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第46話 数字は嘘をつかない
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王都・議会館。
重苦しい空気の中、辺境令嬢――マリエール=ド=ヴィエルが壇上に立った。
手には分厚い帳簿と数枚の報告書。
その灰色の瞳は一歩も揺らがない。
「辺境商会が国庫を脅かす――その訴えは虚偽です」
澄んだ声が広間に響いた。
「証拠を示します。どうぞご覧ください」
◇ ◇ ◇
ギルド幹部が鼻で笑う。
「証拠だと? 帳簿など、いくらでも捏造できる!」
マリエールは冷ややかに微笑んだ。
「では、御覧なさい。
これは王都の徴税局が発行した正式な記録です。
辺境商会がこの一年で納めた税収――王都直轄の大商会三つ分に匹敵します」
場がざわめいた。
「三つ分……?」
「それほどの額を……?」
マリエールはさらに追撃する。
「加えて、雇用は百人以上。
辺境の村々から飢えをなくし、交易路を復活させました。
輸出による隣国通商の増益も、すべてこの帳面に記されています」
◇ ◇ ◇
公証人の老学士が記録を確認し、重々しく頷いた。
「確かに、数字は正しい。
辺境商会は、むしろ国庫を支える柱となっている」
ざわめきは大きくなり、議員の中にも賛同の声が上がる。
「これでは逆に……」
「辺境を軽んじてきたのは王都の方ではないか!」
◇ ◇ ◇
追い詰められた貴族のひとりが叫ぶ。
「だ、だがそれほどの力を持つなら、いずれ王権に牙を剥くかもしれぬ!」
マリエールは一歩前に進み、灰色の瞳でその男を見据えた。
「――力とは、使い方次第です」
「私が商会を育てたのは、国を豊かにするため。
辺境が繁栄すれば、王都も潤う。
その“共存の仕組み”を整えたにすぎません」
一瞬の沈黙の後、民衆席から拍手が広がった。
「そうだ! 辺境の作物が私たちを救ってくれた!」
「鈴の花は裏切らない!」
◇ ◇ ◇
公証人が槌を打ち、結論を告げた。
「本日の審議――辺境商会を国庫への脅威とする訴えは却下する」
「むしろ国の益を増す存在として、正当に認められるべきである」
ギルド幹部と結託した貴族たちは蒼白になり、沈黙した。
◇ ◇ ◇
夜。
館の一室で、マリエールは帳面を開いた。
――「税収=国庫支持」
――「王都議会=信頼獲得」
――「ギルド+貴族=敗北」
鈴の花の小枝を見つめ、静かに呟く。
「数字は嘘をつかない。……だからこそ、真実を示せる」
◇ ◇ ◇
遠くの高楼にて、紳士は報告を受けた。
「殿下、辺境令嬢は議会でも勝利しました」
紳士は微笑み、杯を掲げる。
「やはり彼女は強い。
――そろそろ、私の番だな」
その瞳に、次なる出会いへの決意が宿っていた。
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◇ ◇ ◇
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「私が商会を育てたのは、国を豊かにするため。
辺境が繁栄すれば、王都も潤う。
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一瞬の沈黙の後、民衆席から拍手が広がった。
「そうだ! 辺境の作物が私たちを救ってくれた!」
「鈴の花は裏切らない!」
◇ ◇ ◇
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「むしろ国の益を増す存在として、正当に認められるべきである」
ギルド幹部と結託した貴族たちは蒼白になり、沈黙した。
◇ ◇ ◇
夜。
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◇ ◇ ◇
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