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アントス編
はじめまして、つがいましょう 六
しおりを挟む「……ぁ、め?」
ぱた、ぱた。いやに生温く粘ついた水滴だ。ぼんやりとした意識で掴んだ文字は「雨」だったが、見上げた先にあるのはブラットの頭部の一部と苔生した分厚い天井である。
当然、洞窟に雨など降るはずがない。
ならばこれはどこから。目線を動かして、気づいた。
それはアントス自身から放たれた精液だった。ブラットが吐き出した大量の精液に浸る性器、かろうじて顔を出している先端からビュッ、ビュッと小刻みに白濁を飛ばしている。
「あ……」
ドラゴンに比べると不思議とささやかに思えてくる絶頂の証明。……気持ち、よかった?
そうだ。アントスは唐突に理解した。
これは、気持ちいい行為だ。気持ちよくなければ射精なんてできない。するはずが、ない。
その思いに引きずられてか、強張っていた全身から不必要な力が抜けていく。中の締めつけも緩み、空いた隙間を埋めるようにより深くペニスが食いこんだ。
「ぁうっ!」
爪先から頭の天辺まで、強い快感が走った。体が大げさに跳ねる。
物事の捉え方、というのは恐ろしいものだ。あんなにも痛みを味わわせてきたペニスの動きが一転、とても気持ちのいい快楽をもたらすものとして感じるようになる。
たっぷりと放精していながら、ブラットの性器が萎えた気配はない。体液に満たされてたぷたぷの中へ、再び抜き挿しを始める。
「あ……っ、ああっ! きもちいいっ、……ブラットのおちんちん、きもちいいよぉっ!」
潤いを十分に得た粘膜は、かえしで擦られても痛みを感じなかった。摩擦は逆に、無意識に足を突っぱねて逃そうとするほどの快楽を生み出すばかりだ。
今度は肉壁の先を征服しようとでもいうのか、精液に塗れた奥をドチュドチュと叩いている。動きに合わせ、アントスのペニスを押し潰すように圧迫する外のペニスもたまらない。
喘ぐばかりで飲みこむ暇もない唾液が唇の端から垂れていく。内側からも外側からも意識が飛ぶような強い刺激に挟まれて、息が止まってしまいそうだ。
淫楽を享受し始めたアントスの反応に、ますますはりきりを見せたブラットが強く股間を打ちつける。
じゅぶじゅぶ、ばちゅんばちゅん! くぐもった粘り気のある水音に加え、やわらかな肉を叩く音がひっきりなしに洞窟内にこだました。
「ダメ、だめッ! しんじゃう……っ! あーッ!」
必死に震える腕を伸ばし、ブラットの首にすがるアントスは、今の己がどれほど淫靡な姿に堕としめられたのかを知らない。
薄赤に染まった肌に重ね塗りされた粘つく精液。
大きなペニスと過剰な中出しに膨れた自身の腹に挟まれた、先走りの絶えない震える性器。
激しく肉棒が出挿りする孔はすっかりブラットの形に開ききり、内包した空気で泡立ってははじけていく白濁をとろとろとこぼしている。
吸水性が乏しい地面には精液による水溜りができ、そこに背中側を浸からせている様はまるで淫交の沼に溺れているかのよう。
「きもちっ、よすぎ、て、しんじゃっ、んっ、は、んぅっ」
口内に入りこまれると呼吸がしづらくなるのはわかっているはずなのに、気がつけばアントスは自ら肉厚な長い舌を招いていた。くちゅ、ちゅう、と絡め、吸い、流しこまれていくブラットの唾液をおいしそうに飲み干す。
バサッ。翼が広げられる音。それが射精の合図だということを、アントスはもう知っている。
弛緩しがちな上、お互いの精液ですべる両足を必死に伸ばしてブラットの腰に巻きつけた。ブラットもまた肌に傷をつけないよう、しかし逃がさないとばかりにがっちりとアントスの体をかき抱く。
「……うっ、ぅ、ぁ、──~~~~ッ!」
グゥ、ガアウッ!
二つの声が重なり響く。
力強く突き続けていたペニスの先端が、ついに肉壁をこじ開けた。その衝撃に息を詰めたアントスの奥深くへ、直接熱くて新鮮な大量の精液をかけ放っていく。
──まるで孕まそうとしているみたいだ。
つられるように自らも精を放ち、快感の許容が超えて薄れ始めた意識の中でぼんやりと思う。ならばこれは陵辱ではなく、種をつけるための愛あるセックスなのだろうか。
アントスに種をつけたい。出会って間もないというのにすぐに実行に移したほど、慕ってくれたのか。
三度目の中出しでますます張っていく下腹部を無意識に撫でながら、ゆっくりと目を閉じる。
もし、そうだとしたら。……子を実らせる器官などないのに直に種づけされ続けている腹の奥が、きゅん、とせつなく疼いた気がした。
アントスは気づかない。
ブラットの行為を受け入れる方へ変わっていく一連の思考が、自我の崩壊を防ぐために脳が引き起こした錯覚であり。
契約を結んだ異種にレイプされたという現実を受け入れられず、大きすぎるショックから逃避するべくそう思いこんだだけに過ぎない、ということを。
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