鬼使神差〜無能神様が世界を変える物語〜

天楪鶴

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ー光ー 第四章 玲瓏美国

第五十七話 到着

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 しばらくして光がおさまり、三神は目を開けた。
 初めて見る景色......ガラス張りの建物のため、外がよく見える。 
 ここは玲瓏美国だ。


「......わぁ!!」


 天光琳はガラスにへばりつき、目を輝かせながら外の景色を見た。
 天俊熙も走って隣に来た。


「おぉー!凄い!」


 天俊熙も驚いた。
 キラキラと輝く美しい髪飾りをつけ、美しい衣装を着た神々に、美しい街。

 ...だが、何か違和感がある。


「あ......俊熙、木が緑色だよ!」

「本当だ!桜じゃない!」


 年中桜が咲いている桜雲天国では、緑色の木が見られない。
 そのため違和感を感じたのだ。

 人間の願いを叶えるときに、人間界を映す鏡で、葉が緑色の木を見たことはあるが、この目で直接見たのは初めてだった。


「ふふふ、二神とも、もうすぐお祖父様が来るわよ」


 外を眺めて楽しそうにはしゃいでいる二神は姿勢を正した。
 足音が聞こえてくる。

 そして扉が開いた。


「やぁ、花見会ぶりだな!琳くん、麗ちゃん、俊くん!よく来たな!」


 相変わらず元気な美梓豪が両手を広げて三神を抱きしめた。


「お...お祖父様...」

「あはは、梓豪様、痛いです」

「...く...苦しい......」

「あぁすまない!」


 真ん中にいる天光琳は潰れて息が出来なかった。

 美梓豪は三神を離し、天光琳が無事なのを確認すると、また笑顔になった。


「一昨日、宇軒くんから連絡が来てから、ずっと待っていたんだぞ!...さぁ
 、こっちへ」


 美梓豪がそう言うと、護衛神らしき三神が、天光琳たちの荷物と天光琳の剣を変わりに持ってくれた。
 そしてガラス張りの陣の部屋から出た。

 どうやらここも城につながってきる塔のようだ。
 しかし桜雲天国の城とは違い、八階建てで、八階には渡り廊下があるため、いちいち一階まで降りる必要は無い。

 渡り廊下を通り終わると、荷物を持ってくれている護衛神は天光琳たちとは別の方向に曲がった。
 どうやら部屋に置いてきてくれるそうだ。

 天光琳と天俊熙は辺りをキョロキョロと見ながら美梓豪について行った。

 玲瓏美国の城はガラスの面積が多い。
 城の中から美しい街が見えるようにするための工夫だろうか。

 街は賑わっていて、楽しそうだ。
 神々の髪飾りや建物の飾りがキラキラしているのが、城にいても分かる。

 また建物はオシャレなものばかりだ。
 少し不思議なデザインだが、おかしくない。
 そして普通の神の家も大きく、一件一件が豪邸のようだ。


「さすが二位の国だよな」

「ねー、凄すぎる!」


 天俊熙と天光琳は小さい声で話した。

 玲瓏美国は国の評価が高く、二位の国なのだ。

 ちなみに桜雲天国は五位。
 そこまで差はないのだが、やはり二位の玲瓏美国とは全然違うように感じる。


「うわぁー!俊熙、上見て見て、大きなシャンデリアだ!!」


 天光琳は上にあるシャンデリアを指さして言った。


「でか...すごいなぁー!」


 桜雲天国の城にもシャンデリアはあるのだが、こんなに大きくて美しいシャンデリアは見たことがない。


「おぉー!こっちには大きな水槽がある!なんだろうこのお魚さん...」

「なんだろう...見たことないな...」


「ふふ」


 楽しそうにはしゃいでいる二神を見て天麗華が微笑むと、美梓豪も続けて笑った。

 歩くこと役二分。
 四神は大きな扉の前で立ち止まった。
 すると扉の両隣に立っていた護衛神らしきものが扉を開けた。

 すると......。


「わぁあ~!!」「おぉ~!」


 二神は目を大きく見開いた。
 扉が開いた途端、良い香りが鼻の中に広がった。
 それは料理の匂いだった。

 そしてテーブルの両端に美家の神々が座っていた。
 三神は軽く挨拶をした。


「お腹がすいただろう?そろそろ昼食の時間だし、まずは自己紹介も兼ねて、ご飯を食べながら話そう!」


 豚の丸焼きにフライドポテト、ハンバーガーにピザ、これはチーズフォンデュだろうか。ジャンクな食べ物が多いと思ったらデザートはマカロンにケーキ、カップケーキなど可愛らしいものばかりだ。

 大きなテーブルに沢山の料理が並べてある。
 桜雲天国は自分の量の料理を、小皿で何枚も自分の前に置かれる感じだが、玲瓏美国では大皿でみんなで取り分けて食べることになっているようだ。


「これは...ついつい食べすぎちゃうな」

「どれも美味しそう...太っちゃうね」

「二神とも気をつけてね、どれも美味しいわよ」


 天麗華がそう言ったことにより、天光琳は今すぐに食べたい...と思った。


「さぁさぁ、席に座って!」


 待ちきれない!という顔をしていたのに気づき、美梓豪がそう言うと、護衛神らしき数名の神が三神を席へ案内してくれた。

 美梓豪の右隣には王妃らしき女神が座り、二神の前に天麗華、天光琳、天俊熙の順でが座った。

 王妃の隣には三十代の男神が座り、その隣には同じく三十代の女神が座っている。そしてその隣にはフリルの着いた可愛らしい衣装を着た四歳ぐらいの女神が座っている。

 戻るが、天俊熙の隣には十十歳ぐらいの男神と、大人しそうな女神が座っている。

 誰だか全く分からない天光琳と天俊熙は座る前になんとなく会釈をしてから座った。


「さて、頂くとしよう!」


 そう言うと、いただきまーす、と言って天光琳はハンバーガーを一つとって、両手で持ちながら食べた。

 すると中に入っているハンバーグから肉汁がジュワッと零れ、とても美味しかった。


「美味しい!!」

「じゃあ俺も!」


 天光琳が美味しそうに食べていたため、天俊熙も一口かじった。


「うま~!なぁ、このチキンも美味しいぞ!」

「ほんと?......ん~っ、美味しい!でも少し辛い!」


 天俊熙がおすすめしてくれたチキンは美味しいがピリ辛だった。

 天光琳は辛いのが苦手なのだが美味しく食べられるレベルだった。


「はっはっは、良かった良かった!」


 美梓豪は幸せそうに笑った。

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