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始まりの場所1
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いつものようにアラームが鳴って起きると、僕の退屈な一日の始まりだ。
無機質な鉛色の壁に床、病室の様にベッドが中心に据えられていて、その他はシンプルなものだ。ちょっとした作業が出来るぐらいの机に椅子が一脚。生活に必要な小物なら余裕で入るくらいのチェスト。洗面台もトイレもシャワーもある。ホテルの一室の様ではあるが、異質なのは窓が一つもなく、部屋の外に出る扉が厳重で圧迫感さえあるところだ。そんな部屋が長屋のように並んでいる。
まるで隔離病棟みたいだ。
扉の横にある外から中に物を入れる事が出来る空間がある。そこにいつもの様に湯気をたてた朝食が入っている。
でも病室ではない、僕は病人ではないから。
僕は世にも珍しい種族らしくて、研究の対象になっている。研究に協力していると言えば聞こえはいいが、自分には他に行く所もなく、半強制的なものだ。
この施設にいれば衣食住に困る事はない。
だけど自由はない。
感染症予防のためという理由で一人一人隔離されている。
服装も入院服のように着替えが簡単に出来る前開きタイプのシンプルな物だ。それが十着ほどあり、毎日洗濯されて支給された。女性は二つくらいタイプがあって選べるようだが、男子は一つしかタイプがない。毎日服を選ぶ煩わしさがなくて僕は助かっている。
僕の種族は昔は沢山いたらしいが、今では数えるほどしかいないらしい。その原因が感染症だったらしい。
「おはよう、ソラ。体調はどう?」
壁に設置されたモニターに白衣姿の女性が写し出された。
真っ赤な口紅に金色の髪と知的な眼鏡の奥に見える青い瞳が印象的な女性だ。
「おはようございます、マチルダさん。特に変わりはないです」
「そう、良かったわ」
全然心のこもらない言葉とは裏腹に綺麗な笑顔を残して消えていった。
体調を聞かれたところで、僕の手首に付けられた装置で心拍数や体温などのバイタルはあっちにリアルタイムで筒抜けなのだ。
朝食は栄養バランスを完璧に考えて作られたもので、それなりに美味しい。素材にも拘っているらしかった。
全ては僕の健康の為だ。いや、モルモットの健康の為といった方が正しいのか。
食事を取りながら手元にあるコンピューターのモニターで一日のスケジュールを確認する。様々な検査に、健康のために運動する時間もある。
しかし、今日は待ちに待った大切な時間があった。
母との面会である。
僕が研究対象なら母もまたそうだ。
父は僕が幼い頃に亡くなっており、家族は母だけだ。
感染症予防の観点からなかなか会えないが肉親に限っては念入りな準備と、完璧な感染対策の末に半年に一度会える事になっている。
無機質な鉛色の壁に床、病室の様にベッドが中心に据えられていて、その他はシンプルなものだ。ちょっとした作業が出来るぐらいの机に椅子が一脚。生活に必要な小物なら余裕で入るくらいのチェスト。洗面台もトイレもシャワーもある。ホテルの一室の様ではあるが、異質なのは窓が一つもなく、部屋の外に出る扉が厳重で圧迫感さえあるところだ。そんな部屋が長屋のように並んでいる。
まるで隔離病棟みたいだ。
扉の横にある外から中に物を入れる事が出来る空間がある。そこにいつもの様に湯気をたてた朝食が入っている。
でも病室ではない、僕は病人ではないから。
僕は世にも珍しい種族らしくて、研究の対象になっている。研究に協力していると言えば聞こえはいいが、自分には他に行く所もなく、半強制的なものだ。
この施設にいれば衣食住に困る事はない。
だけど自由はない。
感染症予防のためという理由で一人一人隔離されている。
服装も入院服のように着替えが簡単に出来る前開きタイプのシンプルな物だ。それが十着ほどあり、毎日洗濯されて支給された。女性は二つくらいタイプがあって選べるようだが、男子は一つしかタイプがない。毎日服を選ぶ煩わしさがなくて僕は助かっている。
僕の種族は昔は沢山いたらしいが、今では数えるほどしかいないらしい。その原因が感染症だったらしい。
「おはよう、ソラ。体調はどう?」
壁に設置されたモニターに白衣姿の女性が写し出された。
真っ赤な口紅に金色の髪と知的な眼鏡の奥に見える青い瞳が印象的な女性だ。
「おはようございます、マチルダさん。特に変わりはないです」
「そう、良かったわ」
全然心のこもらない言葉とは裏腹に綺麗な笑顔を残して消えていった。
体調を聞かれたところで、僕の手首に付けられた装置で心拍数や体温などのバイタルはあっちにリアルタイムで筒抜けなのだ。
朝食は栄養バランスを完璧に考えて作られたもので、それなりに美味しい。素材にも拘っているらしかった。
全ては僕の健康の為だ。いや、モルモットの健康の為といった方が正しいのか。
食事を取りながら手元にあるコンピューターのモニターで一日のスケジュールを確認する。様々な検査に、健康のために運動する時間もある。
しかし、今日は待ちに待った大切な時間があった。
母との面会である。
僕が研究対象なら母もまたそうだ。
父は僕が幼い頃に亡くなっており、家族は母だけだ。
感染症予防の観点からなかなか会えないが肉親に限っては念入りな準備と、完璧な感染対策の末に半年に一度会える事になっている。
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