」
彼の質問には答えずに刹那がそう話す。その言葉に信乃が驚き目を見開く。
「君達の事を少し前から見ていたからね。で、声をかけるタイミングを見計らっていたのさ。さて、この森がこんなに緑豊かなのはなぜかだけど、この森の反対側にはかつて瑠璃王国があった。その近くの森という事はこの森こそ時の神殿へとつながる場所。時の神殿は精霊の力で守られているためこの辺一帯は見えない結界がはられている。つまり邪神の力の影響を受けない唯一の土地ということさ」
「なるほど、だからここだけ自然豊かだったわけか」
少し前から見ていたと話しこの森の存在が何なのかを教えた彼女の言葉に納得した喜一が頷いた。
「この森の中にいる間は邪神も手出しできないし、奴がこちらの様子を知ることもできやしない。言いたいことは分かるね」
「つまりここでなら邪神に聞かれたくない話しができるって事だね」
にやりと笑い話した刹那へと真人が理解した顔で言う。
「そういうこと。君達は大分疲れているみたいだからね、ここでゆっくり休んで英気を養った方がいい。そして邪神がいる迷いの森の奥地へと向かう」
「この地図に示されている場所を目指すんですね」
彼女の言葉に文彦が言うと刹那は小さく首を横に振る。
「いや、地図に記されている場所にただ向かうだけでは意味がない。あそこは迷いの森だ、一度迷えば一生彷徨い続ける事となる。だから僕の後についてきて、邪神を封印した場所に確実に連れていくから」
「たしかに刹那のいう通りかもしれないな。ただ迷いの森の中を歩いていても邪神の下へは辿り着けないだろう。彷徨っている間に奴が荒魂や悪鬼や魔物を使ってこちらへと攻め込んできたら力尽きてしまう可能性は大いにありえるからな」
彼女の説明を聞いて栄人もそのとおりだなといった顔をして同意した。
刹那について森の奥へと向かうとそこには巨大な神殿が姿を現す。かつての技術力で作られたと思われるが昔の人が造り上げたにしては今の江渡の時代でも見た事のない作り方で建てられており、一同驚きと興奮でしばし観察する。
まるで時が止まってしまっているかのように当時のまま変わらぬ姿で佇む神殿の姿を神子達は呆けた顔で見上げ続けた。
「さ、中に入って」
口をあんぐりと開けたままの彼等へと刹那が声をかけるも神子達は気付かず呆けた顔のまま突っ立っている。
「これが時の神殿……」
「すげ~。こんな建物今まで見た事ねえ」
「こんな凄い建物を当時の人々は造り上げたというのか?」
神子が呟くと伸介と喜一も驚きをそのまま声に出して独り言を漏らす。
「この神殿は僕がこうやってつくるようにと指示を出して造ってもらったものだからね。この世界の技術ではない技で造られている。だから見た事ないのも当然だよ」
「刹那さんは本当にこの世界の外より来たお人なのですね」
そんな彼等の呟きに答えるように彼女が話すと文彦が改めて刹那がこの世界の外より来た賢者であると認識する。
「私は知ってるよ。これイギリス辺りの神殿と作りが似てるから」
「あっちの技術力とほぼ同じレベルで造られてるみたいだからな」
信乃が知ってるとばかりに話すと紅葉もそう言って笑った。
「君達は近未来の日本で生活していたからね。さ、もういいでしょ。中へと入るよ」
刹那が再度声をかけると皆足を動かし神殿の中へと向かう。
中へと入ると会議室のような感じの部屋へと連れて行かれ、そこに座ってこれからのことについて話すこととなった。
「邪神は今持ちえる力の限りを使い神子の旅を妨害し殺めようとしている。それが叶わなかった時は自分の下へとやって着た神子を殺しその魂を食らうつもりだ」
「でも、そんなことは絶対にさせやしない。俺達が必ず邪神を討ち滅ぼす。そうなんだろ」
皆が座ったのを確認し口を開いた刹那の言葉に伸介が真っ先に話す。
「そう、だからこそちゃんとした作戦を考えないといけない。邪神は君達が何も知らずにやって来ると思っている。だからその隙をついて奴は神子や君達を殺すつもりなんだ。でもこちらは邪神の陰謀に気付いている。だから身構えていくわけだ。でもそれだと邪神はこちらが自分の存在について気付いてると知り警戒する。言いたいことは分かるね」
「つまり邪神の陰謀がバレている事に気付いていないふりをして奴に隙を与えるという事だな。こちらが身構え過ぎていれば邪神は持ちえる限りの勢いで襲い掛かってくる可能性があるから」
彼女の話に真人が理解しているといった感じで語った。
「その通り。こちらが身構えて行けば奴は隙を作ることなくいきなり襲い掛かってくるはず。こちらが有利に戦えるようにするには奴が襲い掛かってくる前に先手を打つ必要がある」
「つまり先制攻撃って事だね」
刹那の言葉にレインが口を開く。それに彼女がこりと笑い頷く。
「それで、これが一番大事なんだけど、君達が行う作戦は……」
『……』
真剣な顔で話す刹那の次の言葉を皆固唾を飲み見守る。
「……特に何も考えず自然体で相手と対峙する事」
「はぁ? なんだそりゃ。そんなのが作戦なのか」
しかし次に口にされた作戦内容に拍子抜けした顔でアシュベルが尋ねた。
「頭を使った戦術や練り固めた作戦で奴を簡単に倒せるならとっくに倒せているさ。それより重要なのは君達が普段から出している実力でそのまま挑めるかどうかだ。力みすぎても焦りすぎても相手を倒す事なんかできやしないからね」
「なるほど。つまり私達が奴に勝てるかどうかは普段の実力を出せるかどうかにかかっているという事だな」
「警戒しすぎても相手に感づかれては全ての計画が水の泡になる。だからこそあえて簡単明確な作戦で挑むという事か」
刹那の言葉に納得して隼人が頷く。亜人もなるほどといった感じで話した。
「君達全員の絆の力、そして揺るぎない信頼関係があれば必ず邪神を打倒せる。だから不安がる必要はない。君達ならできる。だから大丈夫だ」
彼女が言うとふわりと笑う。その励ましの言葉に緊張していた皆の心が緩み、本当に自分達なら大丈夫だと思えるようになった様子で今まで硬かった表情に笑顔が浮かんだ。
「何かわからない事があれば何でも聞いて。僕が知りえる邪神についての情報を提供するから」
「流石は賢者様。とても心強い仲間ができましたね」
刹那がその言葉で締めると優人が微笑み神子へと話す。
「ねえねえ、ボクこの神殿の中を探検したい」
「私も。久々にこの中を見て見たいな」
すると今まで空気を読み黙って話を聞いていたケイトとケイコが口を開いた。
「いいけど、勝手に魔法陣を発動させたり、変な所に入り込んだり、書棚の本をぶちまけたりとかしないでね」
「し、しないよ。あの頃のボク達とは違って成長してるんだから」
「そ、そうよ。ワタシ達もう何千年も生き続けてる立派な大人なのよ。そんなことしないわよ」
そんな二人へと彼女が溜息交じりに注意する。ケイトとケイコが抗議するように話すが何やら挙動不審である。
「じゃあ何で目が泳いでるのかな」
「「ゔっ」」
それに気づいている刹那がジト目で二人を見やり尋ねるように言うとケイトとケイコは声を詰まらせた。
「……後始末が大変なんだから、変な事はしないでね」
「「気を付けま~す」」
溜息を吐き出しそう言った彼女へと二人が慌てて返事をする。
「あのケイトとケイコをここまで制御できるなんて」
「ぼくの言うことを聞くようになったのにも時間がかかったと言うのに。流石は賢者様」
「僕達の知らない過去に何があったのでしょうかね。まあ、何があったとしても賢者様と二人の関係は目に見えてわかりますが」
栄人が驚き呟く横で真人も同じような顔をしながら刹那を讃嘆する。優人が独り言を零すと苦笑した。
こうして賢者として称えられ伝説の人物として後の世まで語り継がれていた刹那が仲間に加わりいよいよ邪神の下へと向かうこととなる。
刹那は邪神の真の倒し方も知っている様子だが、そのことについて今は口に出しては決して語らなかった。神子達はそれがなぜかは分からなかったがこれ以上のことは聞けず、とにかく今は疲れ果てた体と心を休ませるために時の神殿で眠りにつく。
「……さあ、この長く続いた物語の本当の結末を皆で迎えよう。……君達なら大丈夫さ。あのころと違ってとても強くなったし、力をつけてきたのだから。そして世界を護る神々や精霊達に愛されてその加護を一身に受けて育ってきたのだからね」
皆が寝静まった夜更けに一人だけ起きている刹那はそっと微笑み空に浮かぶ不気味なほどに赤い月を眺めながら独り言を話す。
「アオイ達との約束だからね。神子達の事は僕に任せて、必ずや守り抜いてみせるから。そして、この長く続いた聖女伝説を本当の意味での聖女伝説へと変えよう」
そう呟くと胸元に揺れる緑の石へと手を伸ばし祈りを捧げる。するとこの地を守るかのようにきらめきが広がり見えない力が包み込む。
「邪神……君の下にもこの力が伝わっているだろう。神子達に逃げ場がないように君にも逃げ場なんかどこにもない。常に僕が目を光らせていることを知るといい。君の思惑通りになんかさせやしないからね」
にやりと笑うとどこかを見据えて独り言を呟く。100年前から続いた邪神と瑠璃王国の姫との因果関係の決着がようや終結する。その日は刻一刻と迫っていた。
「この地に来てからというもの荒魂や悪鬼に魔物との戦いが多くなったな」
「それだけ相手も必死に神子様の事を殺そうとしているという事か……」
伸介が言うように邪神の下へと近づくにつれて敵との遭遇が頻繁に起こるようになって、気を緩める時がないほど戦いの連続となっていた。
その様子に亜人が考え深げに話すとまだ見ぬ邪神へと睨み付けるように遠くを見据える。
「こんなんじゃうかつに夜も眠れやしないね。でも神子様達はゆっくり眠って大丈夫だからね」
「私のことは心配いらないわよ。それよりも信乃顔色が悪いみたいだけど大丈夫?」
弥三郎の言葉にレインが問題ないと言って答えると前を歩く信乃へと心配そうに声をかけた。
「……皆に認めてもらえたあの日から私のこの右の目の力を開放したの。だから今までよりも強く悪い存在がはっきり見えるようになって、その禍々しい力を感じるようになってそれでかな。あ、で、でも怖くなんかないの。昔はこの目に映るものが怖くて仕方なかった。だけど今はこの目が皆を助けるために必要なんだって思ったら、皆を守れるのは私なんだから怯えていちゃいけないって……そう思えるようになったの」
「信乃の右目に宿る力は信乃自信を守り、そして神子さん達も守ることができる。千里眼であり心眼である。それこそが信乃の右目に宿る力の正体だ」
「信乃の目に映るものすべてが真実の姿として映し出される。だから良きものは良きものとして悪しきものは悪しきものとして映し出されるんだ」
信乃が大丈夫だと柔らかく笑うことで答えると説明する。不思議そうな顔をする神子達へと紅葉と蒼が口々に話して教えた。
「だからね、遠くにいる悪いのも見えてるから、それがこっちにこないように結界を張って遠ざけてるの。それでちょっと疲れが出てるだけだから心配しないで」
「疲れが出るほど僕達のために一人静かに戦っていたという事ですか。それはいけません。すぐに休憩しましょう。ずっと能力を使いっぱなしではそのうち信乃さんの精神がやられてしまいますよ」
「信乃、俺と蒼が結界を張ってやってるから心配せずお前はゆっくり休め」
彼女の言葉に文彦が驚きすぐに休むようにと注意する。そうだといった感じで紅葉も言った。
「でも、皆の役にたちたいから……」
「皆の役にたちたいのは分かるが、それで信乃がぶっ倒れでもしたらそれこそみんなが心配するだろう。だから休め」
「うん」
皆のためになりたいのだと語る信乃へと彼が少し強い顔をして怒るとそう言って聞かせる。それに彼女は渋々といった感じに頷き、周囲に悪鬼達がいないことを確認し休憩することとなった。
「……もう直ぐ邪神のいる迷いの森に辿り着くんですよね」
「この地図の通りならそうなるな。神子様、怖気づいたか?」
神子が俯き呟いた言葉に隼人がまさかここまで着て怖気づいたのかと尋ねる。
「いいえ、ここまで着て怖気づくなんてそんなことはありません。でも、紅葉さんや蒼さんそれに信乃さんが結界を張ってくれているにもかかわらずこうして戦闘が続いているとなると、いざ邪神の下へたどり着いた時に本領を発揮できなかったらどうしようって少し心配で」
「お前、いつの間にか強くなったんだな。いや、変わったんだな。この旅で俺達皆変わったんだ。……心配する暇があるなら少しでも万全をきせるように今は体を休ませておけよ。紅葉や蒼は神様だからな。そんな簡単に霊力が衰えるとは思えないし、大丈夫だろう」
「そうですよ。それに僕の腕輪に宿る神々や精霊の力で皆さんに加護が付与されてます。ですからこんなにたくさんの敵と対峙してきても倒れるほどの疲労感を感じないのです。体力や精神力など目に見えないものが加護の力により強化されているからなのですよ」
それに頭を振って答えると案じている事の内容を伝えた。それを聞いていた伸介が小さく笑って言った言葉に不思議そうにするものだから説明すると大丈夫だと言い聞かせる。
優人もそうだと言って微笑むと腕輪を右手でそっと触れて静かな口調で語った。
「そうですね。皆さんと力を合わせていればきっと大丈夫ですよね」
「ねえ、ねえ。見て見て~。こんな花見つけたんだ」
「私もこんな木の実を見つけたのよ」
「北の地は邪神の影響を受けて枯渇しているから地面は枯れ果てているはずだが?」
神子がふわっと笑い言った時どこかに行っていたケイトとケイコが花束と木の実を両手いっぱいに抱えて戻って来る。その様子に栄人が怪訝そうに首を傾げた。
「あっちの森の中にいっぱい生えていたんだ」
「あっちの森の中に一杯実っていたのよ」
「……どういうことなんだ。この地には植物がもう生えない程の影響が与えられていると言うのに」
「そんじゃさ、そっちに行ってみれば何かわかるかもしれないじゃん。もしこれが幻でもなんでもなく毒でもなく本当に食べられるものなら、そこには何かがあるのかもしれないしよ」
二人の言葉にアシュベルも眉をしかめて呟く。それに喜一が真相を確かめに行けば早いだろうとばかりに言うと腰をあげて一人先になって歩いていってしまう。
「待て、一人で行っては危険かもしれない」
「ケイト、ケイコ案内お願いできるかな」
栄人がその背中へと向けて静止の声をかけると真人がそう言って頼む。
「おっまかせ~」
「こちだよ!」
ケイトとケイコがほぼ同時に声をあげると二人の後について森があるという方向へと向かっていった。
「本当にここだけ草や木が生えてる……」
「邪悪な気配は感じないが、これが罠という可能性もありえなくはない。神子様オレ達の側から離れずについてきてください」
驚いて目をぱちくりする神子へと亜人がそう言って彼女の側へと駆け寄り身を守る様について歩く。
しばらく歩いていると前方に巨大な廃屋が見えてきた。
「この建物はとても大きいですね」
「ここはかつて瑠璃王国の姫アオイが友のために作った時の神殿へとつながる小屋だよ」
「誰だ」
巨大な廃屋を眺め神子が呟いた時誰かの声がかけられる。それに警戒し伸介が鋭い声をあげた。
「邪神が目覚めた事によりこの小屋は壊されてしまったから今は使えないけど、でもここが機能しないからといってこの森の奥にある時の神殿に影響はないんだけどね」
「聞こえなかったか、お前は誰だって聞いたんだ」
微かに微笑み語る少年のように見える少女へと彼が再度声をかける。しかし皆いつでも戦えるように武器へと手をかけている状態だ。
「そう警戒しなくていいよ。僕は君達の敵ではない。信託を受けし神子、君に力を貸しに来た」
「え?」
まつ毛すら動かすことなく無表情で淡々とした口調で話した人物の言葉に神子は不思議そうに声を漏らす。
「僕は刹那。この星よりはるか遠くの地より来た者。……君達の間では賢者と呼ばれている」
「賢者って……あの伝説の賢者のことか?」
「ではあなたが斗真さんが言っていた……」
刹那と名乗った人物の言葉に隼人が驚き目を見開くと神子も驚愕した顔で尋ねる。
「そう、瑠璃王国の再建後およそ100年に渡りその地を見守り続けた時の神殿に住む精霊。それが僕のことさ。……信託の神子と白銀の聖女と光の女神と腕輪を受け継ぎし者君達が出会い邪神の下へと向かう時、僕もこの地へと再びやって着た。君達を助けるためにね」
「そういうことでしたか。神子様、賢者様が力を貸してくださるため自らの意志で僕達の前に現れてくれたようですよ。これで邪神の倒し方が分かりますね」
「賢者様にあったら聞きたいと思っていたことがあります。この破魔の矢で射貫くことは本当にできないのでしょうか」
彼女の言葉に優人がふっと微笑み神子を見ると話す。彼女は小さく頷くと以前蒼から聞いたことが本当なのかと問うた。
「その破魔矢はかつて瑠璃王国の姫アオイと腕輪を持ちし麗奈の力によって邪神を射貫いたもの。しかし何百年もの間邪神の力を吸い込んで破魔矢としての能力が失われた。だからその矢でただ射貫くだけでは奴は倒せない」
「それではどうすればよろしいのですか?」
刹那の説明を聞いて困った顔になった神子が更に質問する。
「簡単さ。信託を受けし神子と白銀の聖女と光の女神と腕輪を受け継ぎし者、君達の力を一つにまとめ光り輝く矢を出現させそれで邪神の心臓を射貫けばいい」
「力を一つにまとめるって……そんな事どうやって」
彼女の言葉に弥三郎が怪訝そうに尋ねた。
「今話したところで君達が理解できるとは思えない。その時が来たらおのずとやれるようになるから、そんな事よりこの森だけが何で奴の影響から免れたか知りたいんでしょ」
「どうしてそれを?」
彼の質問には答えずに刹那がそう話す。その言葉に信乃が驚き目を見開く。
「君達の事を少し前から見ていたからね。で、声をかけるタイミングを見計らっていたのさ。さて、この森がこんなに緑豊かなのはなぜかだけど、この森の反対側にはかつて瑠璃王国があった。その近くの森という事はこの森こそ時の神殿へとつながる場所。時の神殿は精霊の力で守られているためこの辺一帯は見えない結界がはられている。つまり邪神の力の影響を受けない唯一の土地ということさ」
「なるほど、だからここだけ自然豊かだったわけか」
少し前から見ていたと話しこの森の存在が何なのかを教えた彼女の言葉に納得した喜一が頷いた。
「この森の中にいる間は邪神も手出しできないし、奴がこちらの様子を知ることもできやしない。言いたいことは分かるね」
「つまりここでなら邪神に聞かれたくない話しができるって事だね」
にやりと笑い話した刹那へと真人が理解した顔で言う。
「そういうこと。君達は大分疲れているみたいだからね、ここでゆっくり休んで英気を養った方がいい。そして邪神がいる迷いの森の奥地へと向かう」
「この地図に示されている場所を目指すんですね」
彼女の言葉に文彦が言うと刹那は小さく首を横に振る。
「いや、地図に記されている場所にただ向かうだけでは意味がない。あそこは迷いの森だ、一度迷えば一生彷徨い続ける事となる。だから僕の後についてきて、邪神を封印した場所に確実に連れていくから」
「たしかに刹那のいう通りかもしれないな。ただ迷いの森の中を歩いていても邪神の下へは辿り着けないだろう。彷徨っている間に奴が荒魂や悪鬼や魔物を使ってこちらへと攻め込んできたら力尽きてしまう可能性は大いにありえるからな」
彼女の説明を聞いて栄人もそのとおりだなといった顔をして同意した。
刹那について森の奥へと向かうとそこには巨大な神殿が姿を現す。かつての技術力で作られたと思われるが昔の人が造り上げたにしては今の江渡の時代でも見た事のない作り方で建てられており、一同驚きと興奮でしばし観察する。
まるで時が止まってしまっているかのように当時のまま変わらぬ姿で佇む神殿の姿を神子達は呆けた顔で見上げ続けた。
「さ、中に入って」
口をあんぐりと開けたままの彼等へと刹那が声をかけるも神子達は気付かず呆けた顔のまま突っ立っている。
「これが時の神殿……」
「すげ~。こんな建物今まで見た事ねえ」
「こんな凄い建物を当時の人々は造り上げたというのか?」
神子が呟くと伸介と喜一も驚きをそのまま声に出して独り言を漏らす。
「この神殿は僕がこうやってつくるようにと指示を出して造ってもらったものだからね。この世界の技術ではない技で造られている。だから見た事ないのも当然だよ」
「刹那さんは本当にこの世界の外より来たお人なのですね」
そんな彼等の呟きに答えるように彼女が話すと文彦が改めて刹那がこの世界の外より来た賢者であると認識する。
「私は知ってるよ。これイギリス辺りの神殿と作りが似てるから」
「あっちの技術力とほぼ同じレベルで造られてるみたいだからな」
信乃が知ってるとばかりに話すと紅葉もそう言って笑った。
「君達は近未来の日本で生活していたからね。さ、もういいでしょ。中へと入るよ」
刹那が再度声をかけると皆足を動かし神殿の中へと向かう。
中へと入ると会議室のような感じの部屋へと連れて行かれ、そこに座ってこれからのことについて話すこととなった。
「邪神は今持ちえる力の限りを使い神子の旅を妨害し殺めようとしている。それが叶わなかった時は自分の下へとやって着た神子を殺しその魂を食らうつもりだ」
「でも、そんなことは絶対にさせやしない。俺達が必ず邪神を討ち滅ぼす。そうなんだろ」
皆が座ったのを確認し口を開いた刹那の言葉に伸介が真っ先に話す。
「そう、だからこそちゃんとした作戦を考えないといけない。邪神は君達が何も知らずにやって来ると思っている。だからその隙をついて奴は神子や君達を殺すつもりなんだ。でもこちらは邪神の陰謀に気付いている。だから身構えていくわけだ。でもそれだと邪神はこちらが自分の存在について気付いてると知り警戒する。言いたいことは分かるね」
「つまり邪神の陰謀がバレている事に気付いていないふりをして奴に隙を与えるという事だな。こちらが身構え過ぎていれば邪神は持ちえる限りの勢いで襲い掛かってくる可能性があるから」
彼女の話に真人が理解しているといった感じで語った。
「その通り。こちらが身構えて行けば奴は隙を作ることなくいきなり襲い掛かってくるはず。こちらが有利に戦えるようにするには奴が襲い掛かってくる前に先手を打つ必要がある」
「つまり先制攻撃って事だね」
刹那の言葉にレインが口を開く。それに彼女がこりと笑い頷く。
「それで、これが一番大事なんだけど、君達が行う作戦は……」
『……』
真剣な顔で話す刹那の次の言葉を皆固唾を飲み見守る。
「……特に何も考えず自然体で相手と対峙する事」
「はぁ? なんだそりゃ。そんなのが作戦なのか」
しかし次に口にされた作戦内容に拍子抜けした顔でアシュベルが尋ねた。
「頭を使った戦術や練り固めた作戦で奴を簡単に倒せるならとっくに倒せているさ。それより重要なのは君達が普段から出している実力でそのまま挑めるかどうかだ。力みすぎても焦りすぎても相手を倒す事なんかできやしないからね」
「なるほど。つまり私達が奴に勝てるかどうかは普段の実力を出せるかどうかにかかっているという事だな」
「警戒しすぎても相手に感づかれては全ての計画が水の泡になる。だからこそあえて簡単明確な作戦で挑むという事か」
刹那の言葉に納得して隼人が頷く。亜人もなるほどといった感じで話した。
「君達全員の絆の力、そして揺るぎない信頼関係があれば必ず邪神を打倒せる。だから不安がる必要はない。君達ならできる。だから大丈夫だ」
彼女が言うとふわりと笑う。その励ましの言葉に緊張していた皆の心が緩み、本当に自分達なら大丈夫だと思えるようになった様子で今まで硬かった表情に笑顔が浮かんだ。
「何かわからない事があれば何でも聞いて。僕が知りえる邪神についての情報を提供するから」
「流石は賢者様。とても心強い仲間ができましたね」
刹那がその言葉で締めると優人が微笑み神子へと話す。
「ねえねえ、ボクこの神殿の中を探検したい」
「私も。久々にこの中を見て見たいな」
すると今まで空気を読み黙って話を聞いていたケイトとケイコが口を開いた。
「いいけど、勝手に魔法陣を発動させたり、変な所に入り込んだり、書棚の本をぶちまけたりとかしないでね」
「し、しないよ。あの頃のボク達とは違って成長してるんだから」
「そ、そうよ。ワタシ達もう何千年も生き続けてる立派な大人なのよ。そんなことしないわよ」
そんな二人へと彼女が溜息交じりに注意する。ケイトとケイコが抗議するように話すが何やら挙動不審である。
「じゃあ何で目が泳いでるのかな」
「「ゔっ」」
それに気づいている刹那がジト目で二人を見やり尋ねるように言うとケイトとケイコは声を詰まらせた。
「……後始末が大変なんだから、変な事はしないでね」
「「気を付けま~す」」
溜息を吐き出しそう言った彼女へと二人が慌てて返事をする。
「あのケイトとケイコをここまで制御できるなんて」
「ぼくの言うことを聞くようになったのにも時間がかかったと言うのに。流石は賢者様」
「僕達の知らない過去に何があったのでしょうかね。まあ、何があったとしても賢者様と二人の関係は目に見えてわかりますが」
栄人が驚き呟く横で真人も同じような顔をしながら刹那を讃嘆する。優人が独り言を零すと苦笑した。
こうして賢者として称えられ伝説の人物として後の世まで語り継がれていた刹那が仲間に加わりいよいよ邪神の下へと向かうこととなる。
刹那は邪神の真の倒し方も知っている様子だが、そのことについて今は口に出しては決して語らなかった。神子達はそれがなぜかは分からなかったがこれ以上のことは聞けず、とにかく今は疲れ果てた体と心を休ませるために時の神殿で眠りにつく。
「……さあ、この長く続いた物語の本当の結末を皆で迎えよう。……君達なら大丈夫さ。あのころと違ってとても強くなったし、力をつけてきたのだから。そして世界を護る神々や精霊達に愛されてその加護を一身に受けて育ってきたのだからね」
皆が寝静まった夜更けに一人だけ起きている刹那はそっと微笑み空に浮かぶ不気味なほどに赤い月を眺めながら独り言を話す。
「アオイ達との約束だからね。神子達の事は僕に任せて、必ずや守り抜いてみせるから。そして、この長く続いた聖女伝説を本当の意味での聖女伝説へと変えよう」
そう呟くと胸元に揺れる緑の石へと手を伸ばし祈りを捧げる。するとこの地を守るかのようにきらめきが広がり見えない力が包み込む。
「邪神……君の下にもこの力が伝わっているだろう。神子達に逃げ場がないように君にも逃げ場なんかどこにもない。常に僕が目を光らせていることを知るといい。君の思惑通りになんかさせやしないからね」
にやりと笑うとどこかを見据えて独り言を呟く。100年前から続いた邪神と瑠璃王国の姫との因果関係の決着がようや終結する。その日は刻一刻と迫っていた。
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