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親と子の対談 四
しおりを挟む幼馴染兼親友という関係もあるためか、キリエはアルシュに己や周辺の近状、交友関係の進退をよく伝えてくる。なかなか会う機会が取れない時には、事細かく手紙にしたためてまめに送ってくるくらいだ。
顎に手を添える。キリエはあえて男の存在を伏せていたのか。あるいはアルシュと同じように、彼も知らなかったのか。知らされていなかったのか。
ふと、嫌な予想が脳裏を過ぎる。思い出したのは、エメがキリエに向けて放った言葉の一端だ。
……毎日、あの女のもとに足を運んでいた……?
エメは流行り病にかかる少し前から、カルブンクルス王城に滞在し続けている。
彼女の身柄を預かっていながら生死の境を彷徨わせたとして、病が完治し、健常体に戻るまで十二分に看病する。キリエが直々にアダマースに赴き、何度も頭を下げてもぎ取った責任の取り方だ。
エメにあてがわれていた部屋は、王城の奥、限られた者しか立ち入ることができない場所だった。彼女の体調、ならびに記憶をなくしたことによる多大な不安と負荷を与えないようにと、面会も最低限にしていた。
キリエの女性肉親代理としての準備期間中、いろんな意味でキリエの補佐をしながら決して短くはない滞在をしていたアルシュですらも、面会謝絶を受けたくらいだ。他国の者ならなおさら、髪の毛の一筋を目にすることすら叶わないだろう。
護衛の面から、城外へ出るにも制限がかけられている。必ずキリエかクレド王のどちらかに外出申請を出さなければならないし、必ず侍女と兵を複数人、お供としてつけられたはずだ。
万が一不穏分子が迫るようなことがあれば、それを速やかかつ確実に取り除かなければならない。後手に回ったことによる被害を拡大させないように、そして損失を最小限に食い止めるために、外出先の出来事はすべてお供を通して報告される手筈だ。
王城にあの男が毎日訪れていたなら、キリエが言わないはずがない。アルシュ自身、忙しいキリエにかわってエメの様子を伝えようと、よく王城内を不定期にうろついていた。一度も見かけない、という状況は起こり得ないはずなのだ。
なのに、エメを遠目に見ることはあっても男とは鉢合わせることすらなかった。人目を避けてエメと逢引していたのか。もしくは、己の存在を知られたくなくて、正規のルートを使わなかった?
これが何を指すのか。──あの男は、何者だ。何が目的だ。
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