44 / 184
ー光ー 第三章 旅の後
第四十三話 対策
しおりを挟む
食事終えた後、また昨日の夜のように残ってもらった。
そして、天万姫は昨日、天光琳の耳元で悪神の声が聞こえたことを細かく話してくれた。
皆は驚き、昨日天俊熙が言った『今も近くにいたり...』と言うことも可能性はゼロではなくなった。
「そんな事があったのか......大丈夫か...?」
天俊熙は天光琳を見て心配そうに言った。
「母上が助けてくださったので大丈夫でした」
そう言うと、天俊熙、として天麗華もホッと息を吐いた。
「だから...光琳を一神にするのは危険だと思うの......」
天万姫がそう言うと皆は考え込んだ。
(...神の力が使えない、みんなにいつも迷惑を掛けてしまっているのに、さらに迷惑をかけることになる...)
天光琳は申し訳ない気持ちになり、下を向き、両手を膝の上で強く握りしめた。
天光琳のそばに必ず一神いるとなると、その一神の分の仕事を誰かが変わりにやらなければいけないことになる。
迷惑な話だ。
「皆さん忙しいと思うので......護衛神の方に傍にいてもらうことにしようかと......」
「それはダメよ」
天光琳が顔を上げ言うと、天万姫は否定した。
天光琳には何故ダメなのか分からなかった。
......天光琳が人見知りな性格だからだろうか。それとも護衛神だと信用出来ないからなのだろうか...。
「言いにくいのだけれど......護衛神の中には貴方を悪く言う神だっているわ。見かけたら直ぐに注意しているけれど......貴方が悪口を言われないか心配なのよ......」
なるほど、と天光琳は納得した。
...いや、自分が神の力を使えればこんな事にならないので納得はしたくないのだが...。
花見会の時、天光琳が美しい舞を披露したことにより天光琳への考え方が変わった護衛神もいるのだが......やはり考え方が変わらず、天光琳を嫌う神が多くいる。
中には周りの意見に流されているものだっている。
天万姫達は天光琳の悪口を言っている護衛神を見つけると、すぐに注意している。それでも治らなかった場合、城から追放したりしている。
しかしその事は天光琳には言っていない。
自分が神の力の力を使えていれば...なんて自分を責めてしまう性格だからだ。
「なら私が...」
天麗華は言いかけたが、天宇軒が首を横に振ったため、言うのを辞めた。
「天俊熙はどうだ」
何故天俊熙なのだろう。
何か理由でもあるのだろうか。
天光琳が天俊熙の方を見ると、天俊熙は目を大きく見開き、天宇軒の方を見た。
「あぁ確かに」
「同い年だし、いいと思うわ」
天浩然と天語汐がそういい、天俊熙の方を見ると天俊熙は考え事をしているようで、下を向いていた。
「俊熙...?」
天李偉が聞くと、天俊熙は我に返ったようで、顔を上げた。
「......あ、はい!俺もそうしようかと思っていたので大丈夫です!」
嫌なのだろうか。......いや、そうには見えない。
天俊熙は笑顔で答えたあと、一度天宇軒の方を見た。
そして皆が天俊熙から視線を逸らすと、天俊熙はまた考え込んだ。
(...?)
その様子を天光琳は見逃さなかった。
何か天宇軒を疑っているような感じがした。
確かに姉である天麗華ではなく天俊熙を指名したところに違和感がある。天光琳もそれは不思議に思った。
しかし天俊熙はそれだけでは無さそうだ。
天宇軒が指名したあと、驚いていた様子だったのも不思議だ。
天宇軒も天俊熙も何か考えがあるようで、それが何かは全く分からない。
(...どうしたんだろう......)
天光琳は考えすぎて頭が痛くなった。
「俊熙、頼んだぞ」
「あー、はい。分かりました」
天俊熙はまた笑顔に戻った。
「でも...」
天光琳は嫌ではなかった。しかし、どうしても申し訳ない気持ちは消えず、不安そうに言った。
「いいじゃん。草老師に教えて貰えるしさ、また一緒に修行と稽古しに行こうぜ!」
天俊熙は全然気にしていないぞ...という顔をして言ったため、天光琳は安心して笑顔で頷いた。
「私はずっとは難しいけれど、なるべく光琳の近くにいるようにするわ」
「姉上...」
天光琳はそういい、天麗華を見ると、天麗華はウインクをした。
「貴方は私の大切な弟よ。何かあったら困るもの」
天麗華がそう言うと、天光琳の心は温かくなった。
天麗華は奇跡の神のため、毎日沢山人間の願いを叶えたり、国の仕事をしたりなどで忙しい。
本当は姉として、弟をしっかり守りたかったのだが......天麗華は悔しい気持ちになった。
「あ、あと...一神部屋って危ないわよね......また昨日の夜のようになってしまったら大変だわ」
天麗華がそう言うと、皆はまた考え込んだ。
部屋は一神部屋のため、夜は危険すぎる。
...というより、昨日のことを考えると一神で寝ている夜が一番狙いやすいだろう。
また誰かの部屋で寝るか......。
(迷惑だ...)
天光琳がそう思っていると天宇軒がテーブルに両肘をつき、口を開いた。
「一階にある浩然の部屋の近くに使っていない広い部屋がある。そこを今日から二神の部屋にしたらどうだ」
二神とは天光琳と天俊熙のことである。
すると、天麗華は残念そうな顔をした。
また自分はダメなのか...と。
「一応、部屋の外には護衛神をつけよう」
「了解です、ありがとうございます!いいよな、光琳?」
「うん...!」
こうして、一応天光琳は一神でいることは少なくなり、悪神に襲われる可能性は低くなっただろう。
そして、天万姫は昨日、天光琳の耳元で悪神の声が聞こえたことを細かく話してくれた。
皆は驚き、昨日天俊熙が言った『今も近くにいたり...』と言うことも可能性はゼロではなくなった。
「そんな事があったのか......大丈夫か...?」
天俊熙は天光琳を見て心配そうに言った。
「母上が助けてくださったので大丈夫でした」
そう言うと、天俊熙、として天麗華もホッと息を吐いた。
「だから...光琳を一神にするのは危険だと思うの......」
天万姫がそう言うと皆は考え込んだ。
(...神の力が使えない、みんなにいつも迷惑を掛けてしまっているのに、さらに迷惑をかけることになる...)
天光琳は申し訳ない気持ちになり、下を向き、両手を膝の上で強く握りしめた。
天光琳のそばに必ず一神いるとなると、その一神の分の仕事を誰かが変わりにやらなければいけないことになる。
迷惑な話だ。
「皆さん忙しいと思うので......護衛神の方に傍にいてもらうことにしようかと......」
「それはダメよ」
天光琳が顔を上げ言うと、天万姫は否定した。
天光琳には何故ダメなのか分からなかった。
......天光琳が人見知りな性格だからだろうか。それとも護衛神だと信用出来ないからなのだろうか...。
「言いにくいのだけれど......護衛神の中には貴方を悪く言う神だっているわ。見かけたら直ぐに注意しているけれど......貴方が悪口を言われないか心配なのよ......」
なるほど、と天光琳は納得した。
...いや、自分が神の力を使えればこんな事にならないので納得はしたくないのだが...。
花見会の時、天光琳が美しい舞を披露したことにより天光琳への考え方が変わった護衛神もいるのだが......やはり考え方が変わらず、天光琳を嫌う神が多くいる。
中には周りの意見に流されているものだっている。
天万姫達は天光琳の悪口を言っている護衛神を見つけると、すぐに注意している。それでも治らなかった場合、城から追放したりしている。
しかしその事は天光琳には言っていない。
自分が神の力の力を使えていれば...なんて自分を責めてしまう性格だからだ。
「なら私が...」
天麗華は言いかけたが、天宇軒が首を横に振ったため、言うのを辞めた。
「天俊熙はどうだ」
何故天俊熙なのだろう。
何か理由でもあるのだろうか。
天光琳が天俊熙の方を見ると、天俊熙は目を大きく見開き、天宇軒の方を見た。
「あぁ確かに」
「同い年だし、いいと思うわ」
天浩然と天語汐がそういい、天俊熙の方を見ると天俊熙は考え事をしているようで、下を向いていた。
「俊熙...?」
天李偉が聞くと、天俊熙は我に返ったようで、顔を上げた。
「......あ、はい!俺もそうしようかと思っていたので大丈夫です!」
嫌なのだろうか。......いや、そうには見えない。
天俊熙は笑顔で答えたあと、一度天宇軒の方を見た。
そして皆が天俊熙から視線を逸らすと、天俊熙はまた考え込んだ。
(...?)
その様子を天光琳は見逃さなかった。
何か天宇軒を疑っているような感じがした。
確かに姉である天麗華ではなく天俊熙を指名したところに違和感がある。天光琳もそれは不思議に思った。
しかし天俊熙はそれだけでは無さそうだ。
天宇軒が指名したあと、驚いていた様子だったのも不思議だ。
天宇軒も天俊熙も何か考えがあるようで、それが何かは全く分からない。
(...どうしたんだろう......)
天光琳は考えすぎて頭が痛くなった。
「俊熙、頼んだぞ」
「あー、はい。分かりました」
天俊熙はまた笑顔に戻った。
「でも...」
天光琳は嫌ではなかった。しかし、どうしても申し訳ない気持ちは消えず、不安そうに言った。
「いいじゃん。草老師に教えて貰えるしさ、また一緒に修行と稽古しに行こうぜ!」
天俊熙は全然気にしていないぞ...という顔をして言ったため、天光琳は安心して笑顔で頷いた。
「私はずっとは難しいけれど、なるべく光琳の近くにいるようにするわ」
「姉上...」
天光琳はそういい、天麗華を見ると、天麗華はウインクをした。
「貴方は私の大切な弟よ。何かあったら困るもの」
天麗華がそう言うと、天光琳の心は温かくなった。
天麗華は奇跡の神のため、毎日沢山人間の願いを叶えたり、国の仕事をしたりなどで忙しい。
本当は姉として、弟をしっかり守りたかったのだが......天麗華は悔しい気持ちになった。
「あ、あと...一神部屋って危ないわよね......また昨日の夜のようになってしまったら大変だわ」
天麗華がそう言うと、皆はまた考え込んだ。
部屋は一神部屋のため、夜は危険すぎる。
...というより、昨日のことを考えると一神で寝ている夜が一番狙いやすいだろう。
また誰かの部屋で寝るか......。
(迷惑だ...)
天光琳がそう思っていると天宇軒がテーブルに両肘をつき、口を開いた。
「一階にある浩然の部屋の近くに使っていない広い部屋がある。そこを今日から二神の部屋にしたらどうだ」
二神とは天光琳と天俊熙のことである。
すると、天麗華は残念そうな顔をした。
また自分はダメなのか...と。
「一応、部屋の外には護衛神をつけよう」
「了解です、ありがとうございます!いいよな、光琳?」
「うん...!」
こうして、一応天光琳は一神でいることは少なくなり、悪神に襲われる可能性は低くなっただろう。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる