77 / 124
ライゼン通りのお針子さん5 ~店長就任以来の危機? 波乱を呼ぶ手紙~
九章 ミュゥからの招待状
しおりを挟む
夏祭りが近付いたある日の午後。お店の扉が開かれお客が入って来る。
「こんにちは、アイリスさん。お願があります」
「え? あ、ミュゥさん。凄く言葉が上手だったので違うお客様かと思いました」
とても綺麗な発音で話して来たミュゥリアムに驚いてしまう。
「私もこの国に来て五年になりますから、こちらの言葉覚えました」
「ふふ。片言で話していた頃が懐かしいですね」
にこりと笑い彼女が言うとアイリスも微笑む。
「それで、夏祭りで踊りを披露しますのでその時に着る衣装をお願いしたいです」
「分かりました」
「夏祭りの前ですので一週間後くらいにはお願いします」
「一週間後ですね。畏まりました」
やり取りを終えるとミュゥリアムはにこりと微笑みアイリスを見た。
「アイリスさんがどの様な衣装作るのかとても楽しみにしています。私アイリスさんの作る服大好きです。貴女と出会えて本当に良かったです」
「私もこの街に来たばかりの頃で不安で一杯だった時にミュゥさんと出会えてとても仲良くなってこの街で知り合いが出来てとても嬉しかったです。ミュゥさんがこの国を出て行ってしまうってなった時はとても悲しくて寂しくて。でも戻って来てくれて本当に嬉しかったです。これからもよろしくお願いします」
彼女の言葉にアイリスも微笑み答える。
「それでは、よろしくお願いします」
「さて、っとイクトさんが戻ってきたら作業部屋で作製開始ね」
ミュゥリアムが言うとお店を出ていく。アイリスは注文票に記入しながら店番へと戻る。
「ただいま。アイリス店番有難う。代わるよ」
「イクトさんお帰りなさい。一杯注文を受けたのでこれから作業部屋にこもりますね」
「うん。手伝いが必要だったら何時でも言ってくれ」
「はい」
商人の下に受注に行っていたイクトが戻って来るとアイリスは作業部屋へと向かった。
「さてと、まずはミュゥさんの衣装よね。今回はどんな感じにしようかな」
デッサン画を書きあげながらアイリスは踊り子の服をイメージする。
「よし、上はベアトップに胸元にビーズを散りばめて、スカートは踝の高さのマーメード・スカートで銀色のチェーンベルトと飾りに腰までの高さのチェーンや紐のアクセサリーを一杯つけて、紐の部分には羽やビーズを付けよう。透けるように薄いレース生地でアーム・ロングを作ってっと……こんな感じかな」
出来上がったデッサン画を見詰めながら生地や糸を選びに行く。
「今回はシルクのような肌触りでだけどしっかりとした生地のシルバーのフェアリークルクの布と銀色のドラゴテールの絹糸でっと」
素材の山から適した布と糸を取り出すと早速型紙にあてて裁断を始める。
「ここにアクセサリーを付けってっと……出来た」
「お疲れ様。アイリス少し休憩したらどうかな」
黙々と作業を続けようやくミュゥリアムの衣装が出来上がった時イクトの声が聞こえて来た。
「あ、イクトさん。見て下さい。ミュゥさんの衣装が出来上がりました」
「うん。これはまた見た事ない組み合わせだな」
マグカップとケーキの入った盆を目の前に置かれながらアイリスは話す。トルソーにかけられた服を見ながら彼が感想を述べた。
「この衣装を着て踊るミュゥさんの姿が目に浮かぶよ」
「私も作りながらミュゥさんの踊っている姿をイメージしていたんです。ふふ。気にいって貰えると嬉しいな」
イクトの言葉に彼女も小さく笑いながら話す。
「さて、休憩したらまた頑張らないとね」
「あんまり根を詰めすぎないようにね。俺も手伝うから」
「大丈夫です。今日受けた分の量なら一週間もあれば出来てしまうので」
紅茶を一口飲みながら話すアイリスへと彼が優しく言う。その言葉に彼女は笑顔で答えた。
「アイリスが大丈夫って言うのなら任せるけれど、でももう少し頼ってくれてもいいんだよ」
「騎士団や冒険者の服百着作る……みたいな時はお願いしますが、それ以外の時は私一人でやってみたいんです。私がどこまでやれるのか限界を知りたいのです」
「そうか。それなら俺は見守るけれど、でも無理はしないようにね」
「はい」
話ながら休憩を終えるとアイリスは仕立てに戻りイクトは店番をする。
そうして一週間後ミュゥリアムが店に来た。
「こんにちは、アイリスさん。頼んでいた衣装を頂きに来ました」
「はい。こちらになります」
彼女の言葉に籠を持って行って見せる。
「お~。やっぱりアイリスさんに頼んで良かったです。これ頂きます。そうだ、夏祭りの時に舞台で踊るので是非イクトさんと二人で見に来てください」
「これって舞台のチケット?」
「はい。あまりに人気で今年からチケット制になったそうです。私の友人達に配りたいと言ったら少し貰えたのです。是非見に来てくださいね」
「分かりました。イクトさんと二人で見に行きます」
招待状を貰ったアイリスはにこりと笑うと了承した。
夏祭りの日ミュゥリアムから貰ったチケットを持ちイクトと二人で舞台を見に行く。
「凄い人……人気だって言っていたけれどこんなにも人が多いだなんて」
「ミュゥさんのファンが大勢いるんだろうね」
「ミュゥさんの踊り素敵ですからね」
会場に行くと人混みの多さに驚く。イクトの言葉に納得して頷く。
「さ、中へ入ろう」
「はい」
チケットを用意して舞台の入口へと向かう。中へ入るとそこもまた人で埋め尽くされていて舞台が良く見える席は殆ど空いていなかった。
「端っこの方しか空いてなさそうだね」
「アイリスさん、イクトさん。こっちです」
「あれ、シュテナ様それにジョン様も」
周りを見回しイクトが言った時誰かの声がしてそちらを見やるとシュテリーナとジョルジュが椅子に座っていた。
「ミュゥさんの踊りを見に来たんですよね。良い席確保しておきました」
「こちらで一緒に見ましょう」
にこりと笑いシュテリーナとジョルジュが言う。
「それはわざわざ有難う御座います」
「それではお言葉に甘えて失礼します」
アイリスとイクトがそれぞれ答え彼等が確保してくれていた席へと座る。
「ここからなら舞台が一望できます」
「本当だ。良く見える」
王子の言葉にイクトも前を見やり頷く。
「あ、始まるみたいですよ」
「今宵はお集まりいただき誠に有難う御座います。お待たせいたしました。この国一の踊り子ミュゥリアムさんによるダンスを披露して頂きます。皆様拍手」
司会者の言葉に従い会場中から大きな拍手が巻き起こると舞台袖からミュゥリアムが現れ真ん中まで歩いてくると立ち止まった。
「皆さんこんばんは。今日は来てくださり有り難う御座います。私の踊りで楽しんでいって下さい」
彼女の言葉に会場中から温かな拍手や口笛が巻き起こる。
そうして静まり返ったタイミングでミュゥリアムが踊り出す。その魅惑的で妖艶なダンスに会場中が虜になった。
舞い終えた彼女の姿と一瞬の静寂の後に巻き起こる拍手喝采。
「有難う御座いました。以上ミュゥリアムさんによるダンスでした」
司会者の声を聞きながらアイリスはミュゥリアムに届けと言わんばかりに立ち上がって拍手を送る。
こうして夏祭りの夜は更けていった。
「こんにちは、アイリスさん。お願があります」
「え? あ、ミュゥさん。凄く言葉が上手だったので違うお客様かと思いました」
とても綺麗な発音で話して来たミュゥリアムに驚いてしまう。
「私もこの国に来て五年になりますから、こちらの言葉覚えました」
「ふふ。片言で話していた頃が懐かしいですね」
にこりと笑い彼女が言うとアイリスも微笑む。
「それで、夏祭りで踊りを披露しますのでその時に着る衣装をお願いしたいです」
「分かりました」
「夏祭りの前ですので一週間後くらいにはお願いします」
「一週間後ですね。畏まりました」
やり取りを終えるとミュゥリアムはにこりと微笑みアイリスを見た。
「アイリスさんがどの様な衣装作るのかとても楽しみにしています。私アイリスさんの作る服大好きです。貴女と出会えて本当に良かったです」
「私もこの街に来たばかりの頃で不安で一杯だった時にミュゥさんと出会えてとても仲良くなってこの街で知り合いが出来てとても嬉しかったです。ミュゥさんがこの国を出て行ってしまうってなった時はとても悲しくて寂しくて。でも戻って来てくれて本当に嬉しかったです。これからもよろしくお願いします」
彼女の言葉にアイリスも微笑み答える。
「それでは、よろしくお願いします」
「さて、っとイクトさんが戻ってきたら作業部屋で作製開始ね」
ミュゥリアムが言うとお店を出ていく。アイリスは注文票に記入しながら店番へと戻る。
「ただいま。アイリス店番有難う。代わるよ」
「イクトさんお帰りなさい。一杯注文を受けたのでこれから作業部屋にこもりますね」
「うん。手伝いが必要だったら何時でも言ってくれ」
「はい」
商人の下に受注に行っていたイクトが戻って来るとアイリスは作業部屋へと向かった。
「さてと、まずはミュゥさんの衣装よね。今回はどんな感じにしようかな」
デッサン画を書きあげながらアイリスは踊り子の服をイメージする。
「よし、上はベアトップに胸元にビーズを散りばめて、スカートは踝の高さのマーメード・スカートで銀色のチェーンベルトと飾りに腰までの高さのチェーンや紐のアクセサリーを一杯つけて、紐の部分には羽やビーズを付けよう。透けるように薄いレース生地でアーム・ロングを作ってっと……こんな感じかな」
出来上がったデッサン画を見詰めながら生地や糸を選びに行く。
「今回はシルクのような肌触りでだけどしっかりとした生地のシルバーのフェアリークルクの布と銀色のドラゴテールの絹糸でっと」
素材の山から適した布と糸を取り出すと早速型紙にあてて裁断を始める。
「ここにアクセサリーを付けってっと……出来た」
「お疲れ様。アイリス少し休憩したらどうかな」
黙々と作業を続けようやくミュゥリアムの衣装が出来上がった時イクトの声が聞こえて来た。
「あ、イクトさん。見て下さい。ミュゥさんの衣装が出来上がりました」
「うん。これはまた見た事ない組み合わせだな」
マグカップとケーキの入った盆を目の前に置かれながらアイリスは話す。トルソーにかけられた服を見ながら彼が感想を述べた。
「この衣装を着て踊るミュゥさんの姿が目に浮かぶよ」
「私も作りながらミュゥさんの踊っている姿をイメージしていたんです。ふふ。気にいって貰えると嬉しいな」
イクトの言葉に彼女も小さく笑いながら話す。
「さて、休憩したらまた頑張らないとね」
「あんまり根を詰めすぎないようにね。俺も手伝うから」
「大丈夫です。今日受けた分の量なら一週間もあれば出来てしまうので」
紅茶を一口飲みながら話すアイリスへと彼が優しく言う。その言葉に彼女は笑顔で答えた。
「アイリスが大丈夫って言うのなら任せるけれど、でももう少し頼ってくれてもいいんだよ」
「騎士団や冒険者の服百着作る……みたいな時はお願いしますが、それ以外の時は私一人でやってみたいんです。私がどこまでやれるのか限界を知りたいのです」
「そうか。それなら俺は見守るけれど、でも無理はしないようにね」
「はい」
話ながら休憩を終えるとアイリスは仕立てに戻りイクトは店番をする。
そうして一週間後ミュゥリアムが店に来た。
「こんにちは、アイリスさん。頼んでいた衣装を頂きに来ました」
「はい。こちらになります」
彼女の言葉に籠を持って行って見せる。
「お~。やっぱりアイリスさんに頼んで良かったです。これ頂きます。そうだ、夏祭りの時に舞台で踊るので是非イクトさんと二人で見に来てください」
「これって舞台のチケット?」
「はい。あまりに人気で今年からチケット制になったそうです。私の友人達に配りたいと言ったら少し貰えたのです。是非見に来てくださいね」
「分かりました。イクトさんと二人で見に行きます」
招待状を貰ったアイリスはにこりと笑うと了承した。
夏祭りの日ミュゥリアムから貰ったチケットを持ちイクトと二人で舞台を見に行く。
「凄い人……人気だって言っていたけれどこんなにも人が多いだなんて」
「ミュゥさんのファンが大勢いるんだろうね」
「ミュゥさんの踊り素敵ですからね」
会場に行くと人混みの多さに驚く。イクトの言葉に納得して頷く。
「さ、中へ入ろう」
「はい」
チケットを用意して舞台の入口へと向かう。中へ入るとそこもまた人で埋め尽くされていて舞台が良く見える席は殆ど空いていなかった。
「端っこの方しか空いてなさそうだね」
「アイリスさん、イクトさん。こっちです」
「あれ、シュテナ様それにジョン様も」
周りを見回しイクトが言った時誰かの声がしてそちらを見やるとシュテリーナとジョルジュが椅子に座っていた。
「ミュゥさんの踊りを見に来たんですよね。良い席確保しておきました」
「こちらで一緒に見ましょう」
にこりと笑いシュテリーナとジョルジュが言う。
「それはわざわざ有難う御座います」
「それではお言葉に甘えて失礼します」
アイリスとイクトがそれぞれ答え彼等が確保してくれていた席へと座る。
「ここからなら舞台が一望できます」
「本当だ。良く見える」
王子の言葉にイクトも前を見やり頷く。
「あ、始まるみたいですよ」
「今宵はお集まりいただき誠に有難う御座います。お待たせいたしました。この国一の踊り子ミュゥリアムさんによるダンスを披露して頂きます。皆様拍手」
司会者の言葉に従い会場中から大きな拍手が巻き起こると舞台袖からミュゥリアムが現れ真ん中まで歩いてくると立ち止まった。
「皆さんこんばんは。今日は来てくださり有り難う御座います。私の踊りで楽しんでいって下さい」
彼女の言葉に会場中から温かな拍手や口笛が巻き起こる。
そうして静まり返ったタイミングでミュゥリアムが踊り出す。その魅惑的で妖艶なダンスに会場中が虜になった。
舞い終えた彼女の姿と一瞬の静寂の後に巻き起こる拍手喝采。
「有難う御座いました。以上ミュゥリアムさんによるダンスでした」
司会者の声を聞きながらアイリスはミュゥリアムに届けと言わんばかりに立ち上がって拍手を送る。
こうして夏祭りの夜は更けていった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる