鬼使神差〜無能神様が世界を変える物語〜

天楪鶴

文字の大きさ
102 / 184
ー光ー 第七章 焦る仲間

第百一話 行きたくない

しおりを挟む
 数日後。


「......佳宵星国......ですか...?」


 朝食の後、天光琳と天麗華は天宇軒に呼び出され、天宇軒の部屋に行った。
 なんのことか分からなかったが、どうやら佳宵星国から天光琳と天麗華の二神が呼ばれたそうだ。
 佳宵星国とは......神王星連杰がいるところで、国の評価はとても良く一位だ。

 そんな国に呼ばれるとは......。
 天麗華が呼ばれるのは分かる。佳宵星国も奇跡の神天麗華を狙っているからだ。
 しかし何も出来ない天光琳もなぜ呼ばれたのだろう。


「出発日は三日後だ。麗華、星国には行ったことがあるだろう?また美国のように教えてやってくれ」

「分かりました」


 天麗華はこれで四回目になる。
 沢山呼ばれているのだ。


「どれだけ呼ばれるのでしょうね......いくら行ったって変わらないのに......」

「神王様のことだ。俺にも分からない」


 天麗華は嫌そうな顔をしている。
『いくら行ったって変わらない』というのはどういうことだろうか。

 本来ならば、呼ばれても拒否することが出来る。しかし神界をしきる神王の言うことは絶対に聞かなければいけない。
 そのため、今回は拒否することができないのだ。


「光琳。神王様の言うことはとりあえず聞け。あの男神はめんどくさい神だ。口答えしたらどうなるかわからない」


 天光琳は頷いた。
 天宇軒がそういうのだから、相当厄介な神なのだろう。
 天麗華の表情、天宇軒の言葉を聞いて、どんどん行きたくなくなってきた。
 しかし呼ばれたからには行かなければいけない。

 話が終わり、二神は天光琳と天俊熙の部屋に行った。





 扉を開けると、天俊熙がテーブルにティーカップや......スイーツなどを並べていた。


「そろそろ戻ってくると思ったよ、おかえりー」

「ただいまー、俊熙、このスイーツは......?」


 テーブルにはブラウニーやクッキー、シュークリームにマカロン。そしてカップケーキにミニパフェ......美味しそうなスイーツがたくさん並んでいる。


「これ、俺が作ったんだぜ!」

「「えっ!?」」


 天俊熙が自慢げに言うと、二神は驚いた。


「俊熙料理できたの?」

「しつれーだな。まぁ、料理は出来ないけど、お菓子作りならできるかな。ほら、俺の姉貴李偉はお菓子作りが得意だろ?俺も作ってみたくなっちゃって、教えてもらったんだ。確か......去年...一昨年......初めて作ったのはいつだったか忘れたけど、結構練習したんだよ」

「いつの間に......」


 見た目は綺麗で美味しそうなものばかりで、初心者では無いのがわかる。たくさん練習したのだろう。

 天李偉はお菓子作りが得意で、女子会のとき、よく作ってくるのだ。
 スイーツなんて、護衛神に頼めば作ってもらえるのだが、お菓子作りは作るところが楽しい......と天俊熙は思うようになった。


「今日は暇だったから、作ってみたんだ。ちょうど昨日の夜、明日はお茶会しようかーって言ってただろ?実は昨日の夜から準備してたんだ」

「すごい......!」「全て美味しそうだわ」


 天俊熙が準備してくれると言っていたため、二神は椅子に座り、準備が終わるのを待った。

 そして準備が終わり天俊熙が席に着くと、三神はお茶会を始めた。


 お茶会だと言うのに、天光琳は先にシュークリームをかじった。
 サクッとした生地から、冷たくて甘いとろっとしたカスタードクリームが溢れてきた。


「......これ、全部俊熙が作ったの...!?」

「そうだよ」


 天光琳は目を大きく見開いて驚いた。
 その様子を見て、天麗華も一口かじった。


「生地にクリーム......どれも凝っていて凄いわ...!」


 天麗華がそう言うと、天俊熙は照れ笑いした。
 シュークリームにはクリームが沢山詰まっていて、食べるのは難しいがかじると中のクリームが溢れてくる。濃厚クリームがとても甘く、飲み込んでしまうのが勿体ないぐらい美味しい。


「俊熙も草沐阳も、美味しいもの作れるならもっと早く知りたかったな」

「老師、料理できるのか!?」

「できるよ」


 天光琳はマカロンを美味しそうに食べながら言った。


「食べてみたいなぁ」

「美味しかったよ」「美味しかったわ」


 二神が声を揃えていうと、天俊熙は「はっ?!」と言って驚いた。


「食べたことあんの!?」


 二神は頷くと、天俊熙は羨ましそうに言った。


「いいなぁ......俺も食べてみたい」

「今度俊熙にも食べて貰いたいって言ってたよ」

「ほんとか!?」


 天俊熙は嬉しそうに微笑んだ。
 草沐阳も喜ぶだろう。





「そういえば、宇軒様はなんて言ってたんだ?」

「あー......」


 二神が微妙な顔をしたため、天俊熙は決していい話では無いだろう......と思った。


「三日後、僕たち星国に行くことになったんだ」

「マジか......確かにそれは嫌だな」


 天俊熙は羨ましがらず、むしろ自分は呼ばれなくて良かったと思った。
 これがもし別の国だったら羨ましく思っただろう。しかし神王のいる国だ。
 優しい神王ならともかく、神王星連杰は関わりたくない神ランキング一位レベルだ。
 ......そんなランキングはないのだが。

 特に王一族は必ずその国の王に会わなければいけない。そのため、神王に会うのは避けられないだろう......。


「まぁ、頑張ってな」

「うん......」

「でも滞在期間は二日で良いそうよ。一週間だったらもう......ね......」


 過去に一週間滞在したことがある天麗華は良かったと安心した。
 どんな国なのか分からないが、居心地は悪いのだろう。


「あ......姉上、一つ聞いてもよろしいですか...?」

「?」


 天光琳は顔を青ざめながら言った。


「ちょ......朝食や夕食の時間は......」

「......残念ながら美国と同じ......揃って食べるわよ」


 それを聞いた瞬間、天光琳は顔を伏せた。
 嫌そうだ。

 天俊熙は「どんまい」と背中をポンポンと軽く叩いた。


「しかし、現在星国の王一族は神王様とその息子、星玉風シンユーフォンしかいないわ。...他は亡くなってしまったそうよ......」


 それを聞いた瞬間、二神は違和感に気づいた。


「他......?」

「...姉上、王妃様も亡くなってしまったんですか?」

「えぇ。死因は不明。十年前に突然亡くなってしまったそうよ。他にも玉風様の妹二神もいたのだけれど......その二神も亡くなってしまったの」


 何か引っかかる。考えすぎだろうか。
 神はそんな簡単には死なない。
 人間界では死ぬ病気なども、神の力を使えば何でも治るというのに、なぜ三神も亡くなってしまったのだろうか。
 それも全員女神......。


「星国は神の力が高い神が多く、評価は高いけれど......良い国とは言えないのよ......。一年に亡くなる神の割合が他の国と比べて高い。それも全て原因は不明。......でも、皆突然倒れてそのまま目を覚まさなかったそうよ。誰かに殺されたわけではないの」

  
 天光琳はますます行きたくなくなった。
 なぜそんなに亡くなってしまうのだろうか。
 そしてどんな国なのだろうか。

 三回行ったことがある天麗華の身に何も無いのだから、大丈夫だとは思うが......やはり心配である。


「うぅ......俊熙、変わってよ......」

「やだよ。それにバレたら怒られるぞ?」

「あぁ......」


 天光琳は再び顔を伏せ、嫌そうに首を横に振った。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

とある中年男性の転生冒険記

うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...