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第56話 理と証の刃
王都議会。
重苦しい空気の中、ひとりの議員が立ち上がった。
「辺境商会なるもののせいで、我ら王都商会は損失を被っている!
税収が減り、王家の威信までも揺らいでいるのだ!」
別の議員も声を荒げる。
「辺境で勝手に交易路を拓くなど、女の身で身の程知らず!」
「商会の繁栄は己の私腹を肥やすためだろう!」
嘲笑と罵声。
だがマリエールは帳面を開き、落ち着いた声で返す。
「――税収が減った、と仰いましたね。
では、王都の近隣に眠る鉱山や農地が未だ手つかずであるのは、誰の責任でしょうか?」
議場が一瞬、静まり返る。
◇ ◇ ◇
マリエールは帳面を広げ、用意してきた数字を示した。
「辺境での収穫量推移と輸出記録です。
三年前に比べ、作物の生産量は二倍。輸送路を整えたことで腐敗率は激減。
結果、税収はむしろ増加傾向にあります」
ざわめきが広がる。
「まさか……」
「数字で示すとは……」
◇ ◇ ◇
だが反対派の議員は引き下がらない。
「その数字が本物である保証がどこにある!
辺境の女が作った帳面など、信用できるものか!」
その瞬間、王子が立ち上がった。
蒼の瞳が鋭く光る。
「保証ならば、私がする。
私は辺境を訪れ、その目で彼女の商会を見た。
労働に励む人々、改良された物流、そして透明な取引。
それらは誠実であり、隣国から見ても模範とすべきものだ」
議場に再びざわめきが走る。
「隣国の王子が証言を……!?」
「外交問題になるぞ!」
◇ ◇ ◇
マリエールはさらに一歩踏み込み、声を強めた。
「私は私腹のために商会を築いたのではありません。
辺境の人々が生きるために、そしてこの国全体を豊かにするために――。
現に、辺境での取引は王都へも利益を還元しています。
これは“反逆”ではなく、“補強”です!」
◇ ◇ ◇
帳面に記す。
――「王都=敵意」
――「突破口=証拠+証言」
――「次=議会の矛盾を突く」
灰色の瞳が光る。
「……問います。
この国の未来を支えるのは、机上の権威でしょうか。
それとも汗を流す民の力でしょうか?」
静寂。
議員たちの顔が揺れ動く。
彼女の言葉は、確かに心を揺さぶっていた。
◇ ◇ ◇
その時、最奥に座する老議員が口を開いた。
「よかろう……。
ならば次の場で、さらに詳らかに証を立ててもらおう。
辺境商会が本当に国を支える存在なのか――公開の場で、民の前でな」
マリエールは帳面を閉じ、毅然と答えた。
「望むところです」
氷の議場に、彼女の声が高く響いた。
重苦しい空気の中、ひとりの議員が立ち上がった。
「辺境商会なるもののせいで、我ら王都商会は損失を被っている!
税収が減り、王家の威信までも揺らいでいるのだ!」
別の議員も声を荒げる。
「辺境で勝手に交易路を拓くなど、女の身で身の程知らず!」
「商会の繁栄は己の私腹を肥やすためだろう!」
嘲笑と罵声。
だがマリエールは帳面を開き、落ち着いた声で返す。
「――税収が減った、と仰いましたね。
では、王都の近隣に眠る鉱山や農地が未だ手つかずであるのは、誰の責任でしょうか?」
議場が一瞬、静まり返る。
◇ ◇ ◇
マリエールは帳面を広げ、用意してきた数字を示した。
「辺境での収穫量推移と輸出記録です。
三年前に比べ、作物の生産量は二倍。輸送路を整えたことで腐敗率は激減。
結果、税収はむしろ増加傾向にあります」
ざわめきが広がる。
「まさか……」
「数字で示すとは……」
◇ ◇ ◇
だが反対派の議員は引き下がらない。
「その数字が本物である保証がどこにある!
辺境の女が作った帳面など、信用できるものか!」
その瞬間、王子が立ち上がった。
蒼の瞳が鋭く光る。
「保証ならば、私がする。
私は辺境を訪れ、その目で彼女の商会を見た。
労働に励む人々、改良された物流、そして透明な取引。
それらは誠実であり、隣国から見ても模範とすべきものだ」
議場に再びざわめきが走る。
「隣国の王子が証言を……!?」
「外交問題になるぞ!」
◇ ◇ ◇
マリエールはさらに一歩踏み込み、声を強めた。
「私は私腹のために商会を築いたのではありません。
辺境の人々が生きるために、そしてこの国全体を豊かにするために――。
現に、辺境での取引は王都へも利益を還元しています。
これは“反逆”ではなく、“補強”です!」
◇ ◇ ◇
帳面に記す。
――「王都=敵意」
――「突破口=証拠+証言」
――「次=議会の矛盾を突く」
灰色の瞳が光る。
「……問います。
この国の未来を支えるのは、机上の権威でしょうか。
それとも汗を流す民の力でしょうか?」
静寂。
議員たちの顔が揺れ動く。
彼女の言葉は、確かに心を揺さぶっていた。
◇ ◇ ◇
その時、最奥に座する老議員が口を開いた。
「よかろう……。
ならば次の場で、さらに詳らかに証を立ててもらおう。
辺境商会が本当に国を支える存在なのか――公開の場で、民の前でな」
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「望むところです」
氷の議場に、彼女の声が高く響いた。
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