1 / 184
プロローグ
第一話 プロローグ
しおりを挟む
神界......そこは神々が暮らす世界。
神界には古くから伝わるある説話が神々の間では有名だった。
鬼神と呼ばれる悪神が現れたら、神界は襲われ滅びる。そして世界から私たち神々は消え、人間たちは皆不幸になる。最悪な世の中になってしまうのだ......と。
しかしその説話は、鬼神が世界を滅ぼしたのではなく、鬼神に取り憑かれた神界の神が世界を滅ぼしたという説もある。その説話を......"鬼使神差"と皆は呼んでいる。
鬼使神差とは人間界のある国の言葉だ。意味は『まるで物のけに取りつかれたかのようである』ということらしく、説話にピッタリな言葉だったため、ある神がそう呼ぶようにした。すると、どんどん広まっていき、今では鬼使神差は有名になった。
その説話は誰が考えたのかは分からない。
本当にそんなことが起こるのだろうか?
恐ろしい話だ。神々はその恐ろしい説話を知ってはいるものの口にはしなかった。
......しかし。
ある時、事件は起きてしまう。
世界から突然光は消えた。
鬼使神差......これは鬼神と神々の一つの物語だ。
✿❀✿❀✿
ーここは......どこ...?
"彼"はゆっくりと起き上がった。
地面は濡れている......浅い湖のようだ。
一体どれぐらい眠っていたのだろうか。
そう考えていると、後ろから水の跳ねると音一緒に足音が聞こえてきた。
振り返ると、髪の長い角が生えた男が立っていた。
男は涼しげな顔をしているが、どこか怪しさを感じられる。
『目覚めたようですね。安心しました』
ー君は...誰?......えっと...僕は......誰...だっけ......
昔のことがどうも思い出せない。
まるで今生まれてきたばかりのように一つも思い出せないのだ。
自分の名前も......自分は何者なのかも分からない。
すると男は"彼"の側まで来てしゃがんだ。
『◆◆◆様、貴方様はこの国の王でございます。私はいつも貴方のそばにいた●●●●●●●です。貴方様は戦い中大怪我をされて......戦いの後、眠りについてしまったのです』
ー◆◆◆......王...●●●●●●●...戦い......?ごめんなさい。僕...記憶がなくて......。
戦いとはどんな戦いだったのだろうか。そして自分は王だったのか。
何があったか思い出せないが、この国の王であるのに戦い中に大怪我をし、眠りについた。そして記憶がないとは......なんだか情けなく感じてくる。
"彼"は水面に映る自分の顔を眺めた。
『大丈夫ですよ。また"新しい"思い出を作っていけば良いのですから』
ー思い出してはいけないの?
『そうですね......いけませんよ』
ーうっ...。
頭がズキっと痛くなった。
何か忘れているような気がする。...少し...いや、とても大切なことを。
頭痛が治まり、空を見上げる。
真っ暗な空にとても大きな月が輝いている。
それはスポットライトかのように自分だけを照らしているようにも見える。
ー僕は何者なんだろう。
全く思い出せない。
...まぁそれでも良い。思い出したらいけない...というぐらいなのだから、きっと残酷な過去なのだろう。
湖で眠っていたため、髪や服は濡れ、雫がぽたぽたと零れていく。この静かな空間に、雫が零れる音が響いている。
ーん...?
水面に映る自分の左首には薄くなった傷痕が見えた。
不思議に思い、辿ってみると、右腕脇腹まで続いていた。
...そして自分の右腕がないことに気づいた。誰かに斬り落とされたのだろうか。しかし今はもう痛まない。
何となく左手に力を入れると、手から黒い光を出すことが出来た。
これを試しに右腕肩に当ててみる。...すると新しい腕を作り出すことが出来た。
同じ肌色ではなく、黒色だが、腕がないよりはマシだ。
ーどうしてこんなに傷だらけなんだろう...。
...なら、思い出さない方が良いのかもしれない。
前の自分が記憶を消したのかもしれないし......。
風が吹いた。
"彼"はゆっくりと立ち上がった。
濡れた長い髪の毛と濡れた黒いマントをなびかせる。
『行きましょう。◆◆◆様。皆が貴方様のことを待っています』
皆とは誰だろう。
分からないが、ずっとここにいる訳には行かない。
"彼"は小さく頷き、男について行った。
神界には古くから伝わるある説話が神々の間では有名だった。
鬼神と呼ばれる悪神が現れたら、神界は襲われ滅びる。そして世界から私たち神々は消え、人間たちは皆不幸になる。最悪な世の中になってしまうのだ......と。
しかしその説話は、鬼神が世界を滅ぼしたのではなく、鬼神に取り憑かれた神界の神が世界を滅ぼしたという説もある。その説話を......"鬼使神差"と皆は呼んでいる。
鬼使神差とは人間界のある国の言葉だ。意味は『まるで物のけに取りつかれたかのようである』ということらしく、説話にピッタリな言葉だったため、ある神がそう呼ぶようにした。すると、どんどん広まっていき、今では鬼使神差は有名になった。
その説話は誰が考えたのかは分からない。
本当にそんなことが起こるのだろうか?
恐ろしい話だ。神々はその恐ろしい説話を知ってはいるものの口にはしなかった。
......しかし。
ある時、事件は起きてしまう。
世界から突然光は消えた。
鬼使神差......これは鬼神と神々の一つの物語だ。
✿❀✿❀✿
ーここは......どこ...?
"彼"はゆっくりと起き上がった。
地面は濡れている......浅い湖のようだ。
一体どれぐらい眠っていたのだろうか。
そう考えていると、後ろから水の跳ねると音一緒に足音が聞こえてきた。
振り返ると、髪の長い角が生えた男が立っていた。
男は涼しげな顔をしているが、どこか怪しさを感じられる。
『目覚めたようですね。安心しました』
ー君は...誰?......えっと...僕は......誰...だっけ......
昔のことがどうも思い出せない。
まるで今生まれてきたばかりのように一つも思い出せないのだ。
自分の名前も......自分は何者なのかも分からない。
すると男は"彼"の側まで来てしゃがんだ。
『◆◆◆様、貴方様はこの国の王でございます。私はいつも貴方のそばにいた●●●●●●●です。貴方様は戦い中大怪我をされて......戦いの後、眠りについてしまったのです』
ー◆◆◆......王...●●●●●●●...戦い......?ごめんなさい。僕...記憶がなくて......。
戦いとはどんな戦いだったのだろうか。そして自分は王だったのか。
何があったか思い出せないが、この国の王であるのに戦い中に大怪我をし、眠りについた。そして記憶がないとは......なんだか情けなく感じてくる。
"彼"は水面に映る自分の顔を眺めた。
『大丈夫ですよ。また"新しい"思い出を作っていけば良いのですから』
ー思い出してはいけないの?
『そうですね......いけませんよ』
ーうっ...。
頭がズキっと痛くなった。
何か忘れているような気がする。...少し...いや、とても大切なことを。
頭痛が治まり、空を見上げる。
真っ暗な空にとても大きな月が輝いている。
それはスポットライトかのように自分だけを照らしているようにも見える。
ー僕は何者なんだろう。
全く思い出せない。
...まぁそれでも良い。思い出したらいけない...というぐらいなのだから、きっと残酷な過去なのだろう。
湖で眠っていたため、髪や服は濡れ、雫がぽたぽたと零れていく。この静かな空間に、雫が零れる音が響いている。
ーん...?
水面に映る自分の左首には薄くなった傷痕が見えた。
不思議に思い、辿ってみると、右腕脇腹まで続いていた。
...そして自分の右腕がないことに気づいた。誰かに斬り落とされたのだろうか。しかし今はもう痛まない。
何となく左手に力を入れると、手から黒い光を出すことが出来た。
これを試しに右腕肩に当ててみる。...すると新しい腕を作り出すことが出来た。
同じ肌色ではなく、黒色だが、腕がないよりはマシだ。
ーどうしてこんなに傷だらけなんだろう...。
...なら、思い出さない方が良いのかもしれない。
前の自分が記憶を消したのかもしれないし......。
風が吹いた。
"彼"はゆっくりと立ち上がった。
濡れた長い髪の毛と濡れた黒いマントをなびかせる。
『行きましょう。◆◆◆様。皆が貴方様のことを待っています』
皆とは誰だろう。
分からないが、ずっとここにいる訳には行かない。
"彼"は小さく頷き、男について行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
とある中年男性の転生冒険記
うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
スーパーのビニール袋で竜を保護した
チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。
見つけ次第、討伐――のはずだった。
だが俺の前に現れたのは、
震える子竜と、役立たず扱いされたスキル――
「スーパーのビニール袋」。
剣でも炎でもない。
シャカシャカ鳴る、ただの袋。
なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。
討伐か、保護か。
世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。
これは――
ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる