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木材の異世界的使い方(錬金術編)
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…問題人物達が集ってきたコトヨロ湖畔…
「ここで一つ訂正があります」
何でしょう?セリさん?
「あなた方が定義した『魔界』と言う我々が住んでいる世界ですが、別段、こちらの世界に悪い影響を与えている訳ではありません。確かに、過去、我々の住んでいる世界の住人がやらかした事があるかも知れませんが、やらかしの中にはこの世界の文化・文明を加速させた知識や技術もあったかもしれませんから」
何が言いたいか?と言うと、『魔界』の住人だからと言う理由で有害な人種ばかりではない‼ってことですね?
「我々を見て下さい‼何処に有害的要素があるんですか⁈」
精神的に有害指定要素が多分に含まれていると思われます。
「超有害指定生物のあなたには言われたくありません‼」
僕がそう見える理由はごく単純ですよ?
「イヤ‼その結論は最も聞いてはいけない理由です‼ダメです‼そんなモノはあたしの世界の中には存在しないのです‼」
…現実を受け入れたくなったら言ってください…その上で、有害指定は解除して頂けると嬉しいです…本当は関わりたくないですが関わってしまった以上、友好的な関係を築きたいので、夜中に部屋を覗くのは止めて下さいね…‼
強く言って、セリさんを言い聞かせると、渋々頷いてくれた。うん。今度造る家の寝室は外から見えない位置に造ろう…あ、ヒナギク様に控えて貰えば事足りるかな?…それは無理かなぁ…
だって、ヒナギク様との夜の時間にはちゃんとした意味がある。それは、彼女に掛けられた『悪魔』の呪いを解く事。『不妊』の呪いだ。『聖女』の僕がヒナギク様の子供を作れるとなれば『不妊』の呪いは解かれるのでは?と言うのが王妃様のお考えの上での案だが、そう簡単に行くのだろうか…?
例えば『穢れ』の定義。何を持って『穢れ』とするのか?排泄物か?病原菌・病原性ウィルスか?毒物か?土砂や汚泥と言った汚れの原因か?それとも放射能…そこは考え過ぎだろうか…?それと誰を対象とした『穢れ』なのか?『穢れ』として認識されるのは、与えた側なのか?被った側なのか?それとも別の誰かなのか…?僕がその判別役になるのは気が重いなぁ…目の届く範囲でなら判別するかも知れないけど…
解呪作業として励んでくれている訳ではない様な雰囲気のヒナギク様だが、初対面から割と友好的ではあった。まぁ、僕が男の子の恰好をしていた事に違和感があった事は後に謝られたが、それ以外の性格的な部分では意外にウマが合っていた。まぁ、内向的だった僕はキレイなお姫様がグイグイ来る事に緊張していたが、あれは積極的なアプローチだったんだろうと、今では思える。お陰でツッコミ属性を手に入れてしまった気がするが…
そんな事を考えながら、僕は切り倒した一本の大木を前にしていた。切る木の選定はヌシ様にしてもらった。僕ではまだ分からない事があるので…僕の魔法でなら根こそぎ取れるだろうが、切り株は残してくれと言われた。後の森の栄養素になるからだそうだ。
結構な大きさで、高さは二十メートル近く、直径は切った根元辺りで二メートル程はあるだろうか。これだけあればドアや窓枠だけでなく、家具一式製作可能だろう。大事に使わないといけないのだが、生木…と言うか、切ってすぐの木材を、そのまま使う訳にはいかない。乾燥させなければいけないのだ。でないと、ガタが出たり、割れたりする要因になるから…ドアなんかが割れたら、わざわざ家にする意味がなくなるからなぁ…
とりあえず、どうするか?…いや、天然乾燥は無理‼今すぐにでもプライベート空間は欲しい‼特にトイレ‼実は、祖父母がオマルを置いている辺りって何にも囲っていないのが現状なのだ‼なので、トイレに行く時は僕以外の全員が『お花を摘みに行く』と言い訳をしている。もちろん、このコトヨロ湖畔周辺に彼女達が愛でる花畑など存在しない。あるのは自らの種の繁栄か、生存競争を生き抜く為に進化した植物達だろう。森に入って思い知らされた。ヌシ様に注意されなければ危なかった…‼
ひとまず、トイレの囲いを造ろうと思う。うん。何となくだけど、失敗しても良い位の気持ちで作れるから。多少隙間は空いても、ちょっと寒い位は我慢してもらおう。
手始めに板にしていく。ここで注意しなければならないのは、どの部分の高さの木材を使うのか?木と言うのはその殆どが、根元が最も太く、先端が最も細い。形状的には円錐形で、それぞれの高さによって幅が違う。更に、天然木を使う場合は、枝打ちして太さを調整された材木用の樹木とは違い、傾きや湾曲があったりする。今回の木でも、太い枝が何本もあるので、傾きがあるのが見て取れる。切り口を見ても、年輪に傾きがあるのが分かる。それでも、森の木の中では真っ直ぐな方で、途中で二又や三又などに分かれていないだけ、木としてはまともな部類だろう…まともなのかな?…いや、人の価値基準で見てまともって事で、生物学的にはどうなんだろう…?
今回は四等分にして、先端から二番目の部分をトイレの囲いとして使用する。ちなみに先端部分は使用せず、薪にでもする。理由は木材として柔らかいから。
その後は枝打ち。使うのは氷の鋸。だって、金属は加工の手間が掛かるから。氷ならコトヨロ湖の水で幾らでも出来るから。折れても刃が掛けても何とでもなるから‼とりあえず、一番太い枝を切って行く…十分ほど掛けてようやく切り離せた…うん…疲れる…太さが、僕やヒナギク様の胴回りほどではないにせよ、そこそこある…せいぜいヒナギク様の太腿…は失礼だけど、腿の付け根辺りの太さはあるかな…?とりあえず、今回使う部分の枝を切り落としていく…次第に慣れて時間も掛からなくなり、一時間程で『材』として使える様に加工が完了する。
次に板取。トイレの囲いとして使うとして、幅一メートル程が必要なので、二番目の部分から一枚板で採る事が可能だろう。うん。出来る限り、一枚板で採りたい。理由は板を継ぎ接ぎしたくないから。継ぎ手加工なんて出来ないし、木材用の接着剤なんて作れないから。錬金術で作れるかもしれないけど、組成なんて分からないから。
中心部分の厚さ二センチ程を板に加工する。切断には大型の氷の鋸を使う。これは相手が居ないと無理かと思ったが、魔法で動かす事が出来た。板の幅は直径に比べて狭くなったが、九十センチ程はあり、四枚の板が取れた。うん。魔法便利。その後は長さ…と言うか、高さを揃える…半分に切れば良いカンジの高さになるかな…?
出来上がったので、その場で仮組し、実際に中に入ってみる…良いカンジの閉塞感…しゃがんでみても問題なし…僕は問題無いけど、他の淑女たちはどうだろう…?一番、身体が大きいのは…あ、マリーさん。お願いできますか?
「何でしょう?」
この中に入って、しゃがんでみてください。
「え?何で?」
この中がお花畑になるので、お花が摘み取り易いか、教えてください。
「お花…ああ。そういう事ですね?」
理解が早くて助かります。あ、後ろは閉めなくて大丈夫です。早速、落ち着かれても困るんで。はい、プライベートスペースですが、共用にするつもりなので…
広さ的には問題ないが、天井は欲しいとのリクエストがあった。あと、明り取り…あ、換気口も必要か…貯め込まなければ大丈夫か?…一応付けよう…
さて、本題の板の乾燥について…重要なのは水分を抜く量と抜く方向、それと速さだろうか…?…そもそも、どんなに慎重に木材を乾燥させても湾曲はしてしまうだろう。湾曲の原因は水分の抜ける方向だと思う。それを抑えるには自然な状態での木の水分発散…つまり、年輪の内側から外側に向けて水分を抜いて行けば…‼試験用に手に持てるくらいの板を用意‼A4サイズ程で厚さは五ミリ程。目標は一ミリ以内の湾曲………はい‼アーチ状に湾曲しました‼三ミリ近く湾曲してます‼水分の抜け方が速過ぎた‼何がいけないのか⁈いや、問題は分かっている。年輪だ。正確には年輪の筋の部分とその間の木質の部分の材質が違うからだ。年輪の筋は元々表皮だった部分だから、木質部分に比べて堅い。その違いで、筋の部分に比べ木質部分が収縮してしまうから、湾曲するんだ…と思う…
う~ん…これはどんなに慎重に水分を抜いても、湾曲はするだろうな…問題は二種類の違った材質が混在している事か…この二つの物質を分けるか、混ぜるか出来れば…
あ、錬金術で可能かな?
試験片で試すと、混ぜると木質より濃い色の木質材が出来て、表皮成分を抜くとキレイな乳白色の木質材が出来上がった。歪みもない。湾曲もしていない…あ、混ぜた方が暖かい…化学反応で熱を持っちゃったか…しばらく放置すると、歪みが出てしまったが、もう一度、錬金術で混ぜ直し成形すると、歪みのない板になった…魔法、チート過ぎ…
どうやら僕はバカな事をしていた様だ。全部、錬金術で事足りたのだから。
その後は、トイレの囲いを所定の位置に建てる。もちろん、錬金術で成形し直した木質材を使って作り上げた正方形状のボックスに…あ、出入口側はドア用の蝶番が出来ていないので立て掛けるだけにした…引き戸にするのもアリかな…?その辺は皆と相談だな…
次に家の方‼まずは窓と玄関のフレーム。これは表皮入り材を使用。調べてみると表皮入り材の方が若干だが、堅かったから。窓枠は引き戸型を想定しているので溝を作る。もちろん錬金術で溝を作る。玄関はドアタイプを想定。蝶番を取付ける用の柱とフレームを玄関枠に張り付け、ドア板を嵌め込む…ピッタリにすると開かなくなるけど…大丈夫だな…開閉は内開きを想定。前世の日本では住居環境の問題で外開きが多かったが、こっちでは内開きが主流なので…さて‼蝶番を作ろう‼
蝶番は木質材を使って加工しても良かったが、強度的な問題と腐食の問題で金属製がいいだろうと思案していた。材料はコトヨロ湖の波打ち際に埋まっていた大きめの岩から金属成分を錬金術で抽出する…一抱えする程の大きさだったが、金属成分は全体の四分の一程だった…若干ながら『マサムネ』に使った成分が含まれているが、基本的には『鉄』に似た性質の金属だった。これが大量にあれば鉄筋が…いや、向こうの世界の一般的に『鉄』と呼ばれている金属は『鋼』だからなぁ…純粋な『鉄』とは違うか…
『マサムネ』に使った金属材を『鉄』に似た金属材に合成する…いや、いちいち採り出すのも面倒臭かったから…何とか合金化は成功し、金属板を八枚精製する。厚みは二ミリほど、大きさは十センチ×八センチ程の長方形。長い方の端を直径一センチほどの筒状に折り曲げ、半数の中央部を切り取り、半数は両端側を切り取る。徐冷している間に、ピンと滑り板を作る。滑り板はドアを円滑に動かす為に蝶番の円柱部の間に入れる。
ピンは直径七ミリ、長さ十一センチ程。蝶番の長い方より少し長く作り、先端を五ミリ分、潰す様に丸める。問題は滑り板。外径は直径一センチで大丈夫だが、内径はピンより若干大きくなければならない…直径八ミリの穴を開けて様子を見よう…いや、幅が一ミリくらいしか残ってないけど、大丈夫かな…?
全ての部品が完成して、蝶番を取り付け。まずは近場の我が家から‼…あ、バランスを取らないといけないので、これは一人では無理だ…
「手伝おっか?」
あ、ヒナギク様とヨシノさんが帰って来た。良かったです‼早速お願いします‼はい、ヨシノさんが担いでいるクマみたいな獣には突っ込みません‼
二人の手伝いのお陰で、玄関ドアは完成‼うん、ちゃんと開閉する‼
では、同じものをトイレにも付けましょうか。
僕は喜び勇んで、トイレに向かう。文明的なトイレの完成は間近だ。
「こら‼開けろぉ‼」
あれ?マリーさんがお使いでしたか?セリさん。
「あいつ、ここを魔王城とか言って籠城しやがった‼開けろぉ‼」
…恐れていた事態が発生しました…マリーさんが魔法で施錠したようです…
「早く開けろ‼あたしの乙女としての…いや、人としての尊厳を守らせてくれ~‼」
セリさんの限界が近い様ですね。トイレの増設も検討しないと。
「ここで一つ訂正があります」
何でしょう?セリさん?
「あなた方が定義した『魔界』と言う我々が住んでいる世界ですが、別段、こちらの世界に悪い影響を与えている訳ではありません。確かに、過去、我々の住んでいる世界の住人がやらかした事があるかも知れませんが、やらかしの中にはこの世界の文化・文明を加速させた知識や技術もあったかもしれませんから」
何が言いたいか?と言うと、『魔界』の住人だからと言う理由で有害な人種ばかりではない‼ってことですね?
「我々を見て下さい‼何処に有害的要素があるんですか⁈」
精神的に有害指定要素が多分に含まれていると思われます。
「超有害指定生物のあなたには言われたくありません‼」
僕がそう見える理由はごく単純ですよ?
「イヤ‼その結論は最も聞いてはいけない理由です‼ダメです‼そんなモノはあたしの世界の中には存在しないのです‼」
…現実を受け入れたくなったら言ってください…その上で、有害指定は解除して頂けると嬉しいです…本当は関わりたくないですが関わってしまった以上、友好的な関係を築きたいので、夜中に部屋を覗くのは止めて下さいね…‼
強く言って、セリさんを言い聞かせると、渋々頷いてくれた。うん。今度造る家の寝室は外から見えない位置に造ろう…あ、ヒナギク様に控えて貰えば事足りるかな?…それは無理かなぁ…
だって、ヒナギク様との夜の時間にはちゃんとした意味がある。それは、彼女に掛けられた『悪魔』の呪いを解く事。『不妊』の呪いだ。『聖女』の僕がヒナギク様の子供を作れるとなれば『不妊』の呪いは解かれるのでは?と言うのが王妃様のお考えの上での案だが、そう簡単に行くのだろうか…?
例えば『穢れ』の定義。何を持って『穢れ』とするのか?排泄物か?病原菌・病原性ウィルスか?毒物か?土砂や汚泥と言った汚れの原因か?それとも放射能…そこは考え過ぎだろうか…?それと誰を対象とした『穢れ』なのか?『穢れ』として認識されるのは、与えた側なのか?被った側なのか?それとも別の誰かなのか…?僕がその判別役になるのは気が重いなぁ…目の届く範囲でなら判別するかも知れないけど…
解呪作業として励んでくれている訳ではない様な雰囲気のヒナギク様だが、初対面から割と友好的ではあった。まぁ、僕が男の子の恰好をしていた事に違和感があった事は後に謝られたが、それ以外の性格的な部分では意外にウマが合っていた。まぁ、内向的だった僕はキレイなお姫様がグイグイ来る事に緊張していたが、あれは積極的なアプローチだったんだろうと、今では思える。お陰でツッコミ属性を手に入れてしまった気がするが…
そんな事を考えながら、僕は切り倒した一本の大木を前にしていた。切る木の選定はヌシ様にしてもらった。僕ではまだ分からない事があるので…僕の魔法でなら根こそぎ取れるだろうが、切り株は残してくれと言われた。後の森の栄養素になるからだそうだ。
結構な大きさで、高さは二十メートル近く、直径は切った根元辺りで二メートル程はあるだろうか。これだけあればドアや窓枠だけでなく、家具一式製作可能だろう。大事に使わないといけないのだが、生木…と言うか、切ってすぐの木材を、そのまま使う訳にはいかない。乾燥させなければいけないのだ。でないと、ガタが出たり、割れたりする要因になるから…ドアなんかが割れたら、わざわざ家にする意味がなくなるからなぁ…
とりあえず、どうするか?…いや、天然乾燥は無理‼今すぐにでもプライベート空間は欲しい‼特にトイレ‼実は、祖父母がオマルを置いている辺りって何にも囲っていないのが現状なのだ‼なので、トイレに行く時は僕以外の全員が『お花を摘みに行く』と言い訳をしている。もちろん、このコトヨロ湖畔周辺に彼女達が愛でる花畑など存在しない。あるのは自らの種の繁栄か、生存競争を生き抜く為に進化した植物達だろう。森に入って思い知らされた。ヌシ様に注意されなければ危なかった…‼
ひとまず、トイレの囲いを造ろうと思う。うん。何となくだけど、失敗しても良い位の気持ちで作れるから。多少隙間は空いても、ちょっと寒い位は我慢してもらおう。
手始めに板にしていく。ここで注意しなければならないのは、どの部分の高さの木材を使うのか?木と言うのはその殆どが、根元が最も太く、先端が最も細い。形状的には円錐形で、それぞれの高さによって幅が違う。更に、天然木を使う場合は、枝打ちして太さを調整された材木用の樹木とは違い、傾きや湾曲があったりする。今回の木でも、太い枝が何本もあるので、傾きがあるのが見て取れる。切り口を見ても、年輪に傾きがあるのが分かる。それでも、森の木の中では真っ直ぐな方で、途中で二又や三又などに分かれていないだけ、木としてはまともな部類だろう…まともなのかな?…いや、人の価値基準で見てまともって事で、生物学的にはどうなんだろう…?
今回は四等分にして、先端から二番目の部分をトイレの囲いとして使用する。ちなみに先端部分は使用せず、薪にでもする。理由は木材として柔らかいから。
その後は枝打ち。使うのは氷の鋸。だって、金属は加工の手間が掛かるから。氷ならコトヨロ湖の水で幾らでも出来るから。折れても刃が掛けても何とでもなるから‼とりあえず、一番太い枝を切って行く…十分ほど掛けてようやく切り離せた…うん…疲れる…太さが、僕やヒナギク様の胴回りほどではないにせよ、そこそこある…せいぜいヒナギク様の太腿…は失礼だけど、腿の付け根辺りの太さはあるかな…?とりあえず、今回使う部分の枝を切り落としていく…次第に慣れて時間も掛からなくなり、一時間程で『材』として使える様に加工が完了する。
次に板取。トイレの囲いとして使うとして、幅一メートル程が必要なので、二番目の部分から一枚板で採る事が可能だろう。うん。出来る限り、一枚板で採りたい。理由は板を継ぎ接ぎしたくないから。継ぎ手加工なんて出来ないし、木材用の接着剤なんて作れないから。錬金術で作れるかもしれないけど、組成なんて分からないから。
中心部分の厚さ二センチ程を板に加工する。切断には大型の氷の鋸を使う。これは相手が居ないと無理かと思ったが、魔法で動かす事が出来た。板の幅は直径に比べて狭くなったが、九十センチ程はあり、四枚の板が取れた。うん。魔法便利。その後は長さ…と言うか、高さを揃える…半分に切れば良いカンジの高さになるかな…?
出来上がったので、その場で仮組し、実際に中に入ってみる…良いカンジの閉塞感…しゃがんでみても問題なし…僕は問題無いけど、他の淑女たちはどうだろう…?一番、身体が大きいのは…あ、マリーさん。お願いできますか?
「何でしょう?」
この中に入って、しゃがんでみてください。
「え?何で?」
この中がお花畑になるので、お花が摘み取り易いか、教えてください。
「お花…ああ。そういう事ですね?」
理解が早くて助かります。あ、後ろは閉めなくて大丈夫です。早速、落ち着かれても困るんで。はい、プライベートスペースですが、共用にするつもりなので…
広さ的には問題ないが、天井は欲しいとのリクエストがあった。あと、明り取り…あ、換気口も必要か…貯め込まなければ大丈夫か?…一応付けよう…
さて、本題の板の乾燥について…重要なのは水分を抜く量と抜く方向、それと速さだろうか…?…そもそも、どんなに慎重に木材を乾燥させても湾曲はしてしまうだろう。湾曲の原因は水分の抜ける方向だと思う。それを抑えるには自然な状態での木の水分発散…つまり、年輪の内側から外側に向けて水分を抜いて行けば…‼試験用に手に持てるくらいの板を用意‼A4サイズ程で厚さは五ミリ程。目標は一ミリ以内の湾曲………はい‼アーチ状に湾曲しました‼三ミリ近く湾曲してます‼水分の抜け方が速過ぎた‼何がいけないのか⁈いや、問題は分かっている。年輪だ。正確には年輪の筋の部分とその間の木質の部分の材質が違うからだ。年輪の筋は元々表皮だった部分だから、木質部分に比べて堅い。その違いで、筋の部分に比べ木質部分が収縮してしまうから、湾曲するんだ…と思う…
う~ん…これはどんなに慎重に水分を抜いても、湾曲はするだろうな…問題は二種類の違った材質が混在している事か…この二つの物質を分けるか、混ぜるか出来れば…
あ、錬金術で可能かな?
試験片で試すと、混ぜると木質より濃い色の木質材が出来て、表皮成分を抜くとキレイな乳白色の木質材が出来上がった。歪みもない。湾曲もしていない…あ、混ぜた方が暖かい…化学反応で熱を持っちゃったか…しばらく放置すると、歪みが出てしまったが、もう一度、錬金術で混ぜ直し成形すると、歪みのない板になった…魔法、チート過ぎ…
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その後は、トイレの囲いを所定の位置に建てる。もちろん、錬金術で成形し直した木質材を使って作り上げた正方形状のボックスに…あ、出入口側はドア用の蝶番が出来ていないので立て掛けるだけにした…引き戸にするのもアリかな…?その辺は皆と相談だな…
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ピンは直径七ミリ、長さ十一センチ程。蝶番の長い方より少し長く作り、先端を五ミリ分、潰す様に丸める。問題は滑り板。外径は直径一センチで大丈夫だが、内径はピンより若干大きくなければならない…直径八ミリの穴を開けて様子を見よう…いや、幅が一ミリくらいしか残ってないけど、大丈夫かな…?
全ての部品が完成して、蝶番を取り付け。まずは近場の我が家から‼…あ、バランスを取らないといけないので、これは一人では無理だ…
「手伝おっか?」
あ、ヒナギク様とヨシノさんが帰って来た。良かったです‼早速お願いします‼はい、ヨシノさんが担いでいるクマみたいな獣には突っ込みません‼
二人の手伝いのお陰で、玄関ドアは完成‼うん、ちゃんと開閉する‼
では、同じものをトイレにも付けましょうか。
僕は喜び勇んで、トイレに向かう。文明的なトイレの完成は間近だ。
「こら‼開けろぉ‼」
あれ?マリーさんがお使いでしたか?セリさん。
「あいつ、ここを魔王城とか言って籠城しやがった‼開けろぉ‼」
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