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ー光ー 第八章 佳宵星国

第百七話 婚約

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 次の日の朝も、星玉風と一緒に朝食は佳宵星国の国で食べた。
 星玉風のことで心配だったが、大丈夫そうだ。

 そして今思うと、星玉風は兄のように接してくれている。 


「いつ帰るのですか?」

「昼食前には帰りたいと思っています」


 天麗華がそう言うと、星玉風は寂しそうな顔をした。


「そうですか......」


 まるでもう会えないかのように暗い顔をしている。
 いっその事、星玉風も桜雲天国に来て、桜雲天国の神になってしまえば良いのに......と天光琳は思ったが、王一族はそういうことは許されない。

 天光琳もなんだか寂しくなってきた。



 ✿❀✿❀✿


「麗華様。連杰様がお呼びです」

「私......?」


 城に戻ると護衛神が天麗華に言った。


「分かりました」


 天麗華がそう言うと、護衛神は歩き出し、天麗華は後ろについて行った。

 天麗華は少し不安そうな顔をしている。
 天光琳を殺そうとしている星連杰の元へ行くのだ。

 天光琳も心配でたまらない。


「あ、あと玉風様、手伝ってもらいたいことがあるのですが」


 もう一神の護衛神が星玉風に言った。星玉風は嫌そうな顔をした。


「今じゃなきゃダメか?」

「はい......。直ぐに終わります」


 星玉風はため息をつき、「十分程度なら良い」と言った。
 そして天光琳の耳元でそっと囁いた。


「星連杰は麗華さんと話しているから大丈夫だとは思いますが、会わないようにしてくださいね」


 天光琳は頷いた。
 やはり悪い神ではなさそうだ。


 星玉風は護衛神と一緒に歩いていった。

 天光琳は天麗華のことが心配で、天麗華が行った方向へ走り出した。




「麗華」

「はい」


 二神の声が聞こえ、天光琳は近くの柱に隠れた。
 どうやら大広間で話しているようだ。
 外まで会話が聞こえてくる。
 ここでも十分会話が聞こえるため、天光琳は隠れながら話を聞くことにした。


「玉風と結婚する気はあるか?」

「申し訳ありませんが、前と変わりません」


 よく堂々と言えるな......と天光琳は尊敬した。きっと自分ならもじもじと小さな声で言ってしまうだろう。


「理由は」

「変わりません」


 天麗華の透き通る声が大広間に響く。


「本当は光琳のためだろう。邪魔ではないか?国の評価を下げている無能神様......必要ないだろう」

「いいえ。私には必要です。そして、私が桜雲天国に残りたいと言うのも、光琳のためではありません」


 天光琳は驚き、そして安心した。
 ずっと自分のせいで......と思っていた。しかしそうでは無いようだ。


「なぜだ?」

「私には心に決めた神がいますので」

「なに......」


 星連杰の低い声が響いた。相当怒っているのだろう。


「うちの玉風より良い男神がいるのか?そいつはどこの神だ、言ってみろ」

「言いません。そして今はもういないのです」


 星連杰はしばらく何も言わず固まった。


「もういない......それなのになぜまだ愛すのだ?」

「それほど良い神なのですよ」

「玉風よりもか?」




「光琳さん」

「ひぃっ!?」


 天光琳は急に声をかけられ心臓が口から出てしまいそうだった。
 振り向くと星玉風だった。
 天光琳は安心したが、会話の内容が星玉風にも聞こえているということを考えると複雑な気持ちになった。


「光琳さん。来てくれませんか?」

「......?」


 星玉風は暗い顔をしている。
 失恋したからか...?いや、そもそも天麗華のことが好きだったのだろうか?
 そう思いながら天光琳は星玉風について行った。



 着いた場所は城の最上階にあるガラス張りの見晴らしの良い部屋だった。


「ここには私以外誰も来ないので安心してください」


 二神はこの部屋の中で一番大きな窓の近くに置いてあるテーブルの近くまで歩いてきた。
 そして椅子に座った。

 部屋は可愛いカーテンや可愛い家具が沢山置いてある。そして


「このぬいぐるみ......」

「そうです。これは私の妹たちのぬいぐるみです」


 昨日星玉風から貰ったのと色違い、ピンクと水色のくまのぬいぐるみが置いてあった。


「ここには亡き母や"双子"の妹たち、お祖母様や従兄弟のものが置いてあるのです」

「なぜここに......?」


 それぞれ部屋はあったはずだ。部屋に残しておけば良いものの、なぜここにまとめて置いてあるのだろう。


「それも含めて、光琳さんに話したいことがあるのです。......暗い話になりますが...よろしいでしょうか」

「大丈夫です。聞かせてください」


 天光琳は真剣な眼差しでそういった。
 星玉風のことを知りたい。知らないまま帰りたくないのだ。




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