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ー光ー 第七章 焦る仲間
第九十一話 思い出せない
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「光琳!!」
「ぶへっ」
天万姫は天光琳を見た瞬間走ってきて抱きしめた。
勢いのあまり、天光琳は潰れ変な声が出てしまった。
「ちょ......万姫様......光琳、まだ怪我治ってないんじゃ......」
「あっ......」
後ろから歩いてきた天俊熙がそう言うと、天万姫ははっと気づき、天光琳から離れた。
「ごめんなさい、大丈夫...?」
「あー、大丈夫です。もうほとんど治っていますので......」
そう言うと、天万姫は安心した。
「おかえり。......あ、そうだ。お前...大丈夫だったか?」
「なに...が...?」
「京極の母に何か言われなかったか...?」
天俊熙がそう言った瞬間、天光琳はギクッとした。言われた...どころか、殺されそうになった。しかしこんなところで言ってしまうと、天万姫が必要以上に心配してしまう。
「い、言われてないよ、大丈夫......」
「んー...なら......いいけど......」
天光琳は心配されたくないため、笑顔で言った。
しかし天俊熙は眉をひそめた。
(帰ってきたばかりで疲れてるからか......?やっぱりなんか......笑顔が......前とは違う......気がする)
天俊熙が桜雲天国に帰ってくる前、天光琳は目覚めたばかりであまり笑うことは無かった。
京極伽耶斗の死や京極庵の体のこと、京極の親に怒鳴られたことなど、様々なことがあったからだ。
......そして、天俊熙と天李偉が帰国してからしばらくたった。
しかし天光琳はいつものように明るい笑顔は見せなかった。
天万姫もそれに気づいたらしく、心配そうな顔をしている。
だが、今大丈夫か聞いても、天光琳は『大丈夫』しか答えないだろう。
それに燦爛鳳条国での辛い思い出を思い出してしまう可能性は高い。
そのため、聞かずに心配そうに見ているだけだった。
「光琳、麗華。帰ったか」
後ろから声が聞こえ、振り返ると、いつの間にか天宇軒がいた。
天宇軒は腕を組んで堂々と立っている。
「話を聞かせてもらおう。片付けて休憩したあとに、俺の部屋へ来てくれ」
「「はい」」
二神は天宇軒の方を向き、返事をした。
天光琳は報告したいことが沢山あった。
特に悪神は鬼神だと......そして名前は......
(あれ......名前......鬼神の名前は.........なんだっけ?)
何故か名前が思い出せなかった。
まるで鬼神が他人に言うな...と言っているかのように、全く思い出せない。
「どうした?......傷が痛むのか...?」
「......あっ、な、なんでもない......大丈夫......」
天光琳の焦った表情を見て、天俊熙は心配そうに聞いた。
別に鬼神の名前はそこまで大切な訳では無いだろう。
そこまで気にしなくても良いことだろう......と天光琳は思い、荷物を片付けに行った。
✿❀✿❀✿
片付けが終わり、天光琳と天麗華、改めて天俊熙と天李偉の二神も天宇軒の部屋へ行った。
「......やはりあの悪神は鬼神だったのか」
「鬼神って......本当に存在するんですね......」
天李偉が顔を青ざめながら言った。
鬼神の説話は誰でも知っている有名な話だ。
そして良い話では無い。
「......でも、そんな鬼神を、光琳が倒したのよ。光琳は英雄だわ」
「そうだぞ、お前は英雄だ」
「え、えぇ......?」
天光琳は褒められるのに慣れていないため、返しに困った。
それに天光琳だけではなく、京極庵と京極伽耶斗の力があったから倒せたのだ。
...それに京極伽耶斗は命をかけて守ってくれた。
そのため、英雄と言われても喜べなかった。
「鬼神は何か言っていなかったか?」
「えぇ...っと......」
天宇軒に聞かれ、天光琳は一生懸命思い出した。......しかし、何故か思い出せない。
「それが......思い出せないんです......」
天光琳は怒られるのではないかとビクビクしながら小さな声で言った。
「思い出せない?」
「は......はい......。顔も名前も姿も......。すごめんなさい......」
天宇軒は眉をひそめた。
何か考えているようだ。
天光琳はいつ怒鳴られても良いように、心の準備をした。
「......庵は.....?」
「あ......!」
天俊熙はハッと思いつき、聞いた。
しかし、天麗華は首を振った。
「......残念ながら庵くんも覚えてないそうよ」
「......え...?」
天宇軒の表情はさらに険しくなった。
「......光琳が目覚める前、庵くんに聞いたんだけど......庵くんも、名前や顔、何を話していたのかも思い出せない...って言っていたわ。覚えているのは悪神が鬼神だってことや、光琳と戦っていた時のことだけ......」
「僕と同じだ......」
二神とも覚えていないのは同じようだ。
「戦ったことを思い出せるなら、姿とか顔とか分からないの?」
天李偉はこの話を早く終わらせたいと興味無さそうに言った。
しかし天光琳は首を横に振った。
「何故か姿は真っ黒に塗りつぶされているような感じで......思い出そうとしても、思い出せないのです......」
「......」
天宇軒は何か考えているようで視線を横に逸らした。
天光琳は目を閉じ、必死に思い出そうとしているが、やはり無理だった。
「二神とも同じなら......恐らく鬼神が二神の記憶を消したのかもしれないわね......」
天麗華が言うと、天宇軒は頷いた。
「その可能性は高い」
何故消したのかは分からない。
鬼神は天光琳に倒される前、急いで記憶を消したのかもしれない。
しかし鬼神はもういない。
そこまで怖がる必要はないだろう。
「何か思い出したらすぐに教えてくれ」
「...はい」
「以上だ。戻って良い」
天宇軒がそう言うと、四神は礼をした。
天宇軒はこの後仕事があるようで、机の横に寄せてあった紙の山を自分の近くまで持ってきた。
仕事の邪魔になるため、四神は部屋を出た。
「んー、俺も仕事が沢山残ってるんだよな」
「私もよ、早く終わらせましょー」
天俊熙は背伸びをし、嫌そうに言った。
天李偉も残っているようだ。
「姉上は......?」
「今日はないわ。だから......人間の願いを叶えに行こうかしら」
皆やることがあって忙しそうだ。
また天宇軒が神王星連杰を説得してくれたようで、今週......と言ってもあと三日だが、人間の願いは叶えなくて良いそうだ。
しかし天麗華は人間の願いを叶えることが好きなため行くそうだ。
(......僕は...久しぶりに修行と稽古しようかなぁ......)
悪神を倒したため、もう誰かが近くにいなくても良くなった。
そのため、前みたいに修行や稽古を詰め込むことができる。
「あ、そーだ、お前、修行行くんだろ?」
「なんで分かるの...?!」
「お前のことだし、行くかなって思っただけ」
やはり分かってしまうか...と天光琳は思った。
「治ったばかりなんだし、無理すんなよ」
「分かってるよ」
この後、天光琳は準備をして、天桜山へ向かった。
久しぶりの修行と稽古。草沐阳は待ってましたと待ち構えていて、今までよりテンションが高かった。
休憩をしっかり取りながら無理の無い修行と舞をし、夕食の時間まで頑張った。
城に戻ってきて、夕食を食べたあと、部屋に戻ってきた。
そして部屋は変わらず天俊熙と同じ部屋だ。
戻っても良いのだが、二上は家具の移動がめんどくさい......とそのままということになった。
ベッドに横になった天光琳は、百年ぶりに寝転がったような感覚がした。
怪我でずっと寝転がっていたが、病院のベッドは固くて正直寝心地が悪かった。
ベッドに寝転がると、すぐに眠気が襲ってきて、天光琳は目を閉じた。
天俊熙が電気を消し、二神はぐっすりと眠った。
「ぶへっ」
天万姫は天光琳を見た瞬間走ってきて抱きしめた。
勢いのあまり、天光琳は潰れ変な声が出てしまった。
「ちょ......万姫様......光琳、まだ怪我治ってないんじゃ......」
「あっ......」
後ろから歩いてきた天俊熙がそう言うと、天万姫ははっと気づき、天光琳から離れた。
「ごめんなさい、大丈夫...?」
「あー、大丈夫です。もうほとんど治っていますので......」
そう言うと、天万姫は安心した。
「おかえり。......あ、そうだ。お前...大丈夫だったか?」
「なに...が...?」
「京極の母に何か言われなかったか...?」
天俊熙がそう言った瞬間、天光琳はギクッとした。言われた...どころか、殺されそうになった。しかしこんなところで言ってしまうと、天万姫が必要以上に心配してしまう。
「い、言われてないよ、大丈夫......」
「んー...なら......いいけど......」
天光琳は心配されたくないため、笑顔で言った。
しかし天俊熙は眉をひそめた。
(帰ってきたばかりで疲れてるからか......?やっぱりなんか......笑顔が......前とは違う......気がする)
天俊熙が桜雲天国に帰ってくる前、天光琳は目覚めたばかりであまり笑うことは無かった。
京極伽耶斗の死や京極庵の体のこと、京極の親に怒鳴られたことなど、様々なことがあったからだ。
......そして、天俊熙と天李偉が帰国してからしばらくたった。
しかし天光琳はいつものように明るい笑顔は見せなかった。
天万姫もそれに気づいたらしく、心配そうな顔をしている。
だが、今大丈夫か聞いても、天光琳は『大丈夫』しか答えないだろう。
それに燦爛鳳条国での辛い思い出を思い出してしまう可能性は高い。
そのため、聞かずに心配そうに見ているだけだった。
「光琳、麗華。帰ったか」
後ろから声が聞こえ、振り返ると、いつの間にか天宇軒がいた。
天宇軒は腕を組んで堂々と立っている。
「話を聞かせてもらおう。片付けて休憩したあとに、俺の部屋へ来てくれ」
「「はい」」
二神は天宇軒の方を向き、返事をした。
天光琳は報告したいことが沢山あった。
特に悪神は鬼神だと......そして名前は......
(あれ......名前......鬼神の名前は.........なんだっけ?)
何故か名前が思い出せなかった。
まるで鬼神が他人に言うな...と言っているかのように、全く思い出せない。
「どうした?......傷が痛むのか...?」
「......あっ、な、なんでもない......大丈夫......」
天光琳の焦った表情を見て、天俊熙は心配そうに聞いた。
別に鬼神の名前はそこまで大切な訳では無いだろう。
そこまで気にしなくても良いことだろう......と天光琳は思い、荷物を片付けに行った。
✿❀✿❀✿
片付けが終わり、天光琳と天麗華、改めて天俊熙と天李偉の二神も天宇軒の部屋へ行った。
「......やはりあの悪神は鬼神だったのか」
「鬼神って......本当に存在するんですね......」
天李偉が顔を青ざめながら言った。
鬼神の説話は誰でも知っている有名な話だ。
そして良い話では無い。
「......でも、そんな鬼神を、光琳が倒したのよ。光琳は英雄だわ」
「そうだぞ、お前は英雄だ」
「え、えぇ......?」
天光琳は褒められるのに慣れていないため、返しに困った。
それに天光琳だけではなく、京極庵と京極伽耶斗の力があったから倒せたのだ。
...それに京極伽耶斗は命をかけて守ってくれた。
そのため、英雄と言われても喜べなかった。
「鬼神は何か言っていなかったか?」
「えぇ...っと......」
天宇軒に聞かれ、天光琳は一生懸命思い出した。......しかし、何故か思い出せない。
「それが......思い出せないんです......」
天光琳は怒られるのではないかとビクビクしながら小さな声で言った。
「思い出せない?」
「は......はい......。顔も名前も姿も......。すごめんなさい......」
天宇軒は眉をひそめた。
何か考えているようだ。
天光琳はいつ怒鳴られても良いように、心の準備をした。
「......庵は.....?」
「あ......!」
天俊熙はハッと思いつき、聞いた。
しかし、天麗華は首を振った。
「......残念ながら庵くんも覚えてないそうよ」
「......え...?」
天宇軒の表情はさらに険しくなった。
「......光琳が目覚める前、庵くんに聞いたんだけど......庵くんも、名前や顔、何を話していたのかも思い出せない...って言っていたわ。覚えているのは悪神が鬼神だってことや、光琳と戦っていた時のことだけ......」
「僕と同じだ......」
二神とも覚えていないのは同じようだ。
「戦ったことを思い出せるなら、姿とか顔とか分からないの?」
天李偉はこの話を早く終わらせたいと興味無さそうに言った。
しかし天光琳は首を横に振った。
「何故か姿は真っ黒に塗りつぶされているような感じで......思い出そうとしても、思い出せないのです......」
「......」
天宇軒は何か考えているようで視線を横に逸らした。
天光琳は目を閉じ、必死に思い出そうとしているが、やはり無理だった。
「二神とも同じなら......恐らく鬼神が二神の記憶を消したのかもしれないわね......」
天麗華が言うと、天宇軒は頷いた。
「その可能性は高い」
何故消したのかは分からない。
鬼神は天光琳に倒される前、急いで記憶を消したのかもしれない。
しかし鬼神はもういない。
そこまで怖がる必要はないだろう。
「何か思い出したらすぐに教えてくれ」
「...はい」
「以上だ。戻って良い」
天宇軒がそう言うと、四神は礼をした。
天宇軒はこの後仕事があるようで、机の横に寄せてあった紙の山を自分の近くまで持ってきた。
仕事の邪魔になるため、四神は部屋を出た。
「んー、俺も仕事が沢山残ってるんだよな」
「私もよ、早く終わらせましょー」
天俊熙は背伸びをし、嫌そうに言った。
天李偉も残っているようだ。
「姉上は......?」
「今日はないわ。だから......人間の願いを叶えに行こうかしら」
皆やることがあって忙しそうだ。
また天宇軒が神王星連杰を説得してくれたようで、今週......と言ってもあと三日だが、人間の願いは叶えなくて良いそうだ。
しかし天麗華は人間の願いを叶えることが好きなため行くそうだ。
(......僕は...久しぶりに修行と稽古しようかなぁ......)
悪神を倒したため、もう誰かが近くにいなくても良くなった。
そのため、前みたいに修行や稽古を詰め込むことができる。
「あ、そーだ、お前、修行行くんだろ?」
「なんで分かるの...?!」
「お前のことだし、行くかなって思っただけ」
やはり分かってしまうか...と天光琳は思った。
「治ったばかりなんだし、無理すんなよ」
「分かってるよ」
この後、天光琳は準備をして、天桜山へ向かった。
久しぶりの修行と稽古。草沐阳は待ってましたと待ち構えていて、今までよりテンションが高かった。
休憩をしっかり取りながら無理の無い修行と舞をし、夕食の時間まで頑張った。
城に戻ってきて、夕食を食べたあと、部屋に戻ってきた。
そして部屋は変わらず天俊熙と同じ部屋だ。
戻っても良いのだが、二上は家具の移動がめんどくさい......とそのままということになった。
ベッドに横になった天光琳は、百年ぶりに寝転がったような感覚がした。
怪我でずっと寝転がっていたが、病院のベッドは固くて正直寝心地が悪かった。
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