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ー悪ー 第一章 アタラヨ鬼神
第一話 鬼神王の目覚め
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神王が亡くなり、玲瓏美国は滅びた。
そして世界から神々が消え、神界は鬼神に支配された。
神々が消えたことにより、人間たちの願いは一向に叶わない。
人間界と神界は時空が違うため、神は様々な時代の人間の願いを叶えてきた。そのためある時代から急に願いが叶わなくなったという事はないのだが、このまま鬼神たちが支配していけばいずれ願いは一つも叶わなくなる。
また、鬼神たちは過去を変えることができるようで、過去に叶えた願いが叶わなかったことにすることができる。
それだけでなく、人間界に災いを起こすことも可能だという......。
そのため、いつか人間界も滅びてしまうだろう。
神はもういない。......いや、まだ一神いる。
しかしその者は神と呼んで良いのだろうか......。
鬼使神差。
この物語の結末は果たして......。
✿❀✿❀✿
「ここは......どこ...?」
彼はゆっくりと起き上がった。
地面は濡れている......浅い湖のようだ。
(一体どれぐらい眠っていたのだろうか)
そう考えていると、後ろから水の跳ねると音一緒に足音が聞こえてきた。
振り返ると、髪の長い角が生えた男が立っていた。
男は涼しげな顔をしているが、どこか怪しさを感じられる。
男は彼の前へ来ると口を開いた。
「目覚めたようですね。安心しました」
「君は...誰?......えっと...僕は......誰...だっけ......」
昔のことがどうも思い出せない。
まるで今生まれてきたばかりのように一つも思い出せないのだ。
自分の名前も......自分は何者なのかも分からない。
すると男は彼の側まで来てしゃがんだ。
「鬼神王様、貴方様はこの国の王でございます。私はいつも貴方のそばにいたシュヴェルツェです。貴方様は戦い中大怪我をされて......戦いの後、眠りについてしまったのです」
「鬼神王......王...シュヴェルツェ...戦い......?」
名前を聞いても何も思い出せなかった。
「ごめんなさい。僕...記憶がなくて......。」
彼は下を向いた。
戦いとはどんな戦いだったのだろうか。そして自分は王だったのか。
何があったか思い出せないが、この国の王であるのに戦い中に大怪我をし、眠りについた。そして記憶がないとは......なんだか情けなく感じてくる。
鬼神王は水面に映る自分の顔を眺めた。
「大丈夫ですよ。また"新しい"思い出を作っていけば良いのですから」
「思い出してはいけないの?」
「そうですね......いけませんよ」
「うっ...。」
頭がズキっと痛くなった。
何か忘れているような気がする。...少し...いや、とても大切なことを。
頭痛が治まり、空を見上げる。
真っ暗な空にとても大きな月が輝いている。
それはスポットライトかのように自分だけを照らしているようにも見える。
(僕は何者なんだろう)
全く思い出せない。
...まぁそれでも良い。思い出したらいけない...というぐらいなのだから、きっと残酷な過去なのだろう。
湖で眠っていたため、髪や服は濡れ、雫がぽたぽたと零れていく。この静かな空間に、雫が零れる音が響いている。
(ん...?)
水面に映る自分の左首には薄くなった傷痕が見えた。
不思議に思い、辿ってみると、右腕脇腹まで続いていた。
...そして自分の右腕がないことに気づいた。誰かに斬り落とされたのだろうか。しかし今はもう痛まない。
何となく左手に力を入れると、手から黒い光を出すことが出来た。
これを試しに右腕肩に当ててみる。...すると新しい腕を作り出すことが出来た。
同じ肌色ではなく、黒色だが、腕がないよりはマシだ。
(どうしてこんなに傷だらけなんだろう...)
...なら、思い出さない方が良いのかもしれない。
前の自分が記憶を消したのかもしれないし......。
風が吹いた。
鬼神王はゆっくりと立ち上がった。
濡れた長い髪の毛と濡れた黒いマントをなびかせる。
「行きましょう。鬼神王様。皆が貴方様のことを待っています」
皆とは誰だろう。
分からないが、ずっとここにいる訳には行かない。
鬼神王は小さく頷き、シュヴェルツェについて行った。
そして世界から神々が消え、神界は鬼神に支配された。
神々が消えたことにより、人間たちの願いは一向に叶わない。
人間界と神界は時空が違うため、神は様々な時代の人間の願いを叶えてきた。そのためある時代から急に願いが叶わなくなったという事はないのだが、このまま鬼神たちが支配していけばいずれ願いは一つも叶わなくなる。
また、鬼神たちは過去を変えることができるようで、過去に叶えた願いが叶わなかったことにすることができる。
それだけでなく、人間界に災いを起こすことも可能だという......。
そのため、いつか人間界も滅びてしまうだろう。
神はもういない。......いや、まだ一神いる。
しかしその者は神と呼んで良いのだろうか......。
鬼使神差。
この物語の結末は果たして......。
✿❀✿❀✿
「ここは......どこ...?」
彼はゆっくりと起き上がった。
地面は濡れている......浅い湖のようだ。
(一体どれぐらい眠っていたのだろうか)
そう考えていると、後ろから水の跳ねると音一緒に足音が聞こえてきた。
振り返ると、髪の長い角が生えた男が立っていた。
男は涼しげな顔をしているが、どこか怪しさを感じられる。
男は彼の前へ来ると口を開いた。
「目覚めたようですね。安心しました」
「君は...誰?......えっと...僕は......誰...だっけ......」
昔のことがどうも思い出せない。
まるで今生まれてきたばかりのように一つも思い出せないのだ。
自分の名前も......自分は何者なのかも分からない。
すると男は彼の側まで来てしゃがんだ。
「鬼神王様、貴方様はこの国の王でございます。私はいつも貴方のそばにいたシュヴェルツェです。貴方様は戦い中大怪我をされて......戦いの後、眠りについてしまったのです」
「鬼神王......王...シュヴェルツェ...戦い......?」
名前を聞いても何も思い出せなかった。
「ごめんなさい。僕...記憶がなくて......。」
彼は下を向いた。
戦いとはどんな戦いだったのだろうか。そして自分は王だったのか。
何があったか思い出せないが、この国の王であるのに戦い中に大怪我をし、眠りについた。そして記憶がないとは......なんだか情けなく感じてくる。
鬼神王は水面に映る自分の顔を眺めた。
「大丈夫ですよ。また"新しい"思い出を作っていけば良いのですから」
「思い出してはいけないの?」
「そうですね......いけませんよ」
「うっ...。」
頭がズキっと痛くなった。
何か忘れているような気がする。...少し...いや、とても大切なことを。
頭痛が治まり、空を見上げる。
真っ暗な空にとても大きな月が輝いている。
それはスポットライトかのように自分だけを照らしているようにも見える。
(僕は何者なんだろう)
全く思い出せない。
...まぁそれでも良い。思い出したらいけない...というぐらいなのだから、きっと残酷な過去なのだろう。
湖で眠っていたため、髪や服は濡れ、雫がぽたぽたと零れていく。この静かな空間に、雫が零れる音が響いている。
(ん...?)
水面に映る自分の左首には薄くなった傷痕が見えた。
不思議に思い、辿ってみると、右腕脇腹まで続いていた。
...そして自分の右腕がないことに気づいた。誰かに斬り落とされたのだろうか。しかし今はもう痛まない。
何となく左手に力を入れると、手から黒い光を出すことが出来た。
これを試しに右腕肩に当ててみる。...すると新しい腕を作り出すことが出来た。
同じ肌色ではなく、黒色だが、腕がないよりはマシだ。
(どうしてこんなに傷だらけなんだろう...)
...なら、思い出さない方が良いのかもしれない。
前の自分が記憶を消したのかもしれないし......。
風が吹いた。
鬼神王はゆっくりと立ち上がった。
濡れた長い髪の毛と濡れた黒いマントをなびかせる。
「行きましょう。鬼神王様。皆が貴方様のことを待っています」
皆とは誰だろう。
分からないが、ずっとここにいる訳には行かない。
鬼神王は小さく頷き、シュヴェルツェについて行った。
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