金色の花

れい

文字の大きさ
1 / 1

金色の花

しおりを挟む
 あるいなかの村にさやという心優しい女の子が妹のさきとお母さんのゆきと3人でくらしていました。3人のくらしは貧しかったけれど、さやはしあわせをかんじていました。
 ある日のことでした。二人はお母さんにたのまれて、野菜のなえをかいにいちばへでかけました。お母さんからお金をわたされたけれど、さやはなにかあったときのためにおこづかいをもって行きました。
 いちばは、たくさんの人でにぎわっていました。
「さき、はぐれないように手をつなごう。」さやは右手をさきにさしだしました。さきはその手をぎゅっとにぎりさやについて行きました。
 お母さんからたのまれていたのはなすびのなえと、えんどう豆のなえでした。その2つはすぐにみつかりました。
「おじさん、この2つください。」さやがそう声をかけるとおくからすこし太めのおじさんがにこにこしながらでてきました。
「さやちゃんにさきちゃん、いつもおつかいたいへんだね。」おじさんがそういうとさやはくびをよこにふりました。
「いいえ。お母さんよろこんでくれるし、さきとおつかいはたのしいから。」さやのあとでさきもつづけて言いました。
「わたしもお姉ちゃんとおつかいたのしい。」そんな二人をみて、おじさんはなんだかうれしくなりました。
 お金をはらい、帰ろうとしたとき、小さなお花屋さんをみつけました。そこには白くて小さいお花がおかれていました。どこにでもありそうなお花なのに二人はじっとみてしまいました。するとお花屋さんにいたおばあさんが二人にはなしかけました。
「その花を気に入ったんなら1つかっていくかい?」だけど、お母さんにわたされたお金はもうありません。さやがことわろうとするとさきがあかるいこえで言いました。
「このお花ほしい。」目をかがやかせているさきをみて、さやはもってきたおこづかいをだし、おばあさんにわたしました。
「いいかい?この花はいいそだて方をすると金色にかわって、それはそれは美しくなるけれど、まちがえばすぐかれてしまうんだ。このことをわすれないように。」さやはその話をしんじなかったけれど、さきはすっかりしんじてしまいました。
 家に帰るとお母さんはお花をみておどろきました。
「お前たち、お母さんがわたしたお金はなえのお金だけだよ。そのお花はどうしたの?」すこしおこっているお母さんにさやは言いました。
「わたしのおこづかいでかったの。わたしもさきもほしかったから。」おかあさんはふっと一息ついて二人に言いました。
「ならしかたないわね。ちゃんとそだてるのよ。」さきはとびはねてよろこびました。
「やったー。金色のお花にそだてるぞ。」お母さんはなんのことかわからなかった。
 つぎの日、水をあげようとさやがお花をみにいくと、昨日よりもすこし大きくなっていました。それにすこしおどろいたさやでしたが、きっと気のせいだとおもっていました。
 水をあげおわるとお花に話しかけました。
「お前はちいさくてきれいだね。あのとき、かってよかった。」そう一言いうと、さやは家のなかへはいっていきました。
 今日は村のお祭りの日です。二人ともはりきって準備していました。この日のためにお母さんはさやにゆかたをつくってあげていました。もちろんそのことは内緒にしていました。
 「さや、おいで。」お母さんによばれてさやはとなりの部屋までいきました。たんすからきれいな赤いゆかたとおびをお母さんがとりだしてさやにみせました。
「どう?いつも頑張ってるさやへのごほうび。」さやはとてもよろこびました。
「ありがとうお母さん。すごくきれい。」はやくこのゆかたをきて、お祭りにいきたいとおもいました。すると、それをさきがみつけました。
「お姉ちゃんだけずるい。わたしのは?」お母さんはこまったようにさやがむかしきていたゆかたをみせました。
「ごめんね。さきのぶんはつくれなかったの。」さきは、ついになきだしてしまいました。それをみたさやは、かわいそうになり、お母さんにおもいきって言いました。
 「お母さん、ごめん。たいへんだろうけど、これ、さきのためにつくりなおして。」それを聞いたお母さんは、さやのやさしさにおどろきました。ずっときたがってたきれいなゆかたを妹にあげるのです。
「さや、いいの?ずっときたがってたじゃない。」
「うん。でも、さきがしあわせなほうがいいから。」お母さんは、ゆかたをつくりなおすことにしました。
「さき、お姉ちゃんがゆずってくれたよ。」さきはなきやみ、さやにありがとうと言いました。
 お祭りの夜もさやはさきのお願いをきき、自分のほしいものはなに1つかいませんでした。
 つぎの日、さやがお花をみにいくと、そこには金色のきれいなお花がさいていました。さやは、おどろきました。なにも特別なことはしていないからです。
さやは部屋にもどり、さきにつたえた。
「さき、お花が金色になってるよ。」それを聞いたさきは、いそいでお花のところへいきました。
「すごーい。ほんとにさいてる。すごいすごーい。」さやもこのときはとてもうれしかったのです。
 そこに、たまたまお金持ちの人がとおりかかり、そのお花をみておどろきました。
「金色の花とはめずらしい。これをそだてたのはあなたたちですか?」そう聞かれるとさきはこたえました。
「いいえ。お姉ちゃんだよ。」それをきいたお金持ちの人はさやにいいました。
「なにかほしいものはありませんか?めずらしいものをみせてもらったおれいをしたいのですが。」さやは、すこしかんがえてこたえました。
「それでは1つだけ、お母さんと妹にきれいなきものをください。」
「あなたはなにもなくていいのですか?」さやはうなずいた。
 その日から、金色のお花のうわさはひろまり、みんながひとめみたいとあつまってきました。
 ある夜、さやの夢にかわいい女の子がでてきました。
「わたしは、あなたがそだてた花です。わたしはあなたのやさしさでそだちました。ありがとうございます。あなたにしあわせがありますように。」
 つぎの日の朝、夢のことをおもいだしたさやは、今がしあわせなんだよと金色のお花にむかっていいました。気のせいか、ありがとうときこえたきがしました、
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

義務ですもの。

あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

処理中です...