絶望の先

れい

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絶望の先

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 わたしは中学生のころからずっといじめられてきた。
原因はわたしの友達がみんな男子だったからだ。
わたしの外見は誰がどう見ても女性だったけれど、性格は男性っぽいとよく言われていた。そのせいか、女子の友達は一人もおらず、同級生からはいじめられていた。
 そんなわたしも社会人になった。
「今日からうちの部署で働くことになった松島ゆかりさんだ。」部長に紹介され、わたしはすこし大きめの声で挨拶した。
「松島ゆかりです。ここで自分の力を出せるよう頑張ります。よろしくおねがいします。」わたしが深く頭をさげると拍手がおこった。
「じゃあ、松島さんは高橋さんに仕事をおしえてもらってください。」部長が高橋さんのところまで案内してくれた。
「高橋さん、おねがいします。」わたしが小声で話しかけるとわたしの方をむいた。
「はい。こちらこそよろしくおねがいします。」優しそうでかっこいい男性だった。
「高橋充です。わかりやすくおしえるつもりですが、わからないときは聞いてくださいね。」わたしはなんとなく安心した。
 その日からわたしは高橋さんに仕事をおしえてもらうようになり、ランチやディナーにもさそわれるようになった。
「松島さんは仕事をおぼえるのが早いですね。」
「いえ。高橋さんが丁寧におしえてくださるからですよ。」いつの間にか仕事以外でも話すようになり、あこがれの上司として見るようになった。
自然と職場になれて行くと他の社員にも話すようになった。もう、学生のときのようなおもいをしなくてすむかもしれないとおもっていた。
 ある日の昼休み。わたしは近くのファミレスに行こうとすると上司の上村星矢さんに声をかけられた。
「松島さん、いっしょにお昼食べていいですか?」上村さんは熱心に仕事にとりくむまじめな上司だ。
よく女子社員から悪口を言われているようだが、本人は気にしていなさそうだった。
「いいですよ。近くのファミレスに行きましょうか。」上村さんは嬉しそうだった。
「ありがとうございます。」
 ファミレスはまだあまりこんではいなかった。
「いらっしゃいませ。2めいさまでよろしいですか?」店員さんに聞かれてわたしははいとこたえた。
適当な席にすわり、上村さんとむかいあった。
注文をおえると二人でいろいろと話していた。
「松島さんは趣味とかあるんですか?」
「ゲームとかがすきなんですよね。むかしからなんです。」上村さんはおもわずえ?という声を出していた。
「ぼくと同じです。こんど、いっしょにゲームしませんか?」うれしいおさそいだったけれど、高橋さんのことが好きだし上村さんのことをあまりしらないからことわった。上村さんはすこしがっかりしていた。
「でも意外ですね。ゲームあまりしなさそうなイメージでしたから。」そのときのわたしはたぶん笑顔だったとおもう。
「おかしいですか?いきぬきにやってるんです。」上村さんは不思議そうな顔をしていた。
「おかしくないですよ。意外だったんです。」おかしくないと聞いて上村さんは安心していた。
 昼食を食べおわるとすぐに職場にもどった。
自分の席にもどると高橋さんがわたしに近づいてきた。
「松島さん、おれあなたといるのがすごくおちつくんです。さっき、上村さんとランチに行ってましたよね?おれ、すごく嫉妬してしまったんです。おれとつきあってくれませんか?」おどろきの告白にわたしはうれしくてどきどきした。
「わたしも高橋さんが好きです。あこがれでした。わたしこそよろしくおねがいします。」わたしがそういうと高橋さんは子供のようにはしゃいでいた。すごくはずかしかったけれど、とても嬉しかった。
でも、これがわたしの悪夢のはじまりだった。
 つぎの日、いつものように職場に行くと、女子社員がわたしを見てぶつぶつとなにか言っていた。
とくに気にしなかったわたしは、自分の席で仕事をしていた。
 お昼休みになると数人の女子社員によびだされ、会社の外へ出て、誰もいない公園にきた。
「お話とはなんでしょうか?」うすうす気づいてはいた。
「あなた、高橋さんに告白されたからっていい気にならないでよね。」
「高橋さんみたいなすてきな人があなたを相手にするわけないのよ。」わたしはつきとばされた。
ころんで服についたすなをはらった。
「今すぐわかれないとあの会社にいられなくするから。」彼女たちはわたしをにらみつけていた。
それがとてもこわかった。
学生のころのいじめをおもいだしてしまいそうになった。
 しかし、わたしはわかれをつげる勇気がなくて、その後もデートに行っていた。
 そして、彼女たちはうごきだした。
 いつものように職場に行くと女子社員たちがわらっていた。
気にしないでいると上村さんがわたしに近づいてきた。
「松島さん、ぼくのこと好きってほんとですか?」わたしはおどろいた。
「上司としては好きです。でも、恋愛の感情ではないです。」嬉しそうだった上村さんはいっきに怒りの表情を見せた。
「今日の夜ぼくとディナーに行きましょう。ことわったらどうなってもしりませんからね。」いつもは見ないこわい上村さんを見て、泣きそうになった。
「わかりました。」一言そう言って仕事をはじめた。
 机の上には山のようにつまれた書類があった。
「それ、明日までに全部やっておいてくださいね。」一人の女子社員がわらって言った。
わたしはさからえずだまって仕事をした。
 高橋さんがくると、わたしはたすけてもらおうと声をかけた。
「あの、この書類、すこし手伝ってはもらえませんか?」すると、今まで優しかった高橋さんが人が変わったようにこたえた。
「それぐらい一人でやれよ。この書類もたのむから。」手伝ってくれるどころかむしろふやされた。
きっと高橋さんはわたしをうらぎったのだとさっした。
 お昼をぬいても終わることがなく、夜になってしまった。
もちろん、上村さんには仕事が終わらないからとメールをいれてひたすら仕事をした。
 なんとか仕事をやりおえ帰るころには夜中になっていた。
ねむけと疲労で会社にとまろうともおもったが家に帰ることにした。
ふらふらと歩いていると後ろからとつぜん誰かになぐられ意識を失った。
 目がさめると小さな部屋にいた。
まどはなく、ドアも鍵がかかっていた。
「やっと目がさめたんですね。」そこに上村さんが入ってきた。
「ここはぼくの家ですよ。松島さん、ぼくより仕事を優先したからいらっとしてつれてきたんですよ。」わたしはこわくてふるえていた。
「ぼくはあなたが好きです。つきあってくれませんか?」わたしはくびを横にふることしかできなかった。
「そうですか。なら、死んでください。」上村さんがほうちょうを手にとり、わたしの胸につきつけた。
「最後にもう1ど聴きます。ぼくとつきあってくれませんか?あなたを殺したくはないんですよ。」わたしは死ぬことを覚悟した。
くびを横にふった。
「残念です。さようならゆかりさん。」痛みをかんじる間もなく、わたしは意識を失い2どと目がさめることはなかった。
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