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ー悪ー 第一章 アタラヨ鬼神
第十三話 予言者
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「ここは......どこだ......?」
目を開けると暗闇にいた。何も見えない。何も聞こえない。自分の手すら見えないのだ。
「誰かいる?......ヴェル、メリーナ......べトロ......」
返事は無い。あの低くて少しクセのある声も、可愛らしい声も、ベトベトという音も聞こえない。自分の声がただ響いているだけだった。鬼神王は恐る恐る一歩前へ歩いてみた。自分の足音すら聞こえないとは......。
鬼神王はしゃがみ目を閉じた。さて。ここからどうしようか。今何が起こっているのか分からない。
(僕は確か、鬼神を助けて......そのあと、どうしたんだっけなぁ)
死んだ訳では無い。そう思っている。神助けをして死んだなんて、あまりにも不運すぎる。
恐らく眠っているだけだ。なぜ眠っているのか知らないが、早くここから抜け出したい。鬼神王はそう思い顔を上げた。すると、暗闇にいたはずなのに、今見ると辺りは星々が輝く美しい夜空の中にいた。下を見ても横を見ても星。鬼神王は唖然とした。
(僕......死んでしまったのかもしれない)
幻想的な空間で、自分が生きているような気がしなかった。ここはなんだ?神界のどこかだろうか。
『......目を覚まして』
「え?」
どこからか声が聞こえ、鬼神王は振り返った。誰もいない。では上か、右か、左か......下か。しかしどこにも姿は見えない。
声は女の声だった。若くて透き通った美しい声。
「あなたはだれ?」
『私は何千年も前に生きていたもの。詳しくは話せない』
何千年も前......ということは鬼神ではないのだろうか。鬼神王が知らないということは、当然、鬼神王のおかげで生まれることが出来た鬼神ではないだろう。
『私は預言の力を持っていた。数千年前、私が生きていた頃、預言の力を使って神界の未来を見た。......その未来......というものは今のこと』
「預言......」
姿が見えないのに声だけは聞こえる。一体どこを見て話を聞けば良いのか分からず、とりあえずキョロキョロと辺を見渡しながら聞くことにした。
『鬼使神差って......知ってる?』
「......わからない......。昔は知ってたかも」
『貴方の記憶が消えていることは知っている。そして過去に何があったか、これから何が起こるかも全て知っている』
鬼神王は驚きの表情を浮かべる。自分のことを全て知っているのなら、昔の自分のことを聞けるかもしれない。本当は知りたいのだ。どんなに辛い過去であっても、今の自分が知りたいと思っているのなら、教えて貰ってもよいのではないか。シュヴェルツェはいくら言っても教えてくれない。聞くなら今だ。
「僕の過去のこと、教えて頂けませんか?」
『まだ教えることは出来ない。私は貴方の未来も知っている。今教えてしまうと、未来が変わってしまう』
そうか。せっかく自分のことを知っているものに出会えたというのに、そういうことなら、シュヴェルツェのようにいくら聞いても教えては貰えないだろう。これ以上、知りたいと言うつもりは無い。だが、一つだけ気になることがある。
「僕の未来ってどんな感じなのですか?......あ、その......ざっくりでいいんです。良い未来が来る......だとか、辛いことが起こる......とか......。教えて頂けませんか......?」
『......わかった。貴方の未来は......幸せではないが、貴方にとって、良いと思えるような未来になるだろう』
「僕にとって......?」
ということは、自分以外不幸なのだろうか。自分以外幸せでは無いのだろうか。鬼神王は眉間に皺を寄せ、下を向いた。そんなのは絶対に嫌だ。
『そんなに落ち込むことはない。私は『貴方にとって、良いと思えるような未来』と言ったはずだ。貴方が想像する自分だけが幸せな未来だとか、そういうことではない。今の貴方でも良いと思えるような未来だ』
よく分からない。それ以外に何がある。想像がつかない。けれど皆が不幸せ出なければそれで良い。自分が良いと思える未来ならそれでよい。そう思うと安心する。
『もう時間が無い。最後に一つ言っておこう』
声が少し変わった。大切な話をするのだろう。鬼神王は背筋を伸ばした。
「なんでしょう」
『過去の貴方は貴方のことを大切だと思っている者を知らなすぎた』
過去の事を言われても、どうすることも出来ない。知らなすぎたことで、今後悔したくても、それがどのような人物なのか、どのような関係だったのかも知らない。鬼神王はどのような反応をすれば良いのか困った。
『これもいずれ知ることになる。貴方は本当の幸せがなんだったのか、知ることになるだろう』
本当の幸せ......もし今が偽りの幸せだとしたら、本当の幸せとはなんだろう。
『そして鬼使神差の物語を、貴方が終わらせることになる。目覚めても『鬼使神差』という言葉は絶対に口にしないでほしい』
「待ってください、鬼使神差ってなんですか?」
そう聞くと辺りが急に眩しくなった。時間が無いということはもう時期、自分が目覚めるのだろう。せめて鬼使神差については知りたい。どうか聞けるまでは目覚めないで欲しい。
『鬼使神差は......貴方の"ジンセイ"だ』
目を開けると暗闇にいた。何も見えない。何も聞こえない。自分の手すら見えないのだ。
「誰かいる?......ヴェル、メリーナ......べトロ......」
返事は無い。あの低くて少しクセのある声も、可愛らしい声も、ベトベトという音も聞こえない。自分の声がただ響いているだけだった。鬼神王は恐る恐る一歩前へ歩いてみた。自分の足音すら聞こえないとは......。
鬼神王はしゃがみ目を閉じた。さて。ここからどうしようか。今何が起こっているのか分からない。
(僕は確か、鬼神を助けて......そのあと、どうしたんだっけなぁ)
死んだ訳では無い。そう思っている。神助けをして死んだなんて、あまりにも不運すぎる。
恐らく眠っているだけだ。なぜ眠っているのか知らないが、早くここから抜け出したい。鬼神王はそう思い顔を上げた。すると、暗闇にいたはずなのに、今見ると辺りは星々が輝く美しい夜空の中にいた。下を見ても横を見ても星。鬼神王は唖然とした。
(僕......死んでしまったのかもしれない)
幻想的な空間で、自分が生きているような気がしなかった。ここはなんだ?神界のどこかだろうか。
『......目を覚まして』
「え?」
どこからか声が聞こえ、鬼神王は振り返った。誰もいない。では上か、右か、左か......下か。しかしどこにも姿は見えない。
声は女の声だった。若くて透き通った美しい声。
「あなたはだれ?」
『私は何千年も前に生きていたもの。詳しくは話せない』
何千年も前......ということは鬼神ではないのだろうか。鬼神王が知らないということは、当然、鬼神王のおかげで生まれることが出来た鬼神ではないだろう。
『私は預言の力を持っていた。数千年前、私が生きていた頃、預言の力を使って神界の未来を見た。......その未来......というものは今のこと』
「預言......」
姿が見えないのに声だけは聞こえる。一体どこを見て話を聞けば良いのか分からず、とりあえずキョロキョロと辺を見渡しながら聞くことにした。
『鬼使神差って......知ってる?』
「......わからない......。昔は知ってたかも」
『貴方の記憶が消えていることは知っている。そして過去に何があったか、これから何が起こるかも全て知っている』
鬼神王は驚きの表情を浮かべる。自分のことを全て知っているのなら、昔の自分のことを聞けるかもしれない。本当は知りたいのだ。どんなに辛い過去であっても、今の自分が知りたいと思っているのなら、教えて貰ってもよいのではないか。シュヴェルツェはいくら言っても教えてくれない。聞くなら今だ。
「僕の過去のこと、教えて頂けませんか?」
『まだ教えることは出来ない。私は貴方の未来も知っている。今教えてしまうと、未来が変わってしまう』
そうか。せっかく自分のことを知っているものに出会えたというのに、そういうことなら、シュヴェルツェのようにいくら聞いても教えては貰えないだろう。これ以上、知りたいと言うつもりは無い。だが、一つだけ気になることがある。
「僕の未来ってどんな感じなのですか?......あ、その......ざっくりでいいんです。良い未来が来る......だとか、辛いことが起こる......とか......。教えて頂けませんか......?」
『......わかった。貴方の未来は......幸せではないが、貴方にとって、良いと思えるような未来になるだろう』
「僕にとって......?」
ということは、自分以外不幸なのだろうか。自分以外幸せでは無いのだろうか。鬼神王は眉間に皺を寄せ、下を向いた。そんなのは絶対に嫌だ。
『そんなに落ち込むことはない。私は『貴方にとって、良いと思えるような未来』と言ったはずだ。貴方が想像する自分だけが幸せな未来だとか、そういうことではない。今の貴方でも良いと思えるような未来だ』
よく分からない。それ以外に何がある。想像がつかない。けれど皆が不幸せ出なければそれで良い。自分が良いと思える未来ならそれでよい。そう思うと安心する。
『もう時間が無い。最後に一つ言っておこう』
声が少し変わった。大切な話をするのだろう。鬼神王は背筋を伸ばした。
「なんでしょう」
『過去の貴方は貴方のことを大切だと思っている者を知らなすぎた』
過去の事を言われても、どうすることも出来ない。知らなすぎたことで、今後悔したくても、それがどのような人物なのか、どのような関係だったのかも知らない。鬼神王はどのような反応をすれば良いのか困った。
『これもいずれ知ることになる。貴方は本当の幸せがなんだったのか、知ることになるだろう』
本当の幸せ......もし今が偽りの幸せだとしたら、本当の幸せとはなんだろう。
『そして鬼使神差の物語を、貴方が終わらせることになる。目覚めても『鬼使神差』という言葉は絶対に口にしないでほしい』
「待ってください、鬼使神差ってなんですか?」
そう聞くと辺りが急に眩しくなった。時間が無いということはもう時期、自分が目覚めるのだろう。せめて鬼使神差については知りたい。どうか聞けるまでは目覚めないで欲しい。
『鬼使神差は......貴方の"ジンセイ"だ』
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