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ー光ー 第七章 焦る仲間
第百一話 行きたくない
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数日後。
「......佳宵星国......ですか...?」
朝食の後、天光琳と天麗華は天宇軒に呼び出され、天宇軒の部屋に行った。
なんのことか分からなかったが、どうやら佳宵星国から天光琳と天麗華の二神が呼ばれたそうだ。
佳宵星国とは......神王星連杰がいるところで、国の評価はとても良く一位だ。
そんな国に呼ばれるとは......。
天麗華が呼ばれるのは分かる。佳宵星国も奇跡の神天麗華を狙っているからだ。
しかし何も出来ない天光琳もなぜ呼ばれたのだろう。
「出発日は三日後だ。麗華、星国には行ったことがあるだろう?また美国のように教えてやってくれ」
「分かりました」
天麗華はこれで四回目になる。
沢山呼ばれているのだ。
「どれだけ呼ばれるのでしょうね......いくら行ったって変わらないのに......」
「神王様のことだ。俺にも分からない」
天麗華は嫌そうな顔をしている。
『いくら行ったって変わらない』というのはどういうことだろうか。
本来ならば、呼ばれても拒否することが出来る。しかし神界をしきる神王の言うことは絶対に聞かなければいけない。
そのため、今回は拒否することができないのだ。
「光琳。神王様の言うことはとりあえず聞け。あの男神はめんどくさい神だ。口答えしたらどうなるかわからない」
天光琳は頷いた。
天宇軒がそういうのだから、相当厄介な神なのだろう。
天麗華の表情、天宇軒の言葉を聞いて、どんどん行きたくなくなってきた。
しかし呼ばれたからには行かなければいけない。
話が終わり、二神は天光琳と天俊熙の部屋に行った。
扉を開けると、天俊熙がテーブルにティーカップや......スイーツなどを並べていた。
「そろそろ戻ってくると思ったよ、おかえりー」
「ただいまー、俊熙、このスイーツは......?」
テーブルにはブラウニーやクッキー、シュークリームにマカロン。そしてカップケーキにミニパフェ......美味しそうなスイーツがたくさん並んでいる。
「これ、俺が作ったんだぜ!」
「「えっ!?」」
天俊熙が自慢げに言うと、二神は驚いた。
「俊熙料理できたの?」
「しつれーだな。まぁ、料理は出来ないけど、お菓子作りならできるかな。ほら、俺の姉貴李偉はお菓子作りが得意だろ?俺も作ってみたくなっちゃって、教えてもらったんだ。確か......去年...一昨年......初めて作ったのはいつだったか忘れたけど、結構練習したんだよ」
「いつの間に......」
見た目は綺麗で美味しそうなものばかりで、初心者では無いのがわかる。たくさん練習したのだろう。
天李偉はお菓子作りが得意で、女子会のとき、よく作ってくるのだ。
スイーツなんて、護衛神に頼めば作ってもらえるのだが、お菓子作りは作るところが楽しい......と天俊熙は思うようになった。
「今日は暇だったから、作ってみたんだ。ちょうど昨日の夜、明日はお茶会しようかーって言ってただろ?実は昨日の夜から準備してたんだ」
「すごい......!」「全て美味しそうだわ」
天俊熙が準備してくれると言っていたため、二神は椅子に座り、準備が終わるのを待った。
そして準備が終わり天俊熙が席に着くと、三神はお茶会を始めた。
お茶会だと言うのに、天光琳は先にシュークリームをかじった。
サクッとした生地から、冷たくて甘いとろっとしたカスタードクリームが溢れてきた。
「......これ、全部俊熙が作ったの...!?」
「そうだよ」
天光琳は目を大きく見開いて驚いた。
その様子を見て、天麗華も一口かじった。
「生地にクリーム......どれも凝っていて凄いわ...!」
天麗華がそう言うと、天俊熙は照れ笑いした。
シュークリームにはクリームが沢山詰まっていて、食べるのは難しいがかじると中のクリームが溢れてくる。濃厚クリームがとても甘く、飲み込んでしまうのが勿体ないぐらい美味しい。
「俊熙も草沐阳も、美味しいもの作れるならもっと早く知りたかったな」
「老師、料理できるのか!?」
「できるよ」
天光琳はマカロンを美味しそうに食べながら言った。
「食べてみたいなぁ」
「美味しかったよ」「美味しかったわ」
二神が声を揃えていうと、天俊熙は「はっ?!」と言って驚いた。
「食べたことあんの!?」
二神は頷くと、天俊熙は羨ましそうに言った。
「いいなぁ......俺も食べてみたい」
「今度俊熙にも食べて貰いたいって言ってたよ」
「ほんとか!?」
天俊熙は嬉しそうに微笑んだ。
草沐阳も喜ぶだろう。
「そういえば、宇軒様はなんて言ってたんだ?」
「あー......」
二神が微妙な顔をしたため、天俊熙は決していい話では無いだろう......と思った。
「三日後、僕たち星国に行くことになったんだ」
「マジか......確かにそれは嫌だな」
天俊熙は羨ましがらず、むしろ自分は呼ばれなくて良かったと思った。
これがもし別の国だったら羨ましく思っただろう。しかし神王のいる国だ。
優しい神王ならともかく、神王星連杰は関わりたくない神ランキング一位レベルだ。
......そんなランキングはないのだが。
特に王一族は必ずその国の王に会わなければいけない。そのため、神王に会うのは避けられないだろう......。
「まぁ、頑張ってな」
「うん......」
「でも滞在期間は二日で良いそうよ。一週間だったらもう......ね......」
過去に一週間滞在したことがある天麗華は良かったと安心した。
どんな国なのか分からないが、居心地は悪いのだろう。
「あ......姉上、一つ聞いてもよろしいですか...?」
「?」
天光琳は顔を青ざめながら言った。
「ちょ......朝食や夕食の時間は......」
「......残念ながら美国と同じ......揃って食べるわよ」
それを聞いた瞬間、天光琳は顔を伏せた。
嫌そうだ。
天俊熙は「どんまい」と背中をポンポンと軽く叩いた。
「しかし、現在星国の王一族は神王様とその息子、星玉風しかいないわ。...他は亡くなってしまったそうよ......」
それを聞いた瞬間、二神は違和感に気づいた。
「他......?」
「...姉上、王妃様も亡くなってしまったんですか?」
「えぇ。死因は不明。十年前に突然亡くなってしまったそうよ。他にも玉風様の妹二神もいたのだけれど......その二神も亡くなってしまったの」
何か引っかかる。考えすぎだろうか。
神はそんな簡単には死なない。
人間界では死ぬ病気なども、神の力を使えば何でも治るというのに、なぜ三神も亡くなってしまったのだろうか。
それも全員女神......。
「星国は神の力が高い神が多く、評価は高いけれど......良い国とは言えないのよ......。一年に亡くなる神の割合が他の国と比べて高い。それも全て原因は不明。......でも、皆突然倒れてそのまま目を覚まさなかったそうよ。誰かに殺されたわけではないの」
天光琳はますます行きたくなくなった。
なぜそんなに亡くなってしまうのだろうか。
そしてどんな国なのだろうか。
三回行ったことがある天麗華の身に何も無いのだから、大丈夫だとは思うが......やはり心配である。
「うぅ......俊熙、変わってよ......」
「やだよ。それにバレたら怒られるぞ?」
「あぁ......」
天光琳は再び顔を伏せ、嫌そうに首を横に振った。
「......佳宵星国......ですか...?」
朝食の後、天光琳と天麗華は天宇軒に呼び出され、天宇軒の部屋に行った。
なんのことか分からなかったが、どうやら佳宵星国から天光琳と天麗華の二神が呼ばれたそうだ。
佳宵星国とは......神王星連杰がいるところで、国の評価はとても良く一位だ。
そんな国に呼ばれるとは......。
天麗華が呼ばれるのは分かる。佳宵星国も奇跡の神天麗華を狙っているからだ。
しかし何も出来ない天光琳もなぜ呼ばれたのだろう。
「出発日は三日後だ。麗華、星国には行ったことがあるだろう?また美国のように教えてやってくれ」
「分かりました」
天麗華はこれで四回目になる。
沢山呼ばれているのだ。
「どれだけ呼ばれるのでしょうね......いくら行ったって変わらないのに......」
「神王様のことだ。俺にも分からない」
天麗華は嫌そうな顔をしている。
『いくら行ったって変わらない』というのはどういうことだろうか。
本来ならば、呼ばれても拒否することが出来る。しかし神界をしきる神王の言うことは絶対に聞かなければいけない。
そのため、今回は拒否することができないのだ。
「光琳。神王様の言うことはとりあえず聞け。あの男神はめんどくさい神だ。口答えしたらどうなるかわからない」
天光琳は頷いた。
天宇軒がそういうのだから、相当厄介な神なのだろう。
天麗華の表情、天宇軒の言葉を聞いて、どんどん行きたくなくなってきた。
しかし呼ばれたからには行かなければいけない。
話が終わり、二神は天光琳と天俊熙の部屋に行った。
扉を開けると、天俊熙がテーブルにティーカップや......スイーツなどを並べていた。
「そろそろ戻ってくると思ったよ、おかえりー」
「ただいまー、俊熙、このスイーツは......?」
テーブルにはブラウニーやクッキー、シュークリームにマカロン。そしてカップケーキにミニパフェ......美味しそうなスイーツがたくさん並んでいる。
「これ、俺が作ったんだぜ!」
「「えっ!?」」
天俊熙が自慢げに言うと、二神は驚いた。
「俊熙料理できたの?」
「しつれーだな。まぁ、料理は出来ないけど、お菓子作りならできるかな。ほら、俺の姉貴李偉はお菓子作りが得意だろ?俺も作ってみたくなっちゃって、教えてもらったんだ。確か......去年...一昨年......初めて作ったのはいつだったか忘れたけど、結構練習したんだよ」
「いつの間に......」
見た目は綺麗で美味しそうなものばかりで、初心者では無いのがわかる。たくさん練習したのだろう。
天李偉はお菓子作りが得意で、女子会のとき、よく作ってくるのだ。
スイーツなんて、護衛神に頼めば作ってもらえるのだが、お菓子作りは作るところが楽しい......と天俊熙は思うようになった。
「今日は暇だったから、作ってみたんだ。ちょうど昨日の夜、明日はお茶会しようかーって言ってただろ?実は昨日の夜から準備してたんだ」
「すごい......!」「全て美味しそうだわ」
天俊熙が準備してくれると言っていたため、二神は椅子に座り、準備が終わるのを待った。
そして準備が終わり天俊熙が席に着くと、三神はお茶会を始めた。
お茶会だと言うのに、天光琳は先にシュークリームをかじった。
サクッとした生地から、冷たくて甘いとろっとしたカスタードクリームが溢れてきた。
「......これ、全部俊熙が作ったの...!?」
「そうだよ」
天光琳は目を大きく見開いて驚いた。
その様子を見て、天麗華も一口かじった。
「生地にクリーム......どれも凝っていて凄いわ...!」
天麗華がそう言うと、天俊熙は照れ笑いした。
シュークリームにはクリームが沢山詰まっていて、食べるのは難しいがかじると中のクリームが溢れてくる。濃厚クリームがとても甘く、飲み込んでしまうのが勿体ないぐらい美味しい。
「俊熙も草沐阳も、美味しいもの作れるならもっと早く知りたかったな」
「老師、料理できるのか!?」
「できるよ」
天光琳はマカロンを美味しそうに食べながら言った。
「食べてみたいなぁ」
「美味しかったよ」「美味しかったわ」
二神が声を揃えていうと、天俊熙は「はっ?!」と言って驚いた。
「食べたことあんの!?」
二神は頷くと、天俊熙は羨ましそうに言った。
「いいなぁ......俺も食べてみたい」
「今度俊熙にも食べて貰いたいって言ってたよ」
「ほんとか!?」
天俊熙は嬉しそうに微笑んだ。
草沐阳も喜ぶだろう。
「そういえば、宇軒様はなんて言ってたんだ?」
「あー......」
二神が微妙な顔をしたため、天俊熙は決していい話では無いだろう......と思った。
「三日後、僕たち星国に行くことになったんだ」
「マジか......確かにそれは嫌だな」
天俊熙は羨ましがらず、むしろ自分は呼ばれなくて良かったと思った。
これがもし別の国だったら羨ましく思っただろう。しかし神王のいる国だ。
優しい神王ならともかく、神王星連杰は関わりたくない神ランキング一位レベルだ。
......そんなランキングはないのだが。
特に王一族は必ずその国の王に会わなければいけない。そのため、神王に会うのは避けられないだろう......。
「まぁ、頑張ってな」
「うん......」
「でも滞在期間は二日で良いそうよ。一週間だったらもう......ね......」
過去に一週間滞在したことがある天麗華は良かったと安心した。
どんな国なのか分からないが、居心地は悪いのだろう。
「あ......姉上、一つ聞いてもよろしいですか...?」
「?」
天光琳は顔を青ざめながら言った。
「ちょ......朝食や夕食の時間は......」
「......残念ながら美国と同じ......揃って食べるわよ」
それを聞いた瞬間、天光琳は顔を伏せた。
嫌そうだ。
天俊熙は「どんまい」と背中をポンポンと軽く叩いた。
「しかし、現在星国の王一族は神王様とその息子、星玉風しかいないわ。...他は亡くなってしまったそうよ......」
それを聞いた瞬間、二神は違和感に気づいた。
「他......?」
「...姉上、王妃様も亡くなってしまったんですか?」
「えぇ。死因は不明。十年前に突然亡くなってしまったそうよ。他にも玉風様の妹二神もいたのだけれど......その二神も亡くなってしまったの」
何か引っかかる。考えすぎだろうか。
神はそんな簡単には死なない。
人間界では死ぬ病気なども、神の力を使えば何でも治るというのに、なぜ三神も亡くなってしまったのだろうか。
それも全員女神......。
「星国は神の力が高い神が多く、評価は高いけれど......良い国とは言えないのよ......。一年に亡くなる神の割合が他の国と比べて高い。それも全て原因は不明。......でも、皆突然倒れてそのまま目を覚まさなかったそうよ。誰かに殺されたわけではないの」
天光琳はますます行きたくなくなった。
なぜそんなに亡くなってしまうのだろうか。
そしてどんな国なのだろうか。
三回行ったことがある天麗華の身に何も無いのだから、大丈夫だとは思うが......やはり心配である。
「うぅ......俊熙、変わってよ......」
「やだよ。それにバレたら怒られるぞ?」
「あぁ......」
天光琳は再び顔を伏せ、嫌そうに首を横に振った。
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