【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん

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第50話 嗅ぎつけられた火種

王都・貴族街の夜会。
煌びやかなシャンデリアの下、噂は酒よりも速く流れていた。

「聞いたか? 辺境の令嬢が、隣国の王子と接触したらしい」
「やはりか……! 議会での勝利に気を良くして、外国に寝返る気だ!」
「もし本当に手を結べば、国の秩序は崩れるぞ!」

囁きは瞬く間に広がり、恐怖と敵意を煽っていく。
その陰で、ギルド幹部が杯を傾けながらほくそ笑んだ。
「よし……火は点いた。あとは燃え広がるだけだ」

◇ ◇ ◇

その頃、辺境の館。
トマスが険しい表情で報告を広げた。
「お嬢様、王都でまた噂が広まっています。
“辺境商会は隣国に従属する”と……。
貴族たちが結束し、制裁を議論しているとのことです」

ノラが青ざめる。
「そんな……まだ交渉しただけなのに!」

ジークフリートが拳を握りしめる。
「やっぱり嗅ぎつけられたか。奴ら、今度は徹底的に潰しに来るぞ」

◇ ◇ ◇

そこに、漆黒の外套をまとった王子が姿を現した。
「……やはり、こう動いてきましたか」

マリエールが眉を上げる。
「何か掴んでいるのですか?」

王子は懐から一冊の帳簿を取り出した。
「ギルドの裏帳簿です。
買収した貴族の名、渡された金額――すべて記されています」

室内がざわめく。

「どうやって……?」とトマスが驚くと、王子はただ静かに答えた。
「情報は力です。そして、力は使う者の心次第で剣にも盾にもなる。
あなたの“透明性”と、私の“諜報”を組み合わせれば、彼らを追い詰められる」

マリエールは灰色の瞳で王子を見据えた。
「……敵ながら、頼もしい戦い方ですね」

王子はわずかに微笑んだ。
「敵ではない。私は、共に歩む者でありたい」

◇ ◇ ◇

マリエールは帳面を広げ、新たな項目を書き記す。
――「新たな噂:隣国従属」
――「脅威:王都の制裁論」
――「対策:外交の透明性+裏帳簿の活用」

「噂には“真実”で応えるしかない。
ならば次の一手は……公開の場で、すべてを明らかにしましょう」

王子の蒼い瞳が深く光った。
「ええ――私も力を貸そう。あなたの戦いを、陰から支えるために」
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